あなたのその処方箋、実は今は出せません

ザジテンカプセル1mgは、サンファーマが製造販売している抗アレルギー薬です。
2026年に入り、原薬調達先の変更に伴って想定外の品質問題が発生しました。
この結果、在庫していた原薬だけでは生産数量を確保できなくなり、6月10日出荷分から限定出荷という形になりました。限定出荷というと「一部の医療機関だけ入手できない」というイメージを持つ方もいますが、実際には全国的な供給不足につながる措置です。
参考)https://jp.sunpharma.com/null/e6d09ad457f06f8c6d1f6a1f316b52b9fd1499b0.pdf
つまり限定出荷は販売中止の前段階ということですね。
その後、サンファーマは正式に「ザジテンカプセル1mg」の販売中止を発表し、製造販売中止に伴う経過措置期間の満了は2026年3月末となる見込みと案内しています。ここで注意したいのは、この経過措置満了の告知タイミングと実際の在庫切れのタイミングがずれるケースがある点です。院内在庫を確認する際は、単に「まだ在庫がある」で安心せず、メーカーからの公式文書に記載された満了日を必ず確認しておくと安心です。
参考)https://jp.sunpharma.com/null/413b88c49c4683842f67af811a3bc2453f600aa5.pdf
カプセルの販売中止より前に、実はザジテン点眼液と点鼻薬(ザジテンAL鼻炎スプレーαを含む)はすでに姿を消していました。
点眼液は2019年6月末で製造が終了し、在庫分の出荷のみに限定されていたと薬剤師からの情報でも確認できます。点鼻薬・ザジテンALシリーズについても2020年4月に生産終了となっており、こちらは品質問題ではなく需要の少なさが直接の理由とされています。
参考)アレルギー用の目薬でザジテンが減ってきているのは、なぜですか…
需要が少ないという理由だけで廃盤になる薬は少なくありません。
同じ「ザジテン」というブランド名でも、剤形ごとに販売中止の背景がまったく違う点は意外ですね。処方薬としての点眼液・点鼻薬は現在ドラッグストアでは購入できませんが、院内処方であれば入手できる可能性が残っている場合もあるため、地域の医薬品卸に在庫状況を確認しておくと確実です。
医療従事者にとって最も実務的な問題は「いつまで処方できるか」です。
サンファーマの案内では、製造販売中止に伴う経過措置期間の満了は2026年3月末となる見込みとされています。経過措置とは、販売中止後も薬局や医療機関の在庫分に限り流通・調剤が認められる期間のことです。
期間が過ぎれば新規の調剤は基本的にできなくなります。
現在は2026年7月であり、この経過措置期間はすでに満了しています。つまり院内に古い在庫が残っていない限り、ザジテンカプセルを新たに患者に渡すことは難しい状況です。処方オーダリングシステムに旧薬剤のマスタが残っている医療機関では、システム上は選択できても実際には調剤不能というトラブルが起きやすいため、早めに院内マスタの整理を行っておくことをおすすめします。
代替薬を検討する際は、まず有効成分ケトチフェンフマル酸塩と同じ第一世代抗ヒスタミン系の抗アレルギー薬から探すのが基本です。
市販薬レベルでは、小林製薬の「ヒストミン点鼻薬DX」のような点鼻タイプが後継候補として紹介されています。処方薬レベルでは、同系統の抗アレルギー薬や、より新しい第二世代の薬剤への切り替えを検討する医療機関も増えています。
参考)ザジテン点鼻薬が販売中止の理由はなぜ?後継や似てる商品も調査…
患者の症状と併用薬を確認するのが原則です。
特に小児や高齢者にケトチフェン系を使っていたケースでは、眠気などの副作用プロファイルが異なる薬剤に切り替える際、事前の説明が重要になります。院内で採用薬を変更する場合は、薬事委員会での審議記録とあわせて、患者向けの説明文書をテンプレート化しておくと、外来での説明時間を短縮できます。
一般的な記事では「販売中止の理由」までしか触れていませんが、現場で本当に困るのは満了後の運用です。
まず院内のオーダリングシステムや電子カルテのマスタに旧薬剤コードが残っていると、処方箋自体は発行できてしまいます。しかし薬局側では調剤を断らざるを得ず、患者とのトラブルにつながるケースが報告されています。
これは意外な落とし穴ですね。
また、後発品や類似薬に切り替える際、レセプトの査定で減点対象になる可能性もゼロではありません。切り替え時期を明確にし、切り替え理由をカルテに一言残しておくだけで、査定リスクを大きく減らせます。院内の薬剤マスタ更新は情報システム部門と薬剤部で二重チェックする体制を作っておくと、こうした見落としを防ぎやすくなります。