ソルデム1組成のmEq値を正しく読む輸液管理の要点

ソルデム1の組成(Na⁺ 90mEq/L、Cl⁻ 70mEq/L、L-Lactate 20mEq/L)を正しく理解していますか?カリウムフリーの理由から禁忌まで、臨床で必要な知識を徹底解説します。

ソルデム1の組成とmEqの基本から禁忌まで

「ソルデム1にはカリウムが入っていないから、長期投与しても問題ない」と思っていると、患者の電解質バランスが崩れて翌日の採血で低カリウム血症(K⁺ 2.8mEq/L以下)が判明するケースがあります。


📋 ソルデム1 組成まとめ(500mL)
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電解質(mEq/L)

Na⁺:90 mEq/L Cl⁻:70 mEq/L L-Lactate⁻:20 mEq/L K⁺:含まない(0 mEq/L)

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その他成分(500mL中)

ブドウ糖 13.0g(熱量 52kcal) 浸透圧比:約1(生食対比) pH:4.5〜7.0

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代表的な禁忌

乳酸血症の患者(乳酸血症悪化のリスク)。腎不全・心不全・肝障害・糖尿病患者は慎重投与。


ソルデム1の電解質組成をmEq/Lで正確に把握する



ソルデム1輸液は「開始液(1号液)」に分類される製剤で、製造販売元はテルモ株式会社です。 1袋500mL中の成分は、ブドウ糖13.0g・塩化ナトリウム2.070g・L-乳酸ナトリウム液2.240g(L-乳酸ナトリウムとして)となっています。


参考)https://medical.terumo.co.jp/sites/default/files/assets/medicine/sa/pdf/18T472.pdf


電解質濃度をmEq/L単位で表すと以下のとおりです。




  • Na⁺(ナトリウム):90 mEq/L

  • Cl⁻(クロール):70 mEq/L

  • L-Lactate⁻(乳酸):20 mEq/L

  • K⁺(カリウム):0 mEq/L(含有なし)


生理食塩液のNa⁺ 154 mEq/L・Cl⁻ 154 mEq/Lと比較すると、ソルデム1のNaは約58%と低めです。つまり「生食に近い」と思い込んで使用すると電解質補正に誤差が生じます。これは見落としやすいポイントです。


500mL1袋あたりに換算すると、Na⁺は45mEq、Cl⁻は35mEq、L-Lactate⁻は10mEqとなります。 投与量を設計する際は「mEq/L」と「1袋あたりの絶対量」を区別して考えることが原則です。



浸透圧比は生理食塩液に対して約1、pHは4.5〜7.0です。 これは血液(pH 7.35〜7.45)より低い値を示すことがある点に注意が必要です。



ソルデム1輸液の組成・電解質濃度詳細(meddic.jp)


ソルデム1がカリウムフリーである理由と1号液の役割

ソルデム1がカリウム(K⁺)を含まない理由は、使用タイミングにあります。 脱水症や病態不明時の「初期補給」として使用する製剤であり、患者の腎機能や血清K値がまだ確認できていない段階で投与されるためです。


参考)迷った時の「最初の一本」。輸液界の守護神、ソルデム1(1号液…


カリウムは腎機能が低下している患者に投与すると、高カリウム血症(K⁺ 5.5mEq/L以上)を招く危険性があります。 腎機能を確認する前にK含有液を投与することは大きなリスクです。



そのため1号液は「とりあえずの最初の一本」として設計されており、安全域が広くなっています。 Kフリーであることは欠点ではなく、意図された特性です。



ただし、K⁺を補充しないまま長期投与を続けると、低カリウム血症(基準値3.7〜4.8 mEq/L)のリスクが高まります。 状態が安定し、病態や腎機能が把握できた段階では、維持液(3号液等)への切り替えを検討することが基本です。



ソルデム1の乳酸ナトリウムの役割とアシドーシスへの影響

ソルデム1には、L-乳酸ナトリウムが20 mEq/Lの濃度で含まれています。 この乳酸ナトリウムは体内でNaHCO₃(重炭酸ナトリウム)に代謝され、pH緩衝作用を発揮します。



「乳酸が入っているなら乳酸アシドーシスが悪化するのでは?」と思うかもしれません。しかし実際には、肝臓での乳酸代謝が正常な患者では問題になりません。乳酸代謝には肝機能が必要です。


重篤な肝障害のある患者では乳酸血症が誘発されるリスクがあるため、慎重投与の対象となっています。 さらに乳酸血症の患者はソルデム1(1号液)の禁忌です。乳酸血症の悪化を招くおそれがあります。



血中乳酸の基準値は4〜16mg/dLです。 これは約0.4〜1.8mmol/Lに相当し、2mmol/L以上が高乳酸血症の目安とされます。投与前に必要に応じて確認することが安全な輸液管理につながります。



病態別輸液メニューの考え方(日本腎臓学会誌掲載論文)- 各輸液製剤の電解質構成と臨床適用の参考資料


ソルデム1の禁忌・慎重投与を見逃すと起きること

禁忌は1つ、乳酸血症の患者のみです。 これはソルデム2〜3Aなどカリウム含有製剤と比べて禁忌が少なく見えますが、慎重投与の範囲が広い点を見落とさないことが重要です。



慎重投与に該当する患者群は次のとおりです。




  • 腎疾患に基づく腎不全(腎不全悪化のリスク)

  • 心不全(循環血液量増加による心負荷増大)

  • 重篤な肝障害(乳酸血症誘発リスク)

  • 閉塞性尿路疾患で尿量が減少している患者(水・電解質の蓄積)

  • 糖尿病(ブドウ糖含有による高血糖悪化)


心不全患者では循環血液量が増えることで心臓の負担が増大し、心不全悪化につながります。 心不全患者への輸液は「輸液量を必要最低限に絞る」という原則が特に重要です。



糖尿病患者への投与も注意が必要です。500mLで52kcal(ブドウ糖13g)を含むため、血糖値の変動を引き起こすことがあります。 投与中は血糖モニタリングと必要に応じたインスリン調整が推奨されます。


参考)ソルデム輸液 [テルモ] ソルデム1 200mlの通販


他の号液との電解質mEq比較と選択の考え方

ソルデムシリーズで最も混乱しやすいのが、各号液の電解質濃度の違いです。実際の数値を比較することで選択の根拠が明確になります。













































製品名 Na⁺ (mEq/L) K⁺ (mEq/L) Cl⁻ (mEq/L) L-Lactate (mEq/L) 主な用途
ソルデム1(1号液) 90 0 70 20 脱水初期・病態不明時
ソルデム2(2号液) 77.5 30 59 48.5 脱水補給・手術前後
ソルデム3A(維持液) 35 20 35 20 維持・長期輸液
ソルデム6(4号液) 30 0 20 10 術後早期・乳幼児


ソルデム1のNa⁺ 90 mEq/Lは、1日に必要なNa維持量(約70〜100mEq/日)を考えると、維持療法として長期使用するには不向きです。 維持液として設計されたソルデム3AはNa⁺が35 mEq/Lと低く、KやPを含むため長期輸液管理に適しています。



つまりソルデム1はあくまで「最初の一本」です。 状態が判明したら迅速に適切な製剤へ切り替えることが原則です。



ソルデムと電解質輸液の使い分け - 号液選択の考え方(ちがさき内科)

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