インフェクション 意味 医療 現場で使われる理由と定義

インフェクションの意味を医療現場の視点で解説。感染の定義、院内感染対策、不顕性感染と顕性感染の違い、そして感染とコロニゼーションの臨床的区別まで深掘りします。医療従事者が知っておくべき意外な事実とは?

インフェクション 意味 医療

インフェクション 意味 医療:3つの重要ポイント
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病原体の侵入と増殖

インフェクションとは、細菌やウイルスなどの病原微生物が生体の体内または表面に侵入し、定着して増殖する状態を指します。

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医療現場での重要性

院内感染対策や標準予防策の基本概念として、インフェクションの正確な理解が医療従事者に求められます。

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感染症との違い

インフェクション(感染)そのものと、それによって発症した感染症(infectious disease)は区別して理解する必要があります。


インフェクション 意味 医療 現場での基本定義



インフェクション(infection)とは、医学的に「病原微生物が生体の体内もしくは表面に寄生し、増殖するようになる事、またその過程」を指します。 英語の"infection"は、日本語では「感染」と訳され、医療現場で日常的に使用される重要用語です。


参考)感染 - Wikipedia


具体的な定義をみると、以下の要素が含まれます。


参考)Infection - Wikipedia


  • 病原体(細菌、ウイルス、真菌、原虫など)の生体への侵入
  • 侵入した病原体の組織内での増殖
  • 宿主組織の病原体およびその産生毒素に対する反応


この定義から分かるように、単に病原体が体表に付着しているだけではインフェクションとはみなされません。体内に侵入し、増殖可能な状態になることが必要です。


参考)感染(カンセン)とは? 意味や使い方 - コトバンク


医療現場では、インフェクションという言葉は「感染」だけでなく、「伝染病」「感染症」の意味でも使用されます。 例えば「尿路インフェクション(urinary tract infection)」のように、特定の部位の感染症を指す場合や、「院内インフェクション(nosocomial infection)」のように、感染が発生した環境を特定する場合など、文脈によって使い分けられます。


参考)英語「infection」の意味・使い方・読み方


インフェクション 意味 医療 院内感染対策との関係

医療現場においてインフェクションという用語が特に重要視されるのが、院内感染(医療関連感染)対策の文脈です。


参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/02/tp0202-1a.html


院内感染とは、「医療機関において患者が原疾患とは別に新たにり患した感染症、または医療従事者等が医療機関内において感染した感染症」を指します。 世界的には「医療関連感染(healthcare-associated infections; HAIs)」という用語が使用されることが多いです。



厚生労働省が示す感染防止の基本方針では、以下の対策が求められています。


参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/02/tp0202-1.html


  • 手指衛生(患者処置の前後の手指消毒)
  • 個人用防護具(手袋・ガウン・マスク等)の適切な使用
  • 標準的予防策(スタンダードプリコーション)の実施
  • 感染経路別予防策(空気予防策、飛沫予防策、接触予防策)


標準予防策の基本概念は、「感染症の有無にかかわらず、すべての患者の血液・体液・分泌物・排泄物、傷のある皮膚・粘膜を感染性のあるものとみなす」ことです。 この考え方は、1996年にCDC(米国疾病予防管理センター)が発表した医療施設における隔離予防策に由来し、現在では日本の医療機関でも広く採用されています。


参考)https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/safety_management/about/clinical_safety/2023_NCCH_boushishishin.pdf


意外な事実として、院内感染は「入院後48時間以降に発症した感染症」と定義されることが一般的ですが、これは潜伏期間を考慮した実務的な基準です。 病原体によって発病までの潜伏期間が異なるため、厳密には「病院内で曝露されて生じた感染」すべてが院内感染となります。


参考)院内感染


厚生労働省:医療施設における院内感染の防止について(詳細な対策方針)


一般社団法人 日本環境感染学会:用語集(感染関連用語の公式定義)


