呼吸不全 分類 p/f 比 基準 Ⅰ型 Ⅱ型 重症度

呼吸不全の分類においてP/F比がどのように用いられ、Ⅰ型とⅡ型の違いや重症度評価の基準を解説します。臨床現場でこの指標をどう活用すべきか、理解できていますか?

呼吸不全 分類 p/f 比 基準

呼吸不全 分類 p/f 比 基準
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呼吸不全の定義と基本分類

室内気吸入時にPaO2が60Torr以下となる状態を指し、PaCO2の値でⅠ型とⅡ型に分類されます

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P/F比の計算方法と意義

PaO2をFiO2で割った値で、酸素化能を評価する重要な指標となります

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重症度分類の臨床的活用

ARDS診断や治療方針決定においてP/F比が300、200、100の閾値で評価されます


呼吸不全 分類 p/f 比 Ⅰ型 Ⅱ型 定義 基準値



呼吸不全とは、呼吸機能の障害によって動脈血ガス、特に酸素(O2)と二酸化炭素(CO2)が異常値を示し、生体が正常な機能を営むことができない状態を指します。 日本では厚生省呼吸不全研究班(1981)により、以下の診断基準が確立されています。


参考)https://www.jspm.ne.jp/files/guideline/respira_2016/02_02.pdf


呼吸不全の診断基準

  • 室内空気呼吸時の動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下となる呼吸器系の機能障害、またはそれに相当する異常状態


参考)https://www.jspm.ne.jp/files/guideline/respira_2011/02_02.pdf

  • 動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が45Torr以下をⅠ型呼吸不全、45Torrを超えるものをⅡ型呼吸不全に分類


参考)呼吸不全の理解

  • 呼吸不全の状態が少なくとも1か月以上続くものを慢性呼吸不全とする


参考)慢性呼吸不全

  • PaO2が60Torr以上で70Torr以下のものを「準呼吸不全」として扱う



この分類は、単なる数値の区切りではなく、病態の理解と治療方針の決定に直結する重要な指標です。Ⅰ型呼吸不全は「酸素が足りていないが、二酸化炭素はきちんと排出できている状態」、Ⅱ型呼吸不全は「酸素不足に加えて、二酸化炭素も体内に蓄積している状態」と理解できます。


参考)お知らせ・ブログ|呼吸不全の分類(Ⅰ型・Ⅱ型)|ちくさ病院の…


呼吸不全 分類 p/f 比 計算 酸素化能 評価 指標

P/F比(P/F ratio)は、動脈血酸素分圧(PaO2)を吸入気酸素濃度(FiO2)で割った値で、肺の酸素化能(ガス交換能力)を評価する臨床的に重要な指標です。


参考)P/ F 比


P/F比の計算式
\ P/F \text{比} = \frac{PaO2 (\text{mmHg})}{FiO2} \


ここで、FiO2の大まかな値は以下の通りです。


  • 室内気(空気):0.21(21%)
  • 鼻カニューレ 1L/min:約0.24
  • 鼻カニューレ 5L/min:約0.40
  • 単純マスク 5L/min:約0.40
  • リザーバーマスク 10L/min:約0.80


計算例
リザーバーマスク10L/min(FiO2≒0.8)で酸素投与中の患者において、動脈血ガス測定でPaO2=96mmHgであった場合:


\ P/F \text{比} = \frac{96}{0.8} = 120 \text{ mmHg} \


P/F比の正常値と解釈

  • 正常値:300~500 mmHg(健康な成人で概ね400 mmHg以上)


参考)P/F比

  • ガス交換障害あり:300 mmHg未満


  • 中等度~重度の低酸素血症:200 mmHg未満



P/F比が低下するということは、肺のガス交換機能に障害が生じ、効率的な酸素化が行えていないことを意味します。 この指標の優れた点は、異なる酸素投与条件下でも客観的に酸素化能を比較評価できることです。



呼吸不全 分類 p/f 比 ARDS 重症度 分類 ベルリン定義

P/F比は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS:Acute Respiratory Distress Syndrome)の診断と重症度分類において、ベルリン定義(Berlin criteria)の中心的な基準として採用されています。


参考)急性低酸素性呼吸不全 (AHRF,ARDS) - 21. 救…


ARDSのベルリン定義における重症度分類
PEEPまたはCPAP ≥ 5cmH2Oの条件下で、以下の通り分類されます。



ARDSのカテゴリー 酸素化(PaO2/FiO2)
軽症 200 mmHg < P/F ≦ 300 mmHg
中等症 100 mmHg < P/F ≦ 200 mmHg
重症 P/F ≦ 100 mmHg


この分類は、2012年に発表されたベルリン定義で確立され、従来のALI(Acute Lung Injury:急性肺損傷)の概念を統合したものです。 P/F比が300未満からARDSの診断基準を満たし、数値が低下するほど重症度が高まり、予後も不良となる傾向があります。


