抗凝固薬を飲んでいる高齢者は、正しく圧迫しても鼻血が30分止まらないことがあります。
動脈硬化が進んだ血管は、外から見えない状態でも血管壁が脆く、血圧が急上昇した瞬間(起床時・排便時・興奮時)に破綻しやすくなります。 高血圧の管理が不十分な高齢者では、日常の些細な動作が出血のトリガーになりうるという点が重要です。
参考)突然の鼻血は高血圧や病気のサイン?~正しい止め方と原因を内科…
血圧計での自己管理が基本ですが、家庭血圧記録をスマートフォンアプリで管理する患者にはオムロン connect などの連携型デバイスが確認・指導の際に役立ちます。
止血にあたっては薬剤の継続・中止を主科と連携して判断する必要があります。 耳鼻科単独での判断は困難な場面が多く、循環器科・神経内科との連携が欠かせません。
| 薬剤分類 | 代表薬 | 鼻血への影響 |
|---|---|---|
| 抗凝固薬(ビタミンK拮抗) | ワーファリン | PT-INR延長→止血困難 |
| DOAC(直接作用型経口抗凝固薬) | エリキュース、リクシアナ等 | 拮抗薬が限られ対処が複雑 |
| 抗血小板薬 | バイアスピリン、クロピドグレル | 血小板凝集抑制→再出血しやすい |
| NSAIDs(鎮痛薬) | ロキソプロフェン等 | 長期使用で鼻粘膜障害のリスク |
鼻血の約90%はキーゼルバッハ部位(鼻孔から指一本分奥の鼻中隔前下方)からの出血です。 この部位は毛細血管が集中しており、乾燥・物理的刺激に極めて弱い構造です。
参考)鼻血
冬季の低湿度環境では、高齢者の鼻粘膜はさらに乾燥しやすくなります。これは加齢による粘液分泌能の低下が原因です。意外ですね。高齢者は若年者と比べ、鼻腔内の自浄機能(線毛運動)も低下しているため、一度傷ついた粘膜が回復しにくい状態が続きます。
副鼻腔炎(慢性の場合はとくに)も鼻粘膜の炎症を慢性的に引き起こし、出血しやすい状態を作ります。 鼻中隔湾曲症では気流の偏りが生じ、特定部位の粘膜が乾燥・摩耗しやすくなるため鼻血の頻度が上がります。
参考)鼻血が止まらない・繰り返す原因と正しい止め方を耳鼻科が解説│…
高齢者の繰り返す鼻血は、全身性疾患のサインであることがあります。これが、もっとも見落とされやすいポイントです。
白血病や特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、血小板数の低下により凝固が不十分となり鼻出血が繰り返されます。 肝硬変では肝臓での凝固因子産生が障害されるため、鼻血のほか歯茎出血・皮下出血なども同時に出現します。 腎不全では尿毒症による血小板機能異常が鼻血を引き起こすことがあります。
参考)鼻出血(鼻血)(症状・原因・治療など)|ドクターズ・ファイル
「鼻血だけで来院した」患者でも、問診で歯茎出血・青あざの頻発・倦怠感・体重減少が確認できれば、血液内科・消化器内科へのリファーを強く検討すべきです。鼻血が条件です。
参考:耳鼻咽喉科の外来で経験する鼻出血のうち、全身性疾患が背景にある頻度と診断のアプローチについて詳しく解説されています。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血(鼻血)~原因・止め方・こんな鼻血は要注意!」
「少し出たら止まった」という鼻血と「重大疾患のサイン」の鼻血を見分けるのが医療従事者の重要な役割です。以下の基準が判断の軸になります。
週に1回以上繰り返す鼻血では、鼻腔・副鼻腔腫瘍の可能性を除外しなければなりません。 鼻腔腫瘍は悪臭を伴う鼻汁・片側性の鼻閉・頬部の膨満感を伴うことが多く、これらの随伴症状が鑑別のヒントになります。
参考)【絶対見逃すな!】大人の鼻血の3つの危険症状を耳鼻科医が解説…
参考:大人の鼻血に潜む危険な3症状を耳鼻科医が詳しく解説しています。
名古屋はなまる耳鼻科「絶対見逃すな!大人の鼻血の3つの危険症状」
参考:高血圧と鼻血の関係、止血できないときの対応を内科医の視点で詳しく解説しています。
熊本のかかりつけ医「高血圧で鼻血が出やすくなる?関係性と注意すべきサインを解説」
の研究・臨床情報に基づいています。
| 分類 | 主な副作用 |
|---|---|
| 循環器系 | 動悸、顔面紅潮、ほてり、血圧低下、徐脈・頻脈(0.1%未満) |
| 精神神経系 | 頭痛、めまい、ふらつき、立ちくらみ |
| 消化器系 | 便秘、腹部不快感、嘔気 |
| 過敏症 | 発疹、そう痒感、光線過敏症(頻度不明) |
| その他 | 浮腫(顔・下腿・手)、歯肉肥厚、女性化乳房(頻度不明) |