カデックス軟膏の使い方とガーゼによる正しい処置法

カデックス軟膏の使い方とガーゼの選び方・交換頻度を医療従事者向けに解説。滲出液量・創面の状態別の使い分け、塗布量の目安、ポケット創への対応など、現場で役立つ実践的な知識を網羅。あなたの施設のケアは最適ですか?

カデックス軟膏の使い方とガーゼによる正しい処置法

ガーゼをそのまま当てると、ビーズが残って感染源になります。


📋 この記事の3つのポイント
💊
塗布量は「直径4cmに3g」が基本

約3mmの厚さで患部に均一に塗布。量が少なすぎると吸水・殺菌効果が不十分になります。

🩹
ガーゼ交換前の洗浄が最重要

カデキソマービーズを毎回しっかり洗い流さないと、残ったビーズが感染源になります。

⚠️
使うべき創面・使わない創面を見極める

滲出液が多い黄色期に適応。乾燥創・上皮化が進んだ創面には逆効果になる場合があります。


カデックス軟膏の基本情報と成分・作用機序



カデックス軟膏



カデックス軟膏(一般名:カデキソマー・ヨウ素)は、スミス・アンド・ネフューが製造する褥瘡・皮膚潰瘍治療剤です。 デンプンを原料としたポリマービーズ「カデキソマー150」の内部にヨウ素0.9%を担持させた、独自の構造を持つ軟膏です。 水溶性基剤(マクロゴール)を使用しているため、洗い流しやすいという利便性もあります。


参考)医療用医薬品 : カデックス (カデックス軟膏0.9%)


主な作用は2つです。


参考)カデックス軟膏 の特徴について~ガイドライン上の位置づけも~…


  • ヨウ素による殺菌作用:グラム陽性菌・陰性菌、MRSA、真菌など幅広い微生物に対して抗菌効果を発揮します
  • カデキソマービーズによる吸水作用:スポンジ状のビーズが創面の過剰な滲出液を吸収し、壊死組織・膿を物理的に除去します(化学的デブリードマン)


この2つの相乗効果により、黄色期(壊死組織+滲出液が多い状態)の褥瘡に対して高い効果を示します。 つまり「感染制御+創面清浄化」が基本です。


参考)【薬剤師向け】褥瘡治療におけるカデックス軟膏の臨床的役割|て…


日本褥瘡診療ガイドライン2017では、深い褥瘡の感染・壊死組織除去・黄色期での多量滲出液に対して推奨度「1A(最も高い推奨)」が与えられています。 また日本皮膚科学会ガイドライン(2023年版)でも、ステージIII以上の褥瘡に対して使用が提案されています。



カデックス軟膏の正しい塗布量と使い方の手順

カデックス軟膏の塗布量


添付文書に明記されている用法用量は、「潰瘍面を清拭後、通常1日1回、患部に約3mmの厚さに塗布する(直径4cmあたり3gを目安に)。滲出液の量が多い場合は1日2回塗布する」です。 この量が「目安」ではなく「最低基準」であることを意識してください。


参考)カデックス軟膏0.9%の基本情報・添付文書情報 - データイ…


処置の手順は以下の通りです。


1. 洗浄:生理食塩水またはぬるま湯で創面を十分に洗い流す。前回のカデキソマービーズが残っていないか必ず確認する
2. 清拭:清潔なガーゼで創面の水分を軽くふき取る
3. 塗布:創面に約3mmの厚さで均一に塗布。直径4cm(はがきの幅の約1/4)に対して3gが目安
4. 被覆:湿った状態を保ちながら、非固着性ガーゼや吸収性ガーゼで覆う
5. 固定:ガーゼがずれないようにテープで固定する


滲出液が「1日何度もガーゼを交換しなければならないほど多い」場合は1日2回に増やします。 逆に、量が少ないのに1日2回塗り重ねるのは乾燥を招き逆効果です。量の判断が条件です。



カデックス軟膏0.9%の添付文書・詳細情報(KEGG MEDICUS)


カデックス軟膏使用時のガーゼの選び方と交換のタイミング

ガーゼの選び方と交換のタイミング


ガーゼの選択はカデックス軟膏の効果を左右します。意外ですね。カデックス軟膏は創面への固着を起こしやすい素材との相性が悪く、剥がす際に肉芽を傷つけるリスクがあります。


参考)https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_of_geriatrics_50_5_597.pdf