参考)P/F ratio【ナース専科】


ARDS診断のその他の基準

  • 発症:1週間以内の新しい、または増悪した呼吸器症状


  • 胸部画像:両側性の肺浸潤影(胸部X線またはCT)


  • 浮腫の原因:心不全または体液過剰では完全に説明できない呼吸不全



臨床現場では、P/F比だけでなく、これらの基準を総合的に評価してARDSの診断を行います。また、P/F比は経皮的酸素飽和度(SpO2)とFiO2の比(S/F比)でも代用可能であることが示されており、SpO2 ≦ 97%の条件下でS/F比 ≦ 315がP/F比 ≦ 300と同等の感度・特異度を持つと報告されています。



呼吸不全 分類 p/f 比 Ⅰ型 Ⅱ型 病態 原因 疾患 一覧

Ⅰ型呼吸不全とⅡ型呼吸不全では、病態生理と原因疾患が大きく異なります。この理解は、適切な治療アプローチを選択する上で不可欠です。


参考)https://www.atomed.co.jp/openfacemask/column/01/


Ⅰ型呼吸不全の病態と原因疾患


病態:ガス交換障害が主体で、肺胞に空気(外気)が入ってきても、血液中に酸素をうまく取り込めていない状態です。肺胞内では拡散障害や換気血流比(V/Q)不均等、シャントなどが生じています。


参考)Ⅰ型呼吸不全とⅡ型呼吸不全とは?違い・病態・臨床での考え方を…


特徴。

  • A-aDO2(肺胞気-動脈血酸素分圧較差)が開大する


  • PaCO2は正常または低下(45Torr以下)


参考)慢性呼吸不全:慢性呼吸不全の定義と原因疾患│西新潟中央病院

  • 「換気はあるが、ガス交換がうまくいっていない」状態



代表的な原因疾患


  • 重症肺炎
  • 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
  • 急性経過の間質性肺炎
  • 急性心不全(心原性肺水腫)
  • 肺血栓塞栓症
  • 無気肺
  • 肺動静脈瘻


Ⅱ型呼吸不全の病態と原因疾患


病態:換気障害が主体で、肺胞内に出入りするガスの量が少なく、血液中の二酸化炭素の排出・酸素の取り込みが難しい状態(肺胞低換気)です。


参考)5.呼吸不全ってなに?|ディアケア


特徴。

  • A-aDO2は正常または軽度上昇


  • PaCO2が45Torrを超えて上昇


  • 「息をしている量が足りない」状態



代表的な原因疾患


参考)「障害者リハビリテーション」入門---17 呼吸機能障害


A-aDO2が開大するケース A-aDO2が正常のケース
・COPD(慢性閉塞性肺疾患) ・原発性肺胞低換気症候群
・気管支喘息(重症発作) ・脳血管疾患
・びまん性汎細気管支炎 ・睡眠薬の過量服用
・肺結核後遺症 ・ギランバレー症候群
・気管支拡張症 ・進行性筋ジストロフィー
・重症筋無力症
・筋萎縮性側索硬化症(ALS)
・高度の肥満(肥満低換気症候群)
・脊柱側弯後弯症


日本における慢性呼吸不全の基礎疾患は、COPDが45%と最も多く、次いで肺線維症・間質性肺炎、肺がんが増加傾向にあります。



呼吸不全 分類 p/f 比 臨床 評価 意外な事実 注意点

臨床現場でP/F比を活用する際、いくつかの重要な注意点と、あまり知られていない事実があります。


意外な事実:SpO2が正常でもP/F比は低下している可能性


P/F比の限界と注意点

  • P/F比は肺の酸素化能のみを評価しており、他の臨床症状や酸素需要などの指標と併せて全身状態をアセスメントすることが重要です。


  • 胸部画像所見や発症時期、浮腫の原因など、ARDS診断の他の基準も総合的に評価する必要があります。


  • P/F比は、FiO2が正確に把握できない場合(特に非侵襲的酸素療法)には、計算の精度が低下します。



A-aDO2(肺胞気-動脈血酸素分圧較差)の併用


A-aDO2は、室内気吸入下で以下の式で計算されます。


\ A\text{-}aDO2 = PAO2 - PaO2 = (150 - \frac{PaCO2}{0.8}) - PaO2 \


  • 正常範囲:10 Torr以下


  • 境界値:10~20 Torr


  • 異常値:20 Torr以上



A-aDO2が開大する場合は換気血流比不均等、拡散障害、シャントを、A-aDO2が正常の場合は肺胞低換気を示唆します。



参考文献




  • 医学のすゝめ P/F比:P/F比の計算方法、臨床的意義、ARDS診断における活用について平易に解説されています。


【第2類医薬品】命の母A 840錠