日本骨粗鬆症学会 2026の参加と注目論点

第28回日本骨粗鬆症学会は2026年9月に新潟で開催されます。開催概要、プログラムから読み取れる診療課題、参加前後に医療現場で整理すべき視点を医療従事者向けに解説します。自施設の骨折予防と多職種連携にどう生かすでしょうか?

日本骨粗鬆症学会 2026の基礎知識と核心ガイド

骨粗鬆症診療を更新する三日間
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第28回学術集会は2026年9月11日から13日まで、新潟市の朱鷺メッセで開催される予定です。

多面的診療が中心テーマ

女性医学と整形老年病学を軸に、薬物治療、脆弱性骨折、転倒、栄養、地域連携を横断的に扱います。

持ち帰るべきは実装の設計

講演聴講だけで終えず、自施設の拾い上げ、治療継続支援、歯科連携、転倒予防へ具体化することが重要です。


第28回日本骨粗鬆症学会の開催概要



日本骨粗鬆症学会 2026として開催されるのは、第28回日本骨粗鬆症学会です。会期は2026年9月11日(金)から9月13日(日)までの3日間、会場は新潟県新潟市中央区万代島にある朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターです。テーマには「骨粗鬆症診療の多面的アプローチ ─女性医学と整形老年病学─」が掲げられています。会長は新潟リハビリテーション病院の山本智章氏と、新潟南病院女性診療科・婦人科の倉林工氏です。
このテーマは、骨粗鬆症を骨密度低下だけの問題として扱わず、性差、ライフコース、フレイル、併存疾患、手術、栄養、口腔、転倒、在宅・施設・地域医療まで含めて捉える必要性を示しています。とくに高齢患者では、脆弱性骨折の発生後に初めて骨粗鬆症治療を検討するのでは遅く、骨折前のリスク評価と、骨折後の二次骨折予防を一続きの診療プロセスとして設計する視点が求められます。
医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師、管理栄養士、歯科医師・歯科衛生士など、職種ごとに関心を持つプログラムは異なります。しかし、最終的に目指すべき成果は共通しています。それは、患者が転倒・骨折を避け、適切な治療を継続し、生活機能とQOLを維持できる体制を構築することです。
第28回日本骨粗鬆症学会 開催概要


日程と参加前に確認したい事項

会期中のプログラムは、初日である9月11日(金)が9時に開始し、最終日の9月13日(日)は17時にプログラム終了、17時20分に閉会の辞が予定されています。9月12日(土)には会員総会・表彰や情報交換会も予定されており、学術情報に加えて他施設の取り組みや職種横断の活動を把握する機会になります。参加計画を立てる際は、単に興味のある演題を並べるのではなく、自施設で現在詰まっている診療工程から逆算して講演を選ぶことが有用です。
たとえば、椎体骨折患者の治療開始率が低い施設では、脆弱性骨折後の二次骨折予防、FLS、救急・整形外科・回復期病棟の連携を扱う企画を優先します。経口薬のアドヒアランス不良や注射製剤の継続困難が問題なら、有害事象管理、薬剤師介入、患者教育、行動経済学を扱う講演を確認します。歯科受診歴の確認やMRONJへの不安が障壁となっている場合は、医科歯科連携と薬剤関連顎骨壊死に関する教育講演が実務に直結します。

項目 基準・内容 備考
学会名称 第28回日本骨粗鬆症学会 英語名はThe 28th Annual Meeting of Japan Osteoporosis Society
会期 2026年9月11日(金)~9月13日(日) 3日間開催
会場 朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター 新潟市中央区万代島6-1
テーマ 骨粗鬆症診療の多面的アプローチ 女性医学と整形老年病学を副題に設定
オンデマンド配信 教育講演全27講演が対象 その他のプログラムは配信対象外と案内されている
骨粗鬆症マネージャーレクチャーコース 9月13日(日)13時30分から17時 学会参加登録に加えて別途受講費が必要

公式案内では、Web抄録・電子抄録アプリが公開され、タイムテーブル、プログラム、講演情報の検索に利用できるとされています。また、オンデマンド配信は教育講演全27講演が対象であり、その他のプログラムは配信されない予定です。現地でしか得られないシンポジウム、症例検討、職種間の議論を優先し、後日視聴の可能性がある教育講演と分けて計画すると、限られた会期を有効に使いやすくなります。
第28回日本骨粗鬆症学会 日程表・プログラム


2026年プログラムから読む注目領域

プログラムには、診断・薬物療法という従来の中心課題に加え、患者のライフコース全体を扱うセッションが多く配置されています。女性医学との接点では、「女性のライフサイクルからみた骨代謝」「若年女性の骨粗鬆症を含む生活習慣病リスク」「妊娠後骨粗鬆症に対する臨床現場での対応」「若い女性における続発性骨粗鬆症の管理」などが予定されています。若年女性の低体重、過度な食事制限、無月経、妊娠・授乳関連の骨脆弱性は、高齢者診療だけを担う医療者にも重要です。紹介時の情報収集、鑑別、将来の妊娠希望を含む治療選択を考える必要があるためです。
高齢者医療・整形老年病学の領域では、大腿骨近位部骨折、脊椎圧迫骨折、回復期・地域包括・介護施設での治療、外傷救急、FLS、転倒予防、地域連携が大きな柱です。骨粗鬆症治療を開始しても、転倒リスク、サルコペニア、低栄養、認知機能、腎機能、ポリファーマシー、通院困難が残れば、骨折予防の効果を十分に引き出せません。治療薬の処方可否だけで終わらせず、患者が治療を続けられる条件を評価することが多面的アプローチの本質です。

