出血性ショックは、外傷・消化管出血・産科出血などによる循環血液量の急激な減少により、組織への酸素供給が需要を下回り、細胞レベルの低酸素状態と多臓器不全を来す重篤な病態です。 循環血液量の減少は静脈還流量の低下を招き、心拍出量の減少、平均動脈圧の低下、そして末梢組織灌流不全へと進行します。
参考)https://www.slideshare.net/slideshow/comprehensive-overview-of-shock-classification-pathophysiology-and-management/286840804
初期には交感神経系の活性化により、心拍数の増加(頻脈)、末梢血管収縮(皮膚冷感・蒼白)、腎血流の再分布(尿量減少)などの代償機転が働きます。 しかし、出血量が循環血液量の30〜40%を超えると代償機転が破綻し、血圧低下、意識レベルの低下、無尿などの脱代償状態へと移行します。
参考)Shock and Resuscitation Revisi…
| 分類 | 出血量(比率) | 臨床所見 |
|---|---|---|
| Class I | <750 mL(<15%) | 心拍数<100/分、血圧正常、呼吸数14-20/分、尿量>30 mL/時、意識は alerta〜軽度不安 |
| Class II | 750-1,500 mL(15-30%) | 心拍数100-120/分、血圧は維持されるが脈圧減少、呼吸数20-30/分、尿量20-30 mL/時、軽度不安 |
| Class III | 1,500-2,000 mL(30-40%) | 心拍数120-140/分、血圧低下、呼吸数30-40/分、尿量5-15 mL/時、意識混濁・不安 |
| Class IV | >2,000 mL(>40%) | 心拍数>140/分、血圧著明低下、呼吸数>35/分、尿量最小〜無尿、意識レベル低下(傾眠〜昏迷) |
Class Iでは生命徴候はほぼ正常範囲であり、臨床的にショックを疑う所見に乏しいため、見落としに注意が必要です。 Class IIでは頻脈と脈圧の狭小化が早期の警告徴候となります。 Class III以降では低血圧、意識変化、尿量減少が顕著となり、即時の出血制御と大量輸血プロトコルの適応となります。
出血性ショックの臨床評価では、早期に出現する徴候と晩期に出現する徴候を明確に区別することが、迅速な診断と介入に不可欠です。
参考)What are late signs of hemorrh…
特に、高齢者やβ遮断薬服用患者では頻脈が抑制されるため、血圧や尿量、意識レベル、乳酸値などの他の灌流マーカーを重視した評価が必要です。
重篤な出血性ショックでは、「致死のトライアド(lethal triad)」と呼ばれる3つの病態が相互に増悪し合う悪循環を形成し、致死的転帰を招きます。
参考)How to Treat Hemorrhagic Shock…
これら3つの病態は相互に増悪し合うため、早期の出血制御、血液製剤のバランスのとれた投与(MTP)、体温管理(加温輸液・加温ブランケット)、ペルミッシブ・ハイポテンション(収縮期血圧80-90 mmHgを目標)などのDamage Control Resuscitation(DCR)戦略が推奨されます。
参考)Hemorrhagic Shock: Classificat…
初期管理の要点は以下の通りです。
参考)Hemorrhagic Shock Classificati…
参考リンク:外傷初期診療ガイドライン(日本外傷学会)https://www.jstrauma.org/guideline/(https://www.jstrauma.org/guideline/)