ガーゼ選択のポイントは以下の通りです。


ガーゼの種類適否理由
非固着性ガーゼ(メロリン等)✅ 推奨肉芽に固着しにくく剥離時の損傷を最小化
吸収性ドレッシング(アルギネート等)✅ 推奨多量滲出液をしっかり吸収
通常の綿ガーゼ⚠️ 注意固着すると剥離時に出血・肉芽損傷のリスク
ポリウレタンフィルム単体❌ 不適透湿性が低く滲出液がこもる


交換のタイミングは、滲出液の量を基準にします。 ガーゼが飽和していたら即交換が原則です。飽和したまま放置すると、吸収した壊死組織や細菌が逆流(リーク)して周囲皮膚に刺激を与えます。1日1回の交換が基本ですが、滲出液が多い時は1日2回まで増やせます。


参考)https://smc-kanwa.jp/carenet/images/201601110_03.pdf


カデックス軟膏を使うべき創面・使わない創面の見極め方

使うべき創面・使わない創面


適切な創面の見極めは、カデックス軟膏が「薬」になるか「毒」になるかを決めます。これは使えそうです。


使うべき創面の特徴:


  • 滲出液が多く、ガーゼが1日に複数回飽和する
  • 黄色い壊死組織(スラフ・膿苔)が付着している
  • 感染徴候がある(発赤・腫脹・異臭・熱感)
  • ステージIII以上の深い褥瘡(黒色期〜黄色期)


使うべきでない創面の特徴。


  • 滲出液がほとんどない・乾燥した創面
  • 上皮化が進んでいる(ピンク色の肉芽が増生している)
  • ポケット形成が深い褥瘡(ビーズを洗い流しにくいため残留リスクが高い)


乾燥した創面に使い続けると、カデキソマービーズが逆に水分を奪い、治癒を遅延させます。創面の状態を毎回アセスメントすることが前提です。


また、ヨウ素過敏症の患者や甲状腺疾患を持つ患者への長期・広範囲使用は禁忌に準じた扱いが必要です。 長期使用では甲状腺機能の定期モニタリングも推奨されます。


カデックス軟膏のガイドライン上の位置づけと注意点(未病薬剤師.com)- 推奨度1Aの根拠と禁忌の詳細


ポケット創・深い褥瘡へのカデックス軟膏対応と代替薬の検討


深いポケット形成を伴う褥瘡は、カデックス軟膏の使いにくい場面のひとつです。ポケット内部にカデキソマービーズが入り込むと、洗浄で完全に洗い流すことが難しくなります。 残ったビーズは感染源になる可能性があり、これは大きなリスクです。


この場合の対応として、以下を検討します。

  • ポケット形成がある場合:ビーズが残らないよう、生理食塩水でのシリンジ洗浄を必ず実施。場合によってはカデックス外用散(粉末タイプ)への変更を検討する
  • 2ヶ月間使用しても改善がない場合:外科的デブリードマンや他の治療法への切り替えを必ず検討する(添付文書の重要注意事項)
  • 感染が深部に及ぶ場合:局所外用だけでなく、全身投与の抗菌薬を併用する


代替薬として、浸出液が少ない場合はゲーベンクリーム(スルファジアジン銀)、浸出液が多い別の選択肢としてユーパスタコーワ軟膏が挙げられます。 創面の「今の状態」に合わせて薬剤を変えることが、治癒を最短にする条件です。


なお、カデックス軟膏は薬価52.6円/gです。 直径4cm・3g塗布の場合1回約158円。感染延長による入院期間の延長コストと比較すると、適切に使えば非常にコストパフォーマンスの高い薬剤といえます。


日本老年医学会:褥瘡治療の実際②外用薬・医療材料の使い方 - 薬剤の選択基準と使い分けの根拠


対象ポイント
小児・乳児大人より強く効く。ODT状態(おむつ)に注意
顔(一般)Ⅳ群以下が推奨範囲。長期連用は眼科副作用に注意
眼瞼・目周囲医師指示がない限り原則使用禁止
陰部・陰嚢吸収率42倍。長期使用は全身副作用リスクあり
感染皮疹ステロイド単剤での使用は悪化リスクあり


副作用カテゴリ具体的な症状対応
皮膚局所反応そう痒・発赤・発疹(5%未満)、かぶれ・ヒリヒリ感(0.1%未満)e-pharma貼付中止・皮膚科受診
重大な副作用ショック・アナフィラキシー・喘息発作・呼吸困難 e-pharma即座に救急対応
腎機能影響尿量減少・浮腫 e-pharma腎機能モニタリング、中止検討
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