あなたが処方したロナセンテープ、実は保険適応外です。

ロナセンテープの主成分ブロナンセリンは、ドパミンD2受容体への高い親和性を持つ非定型抗精神病薬です。陽性症状だけでなく、意欲減退などの陰性症状や認知機能の低下にも効果が期待できるとされています。
参考)ブロナンセリン(ロナセン)の効果と副作用 - 田町三田こころ…
とはいえ、添付文書上の適応は統合失調症のみで、認知症のBPSD(行動・心理症状)への使用は承認されていません。栃木県立がんセンターなど複数の医療機関が、難治性せん妄に対する適応外使用を公式に文書化しています。
参考)https://www.tochigi-cc.jp/about/infomation/armu1n0000002287-att/A23-003-0.pdf
つまり保険病名がなければ査定対象になるということですね。
東邦大学医療センター佐倉病院でも、2026年2月13日付でせん妄症状緩和目的のロナセンテープ使用が未承認新規医薬品として承認されています。対象期間は「永続的に使用」とされ、内服が困難になったせん妄患者にとって貼付剤の利便性が評価されています。
参考)https://www.sakura.med.toho-u.ac.jp/jusin/q73s16000000038h-att/dnd6eh000000031a.pdf
院内での適応外使用には、倫理委員会承認や患者説明文書の整備が必須です。レセプト査定リスクを避けるための具体策として、院内のリスクマネジメント部門や薬剤部に事前相談する運用フローを整えておくと安心です。
ドパミンを強く抑制する作用があるため、パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者では錐体外路症状が悪化するおそれがあります。これは添付文書にも明記されている重要な禁忌的注意点です。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=68183
一過性の血圧低下が起こることもあります。高齢者では転倒リスクに直結するため注意が必要です。
貼付部位の皮膚炎や、テープが完全に剥がれた場合の再貼付ルールも定められています。PMDAの患者向け資料では、剥がれた場合は新しいテープを貼り、次回の貼り替えは通常の時間を目安に24時間以内に行うよう案内されています。
貼る場所は胸・お腹・背中のいずれかで、衣服で隠れる部位を選ぶのが基本です。
▼PMDAによる患者・家族向けの正しい貼付方法と保管方法の解説
ロナセンテープを使用されている方へ(PMDA)
日本認知症学会のBPSD向精神薬使用ガイドライン第3版では、薬物療法は非薬物的介入で改善しない場合の選択肢として位置づけられています。ロナセンテープ単独でファーストラインとされているわけではありません。
参考)https://dementia-japan.org/wp-content/uploads/2025/06/guideline.pdf
岡山済生会病院の臨床研究でも、せん妄・BPSDに対する有用性が検討されていますが、あくまで他剤で効果不十分な場合の代替手段という整理です。横浜市総合保健医療センターのかかりつけ医向け研修資料でも、適応外であることを前置きした上で、副作用発現時に速やかに消退できる利点が紹介されています。
参考)https://www.okayamasaiseikai.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/07/220711-1.pdf
第一選択ではないということですね。
このため、処方を検討する際は院内のBPSD対応フローや認知症サポートチームと連携し、使用根拠をカルテに残しておくことが重要です。記録用のテンプレートを電子カルテに事前登録しておくと、後から見返す際の手間が減ります。
1日1回、毎日同じ時間帯に貼り替えるのが基本です。2枚以上使用する場合はテープ同士が重ならないようにする必要があります。
経口剤と比較して血中濃度が安定しやすく、認知機能への悪影響を回避しやすいという指摘もあります。老年期認知症のBPSDに対するブロナンセリン・テープの有用性を検討した研究でも、この点が利点として挙げられています。
参考)https://e-sakurahp.com/wp-content/uploads/2022/01/20220125.pdf
貼付後1~2週間は直射日光を避ける必要があります。これは紫外線による皮膚反応を防ぐためのルールです。
面積でイメージすると、テープ1枚は名刺の半分ほどの大きさで、貼る場所を毎回ずらすだけなら手間はそれほど大きくありません。
実は見落とされやすいのが、適応外使用に関する患者・家族への説明同意の記録不備です。せん妄やBPSDの急性期は本人の同意取得が難しく、家族への説明が後回しになりがちです。
東邦大学医療センター佐倉病院の公開文書のように、対象患者・承認日・対象期間を明文化した院内文書を整備している施設は、レセプト査定や監査の際に強い根拠になります。書式が整っていない施設は、後からトラブルになるリスクが高いと言えます。
説明同意のテンプレート不備は監査リスクに直結します。
電子カルテのテンプレート機能や、院内マニュアル管理システムを使って、適応外使用に関する説明文書を一元管理しておくのが現実的な対策です。担当チームでひな形を一度作成し、共有フォルダに保存しておく運用をおすすめします。
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