小児にペリアクチンを処方すると、眠くなって大人しくなる——そう思っていませんか。実は1〜6歳児では真逆の「興奮・異常行動」が報告されています。

ペリアクチンと聞くと、抗ヒスタミン薬らしい「眠気」を真っ先に思い浮かべる医療従事者は多いはずです。しかし添付文書を細かく見ると、精神神経系の副作用は眠気だけにとどまりません。
めまい、もうろう感、倦怠感、頭痛、不眠、しびれ感に加え、注意力低下やいらいら感、興奮、運動失調まで記載されています。臨床試験データでは74例中46例、つまり62.2%に何らかの副作用が確認され、そのうち眠気は41.9%、軽度の頻尿・多尿が14.9%、口渇が13.5%という内訳でした。
参考)医療用医薬品 : ペリアクチン (ペリアクチンシロップ0.0…
つまり半数以上で何らかの副作用が出るということですね。
加えて見落とされがちなのが食欲亢進です。シプロヘプタジンはセロトニン拮抗作用を持つため、もともと食欲増進目的で使われていた経緯があり、添付文書にも「食欲亢進」が副作用として明記されています。体重増加が気になる小児患者への長期投与では、この点を保護者に説明しておくと後々のクレームを防ぎやすくなります。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/DrugInfoPdf/00054474.pdf
最も意外性が高いのがこの項目です。一般的に抗ヒスタミン薬は「眠くさせる薬」というイメージが強いですが、シプロヘプタジン製剤では真逆の反応が報告されています。
副作用モニター情報によると、1〜6歳の3症例すべてで興奮や異常行動が確認されました。具体的には「服用後に泣きわめく状態が1〜2時間続いた」「石を食べようとした」「服用30分後に手の震えから興奮状態になり2時間ほど暴れた」というケースです。
これは使えそうです、とは言えない状況ですね。
専門家の見解では、抗ヒスタミン薬による中枢神経抑制系の抑制が痙攣閾値を下げて興奮を誘発する可能性に加え、シプロヘプタジン特有のセロトニン作用も関与しているのではないかと考察されています。小児への投与歴がある場合は、保護者に「興奮しやすくなることがある」と事前に伝えておくと、夜間の急な連絡を減らせます。
数字で見ると差は明確ですね。
熱性けいれんの既往歴は問診票だけでなく、お薬手帳や母子手帳の記載も合わせて確認する運用にしておくと見落としを防げます。
ペリアクチンは「子ども向けの薬」というイメージが先行しがちですが、すべての小児に使えるわけではありません。添付文書では新生児・低出生体重児への安全性は確立されていないため投与しないこととされています。
理由は明確で、新生児に投与した結果、無呼吸やチアノーゼ、呼吸困難を起こしたという報告があるためです。新生児への投与は避けるのが原則です。
乳幼児では過量投与により副作用が強く出るおそれがあるため、年齢と体重を十分考慮した用量調整が求められます。体重あたりで計算する習慣をつけておくと安全域を確保しやすくなります。
ここまでの情報を踏まえると、ペリアクチンの説明は「眠くなる薬」という一言で終わらせるべきではないことが分かります。むしろ小児では「興奮する可能性がある薬」として説明した方が、保護者の理解と納得感は高まります。
血液系の副作用として白血球減少や血小板減少、紫斑が報告されている点も見落とされがちです。長期投与する症例では、定期的な血液検査の計画を立てておくとリスクの早期発見につながります。
説明文書を作る際は、眠気・興奮・食欲亢進・熱性けいれんとの関係という4つの軸で整理すると伝わりやすくなります。情報を整理して伝えるだけでOKです。
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