トルリシティ皮下注の打ち方と注射手順の完全ガイド

トルリシティ皮下注アテオスの正しい打ち方を医療従事者向けに解説。注射部位の選択・手順・打ち忘れ対応・保管方法まで、現場で使える実践的な情報を網羅しています。正しい投与方法を把握していますか?

トルリシティ皮下注の打ち方と手順を医療従事者が押さえるべきポイント

週1回投与なのに、打つ曜日を変えると72時間ルールを守らなければ無効になることがあります。


📋 この記事の3ポイント要約
💉
投与部位は自己注射と他者介助で異なる

自己注射は腹部・大腿部のみ。上腕部は訓練を受けた介助者がいる場合のみ可。毎回同一部位への反復投与は組織硬化のリスクがある。

⏱️
打ち忘れには72時間ルールがある

次回予定日まで72時間以上あれば即時投与可。72時間未満なら投与せず次回予定日まで待つ。曜日変更も前回投与から72時間以上の間隔が必要。

❄️
保管は冷蔵が原則、凍結は使用禁止

冷蔵(2〜8℃)・遮光保存が基本。凍結品は使用不可。冷蔵不可時は遮光・30℃以下で14日間(積算)まで室温保管が認められている。


トルリシティ皮下注アテオスの基本概要と作用機序



トルリシティ(一般名:デュラグルチド)は、2型糖尿病治療を適応とするGLP-1受容体作動薬です。 血糖依存性のインスリン分泌促進・グルカゴン分泌抑制・胃内容物排出遅延という3つの機序で血糖コントロールをサポートします。 つまり血糖値が高いときのみインスリン分泌を促すため、単独使用では低血糖リスクが低い点が特徴です。


参考)【医師監修】皮下注射で話題のトルリシティって?効果や打ち方を…


専用デバイスである「アテオス」は針が内蔵されたプレフィルドペン型の使い切りキットです。 1キット=1回分であり、再使用は絶対に行ってはなりません。用量は通常0.75mg/週から開始し、患者の状態に応じて1.5mg/週への増量が可能です。


参考)https://www.suzukicl.com/trulicity.pdf


近年は食欲抑制効果が注目され、医療ダイエット目的での処方も増加しています。 ただし保険適応は2型糖尿病の血糖コントロールであることを患者・指導スタッフともに再確認しておく必要があります。



項目 内容
一般名 デュラグルチド(遺伝子組換え)
用量 0.75mg または 1.5mg(週1回)
投与経路 皮下注射のみ(静脈内・筋肉内は禁止)
デバイス アテオス(プレフィルドペン型、使い切り)
保管 冷蔵2〜8℃・遮光(凍結禁止)


トルリシティ皮下注の打ち方・注射手順の完全ステップ

正確な投与手順の把握は、医療従事者として患者指導を行う上での基盤です。手順の細部に誤りがあると、薬剤未投与や器具破損につながる可能性があります。以下のステップを確認してください。


参考)https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/530471_2499416G1029_1_00G.pdf


    >📦 ステップ1:キットの確認 冷蔵庫から取り出し、外観・有効期限・薬液の透明度を確認する。混濁・変色・異物が認められる場合は使用しない。
    >🧴 ステップ2:投与部位の決定 腹部または大腿部を選択(自己注射の場合)。前回の注射部位から少なくとも数cm以上ずらす。


    >🧻 ステップ3:消毒と乾燥 アルコール綿で注射部位を消毒し、完全に乾いてから注射する。濡れた状態での注射はアルコールが皮下に入る原因になる。
    >🔒 ステップ4:キャップを外す 緑色のキャップを外す。キャップを外したら速やかに使用する。
    >📍 ステップ5:皮膚にしっかり押し当てる ペンの底面(針側)を皮膚に対して垂直に、力を入れてしっかり押し当てる。
    >🟢 ステップ6:ロック解除→注入ボタンを押す 安全ロックを解除し、注入ボタンを押す。「カチッ」という音がしてから離さずに10秒程度押し続ける。


    >✅ ステップ7:完了確認→抜針 注入窓の完了表示を確認してからペンを引き抜く。完了前に抜くと薬液が十分投与されない可能性がある。


手順はシンプルです。ただし「しっかり押し当てる」「10秒キープ」の2点は特に失敗しやすいポイントです。 患者への指導時には実技練習が不可欠です。



トルリシティ皮下注の投与部位選択と皮膚ローテーションの注意点

自己注射が認められている部位は腹部と大腿部の2か所のみです。 上腕部(三角筋周辺)への投与は、操作方法の訓練を受けた介助者の補助がある場合に限り認められています。患者指導時にはこの区別を明確に伝えることが重要です。