  • 2025年ガイドラインの臨床活用を扱うシンポジウムでは、推奨を個別患者へ適用する視点を確認する
  • 骨代謝マーカー、DXA三次元画像解析、胸腹部CTを用いたスクリーニングでは、診断補助と経時評価の実装可能性を整理する
  • CKD、慢性疾患、がん患者、続発性骨粗鬆症では、原疾患と骨脆弱性を併せて評価する判断を見直す
  • MRONJと医科歯科連携では、治療開始前の歯科評価、侵襲的歯科処置時の情報共有、患者への説明手順を検討する
  • 栄養、低体重、ビタミンD、運動、転倒予防では、処方外の介入を誰がどのように担うかを明確にする

さらに、骨粗鬆症診療のAI・DX、診療データマネジメント、リアルワールドデータを用いたエビデンス創出など、データ活用をテーマとする企画も予定されています。DXは導入自体が目的ではありません。DXA、CT、電子カルテ、骨折レジストリ、服薬・注射履歴などの情報を用いて、治療すべき患者を見逃さず、脱落者を早期に把握し、アウトカムを評価するための仕組みとして捉えることが重要です。


多職種連携を自施設の骨折予防へ変換する

日本骨粗鬆症学会 2026では、骨粗鬆症マネージャー、看護師、地域薬剤師、理学療法士、栄養職、歯科職種の役割に関わる企画が充実しています。これは、骨粗鬆症診療が特定の診療科や一人の医師だけで完結しにくい現実を反映しています。とくに脆弱性骨折後は、急性期治療、骨粗鬆症評価、転倒評価、リハビリテーション、栄養介入、退院支援、地域フォローを連結しなければなりません。
自施設での実装を考える際は、「誰が、いつ、何を確認し、誰に引き継ぐのか」を可視化してください。たとえば大腿骨近位部骨折で入院した患者について、入院時に既存の骨粗鬆症治療歴を確認し、退院前に骨密度・椎体骨折・続発性要因・腎機能・カルシウムおよびビタミンD関連指標・歯科受診状況を評価する流れを設定します。そのうえで、薬物治療の開始または継続計画、注射日・内服日を含む継続支援、紹介先、退院後の転倒予防を記録し、責任者を明確にします。
薬剤師は、服薬・注射スケジュールの理解、腎機能や低カルシウム血症を含む安全性確認、併用薬、歯科処置予定、治療中断リスクの把握に寄与できます。看護師は、入院中から退院後までのセルフマネジメント支援、患者・家族教育、転倒リスク観察、地域連携の調整を担えます。リハビリテーション職は、疼痛や骨折部位、骨折リスクを踏まえた安全な運動・動作評価、歩行補助具、住環境、転倒予防に関わります。管理栄養士は、低栄養、たんぱく質摂取、カルシウム・ビタミンDを含む食事評価を通じ、薬物療法だけでは補えない骨・筋機能の土台を支えます。
重要なのは、各職種の取り組みを並列に置くだけではなく、患者の治療継続と骨折回避という共通指標につなげることです。学会で得た事例をそのまま移植するのではなく、自院の病床機能、スタッフ数、地域の紹介先、電子カルテの設定に合わせ、まずは一つの骨折病型や一つの病棟から小さく始めることが現実的です。


参加後に実行したい診療改善の手順

学会参加の成果を現場に残すには、帰院後の共有と行動計画が不可欠です。講演内容を要約して回覧するだけでは、診療フローは変わりません。参加前に自施設の課題を一つか二つに絞り、参加後に「何を変えるか」「いつまでに試行するか」「どの指標で確認するか」を決めると、情報収集を診療改善へ変換しやすくなります。
具体例として、脆弱性骨折患者への治療開始が不十分である場合、退院患者を対象に直近3か月の骨粗鬆症薬処方率、骨密度測定率、二次性骨粗鬆症の評価率、歯科連携実施率、紹介受診率を抽出します。その後、学会で得たFLSや地域連携の知見を踏まえ、退院前カンファレンスに骨粗鬆症チェック項目を組み込みます。試行後は、処方率だけでなく、退院後3か月・6か月の治療継続率、再転倒、再骨折、受診中断の有無を追跡できると、介入の実効性を評価できます。
また、2026年のプログラムには「臨床現場での2025年ガイドラインの活用」が含まれています。ガイドラインは重要な判断基盤ですが、実臨床では腎機能障害、悪性腫瘍、糖尿病、関節リウマチ、ステロイド使用、低栄養、歯科治療、認知機能低下、通院困難などの条件が重なります。推奨を暗記することよりも、患者背景を踏まえて治療目標と優先順位を共有し、治療中断を防ぐ支援を設計することが重要です。
第28回日本骨粗鬆症学会は、女性医学、整形老年病学、骨折後ケア、医科歯科連携、地域包括ケア、デジタル活用を横断して考える機会になります。参加の目的を「最新情報を知ること」で終わらせず、「自施設で見逃している患者を減らし、開始した治療を継続し、二次骨折を防ぐこと」と定義してください。そうすることで、学会の学びを患者の生活機能と長期予後に結び付けられるでしょうか?


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