毎回同一部位への反復投与は避けるべきです。 同じ箇所に繰り返し注射すると皮膚が硬化し(脂肪萎縮・硬結)、薬液の吸収が低下することがあります。腹部であれば臍を中心に時計回りにポイントをずらすなど、ローテーション計画を患者と一緒に決めておくと継続率が上がります。



しこり・発赤・内出血・硬結が認められる部位は必ず避けてください。 これは指導の際にしっかり伝えるべき絶対条件です。腹部の注射部位は臍周囲5cm以内は避け、ウエストラインより上のエリアが推奨されます。



    >🚫 避けるべき部位:赤み・腫れ・しこり・傷がある場所
    >🚫 同一点への連続投与(吸収障害の原因)
    >✅ 毎回2〜3cm以上ずらすことでローテーションを確保
    >✅ 患者ノートや投与記録シートを活用すると指導効果が高まる


PMDA公式:トルリシティ患者向医薬品ガイド(投与部位図解・使い方全手順収録)


トルリシティ皮下注の打ち忘れ対応と72時間ルールの実務運用

週1回投与という特性から、投与忘れが起きやすい薬剤です。 患者から「打ち忘れたがどうすればいい?」と問い合わせを受けるケースは現場では日常的です。



72時間ルールが基本です。 次の投与予定日まで72時間(3日間)以上ある場合は、気づいた時点ですぐに投与し、その後は元々設定していた曜日のスケジュールに戻します。次の投与予定日まで72時間未満の場合は投与せず、そのまま次の定例曜日に投与します。



絶対に2回分をまとめて投与してはなりません。 これは消化器症状(悪心・嘔吐・下痢)の急性増悪や過度の血糖降下につながるリスクがあります。患者に「飲み忘れた薬を2錠まとめて飲む」感覚で行わないよう、丁寧に指導することが求められます。



投与曜日の変更を希望する患者には、前回投与から少なくとも72時間以上の間隔を空けることを条件として認められます。 現場での応用として、スマートフォンのリマインダー設定を指導に組み込む医療機関も増えています。これは使えそうです。



トルリシティ皮下注の保管・廃棄・患者教育における独自視点

保管の原則は「冷蔵2〜8℃・遮光保存・凍結禁止」の3点です。 この中で最も見落とされやすいのが「凍結させてしまった場合の対応」です。凍結した薬剤は絶対に使用せず、廃棄の指示をしなければなりません。患者が「解凍すれば大丈夫」と思い込んでいるケースが報告されており、指導での確認事項に加えておく必要があります。



冷蔵保管が難しい旅行・外出時には、30℃以下の遮光環境であれば累計14日間までの室温保管が認められています。 この「積算14日間」という点は患者からよく誤解されます。1日置いておいたら残り13日分、と積み上がっていく計算である点を具体的に説明することが現場での混乱防止につながります。



廃棄については、使用済みのアテオスはキャップを再装着しないまま廃棄するのが基本手順です。 針刺し事故防止の観点から、廃棄専用の耐貫通性容器(シャープスコンテナ等)への回収を患者にも指導することが望ましいです。



    >❄️ 保管:冷蔵2〜8℃・遮光(凍結品は即廃棄)
    >🌡️ 室温保管可:30℃以下・遮光・累計14日以内
    >🚗 旅行時:保冷バッグ使用を推奨するが凍結に注意
    >🗑️ 廃棄:耐貫通性廃棄容器へ(医療機関の指示に従う)
    >⚠️ 落下した場合:硬い床への落下後は使用せず新品を使用



患者教育の質は医療従事者の知識量に直結します。 日本イーライリリー社が提供する「アテオスの使い方」動画(医療関係者向けポータルで公開中)は指導補助ツールとして活用できます。


参考)https://medical.lilly.com/jp/answers/204970


日本イーライリリー 医療関係者向け:トルリシティ皮下注アテオスの使い方(公式動画・医療者向け)


副作用 発現頻度
傾眠(強い眠気) 18.4%(38/207例)
悪心(吐き気) 15.0%(31/207例)
便秘 14.5%(30/207例)
嘔吐 14.0%(29/207例)


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