インフェクション 意味 医療 不顕性感染と顕性感染の違い

インフェクション(感染)が成立しても、必ずしも症状が現れるわけではありません。この点を理解することは、臨床現場で非常に重要です。


不顕性感染(inapparent infection)

  • 病原体に感染しているにもかかわらず、臨床的に確認しうる症状を示さない状態
  • 無症状感染、潜在感染、オカルト感染とも呼ばれる
  • 感染しても大部分がこの不顕性感染となる
  • 感染に無自覚のまま病原体を排出して感染源となる可能性がある


顕性感染(apparent infection)

  • 病原体が宿主に感染して発病し、症状や徴候を伴う状態
  • 発熱、炎症、臓器障害などの臨床症状が現れる
  • 免疫ができて治癒することもあれば、重症化して死亡することもある


この区別が重要な理由は、不顕性感染者が「無症状病原体保有者」として、知らずに感染拡大の原因となる可能性があるからです。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で、この概念は一般にも広く知られるようになりました。


参考)不顕性感染(フケンセイカンセン)について 【病院検索ホスピタ…


感染症法第6条第11項では、「無症状病原体保有者」が法律用語として定義されており、医学用語の不顕性感染と実質的に同じ意味を持ちます。 ただし、医学判断と法律判断が異なる結果になる場合があるため、臨床現場では注意が必要です。


参考)不顕性感染とは何か症状や診断方法


インフェクション 意味 医療 感染とコロニゼーションの臨床的区別

医療現場で特に重要でありながら、意外に理解されていない概念が「インフェクション(感染)」と「コロニゼーション(colonization:定着)」の区別です。


参考)https://ldh.la.gov/assets/oph/Center-PHCH/Center-CH/infectious-epi/HAI/MDRO2017/handouts/ColonizationvInfection.pdf


コロニゼーション(定着)の定義

  • 宿主の体表または体内に微生物が存在し、増殖している状態
  • 宿主と微生物の間に相互作用がない(臨床症状なし、免疫反応なし)
  • 組織への侵入や損傷を伴わない
  • 例:皮膚の常在菌、MRSAの保菌状態


インフェクション(感染)の定義

  • 病原体が宿主組織に侵入し、増殖する
  • 宿主の免疫反応を引き起こす
  • 炎症反応や臨床症状(発熱、白血球増多、膿など)を伴う
  • 組織損傷や病気を引き起こす可能性がある


参考)https://ldh.la.gov/assets/oph/Center-PHCH/Center-CH/infectious-epi/HAI/HAIworkshop2017/handoutsD1/ColonizationvInfection2017.pdf


この区別が臨床的に重要な理由は、抗菌薬の適正使用に関わるからです。 創面から細菌が検出されただけで「感染している」と判断して抗菌薬を投与するのは誤りです。創傷治療の専門家によると、「炎症の四徴候(発赤、腫脹、熱感、疼痛)がなければ感染(化膿)はしていない」と判断します。


参考)pubmed.ncbi.nlm.nih.gov


実際の臨床現場では、以下の基準で感染と定着を区別します。



項目コロニゼーション(定着)インフェクション(感染)
微生物の存在ありあり
増殖ありあり
宿主反応なしあり(免疫応答)
臨床症状なしあり(発熱、炎症など)
組織侵入なしあり
治療必要通常不要抗菌薬など必要


この区別を理解していないと、MRSAや緑膿菌などの耐性菌が創面から検出されただけで「感染」と誤判断し、不必要な抗菌薬使用につながります。 抗菌薬耐性(AMR)対策の観点からも、この概念の正確な理解が医療従事者に求められます。


参考)http://www.wound-treatment.jp/wound014.htm


創傷治療:InfectionとColonization(創傷感染の正しい理解)


PubMed: Infection versus colonization in the critical care unit(集中治療室での感染と定着の区別)


インフェクション 意味 医療 感染免疫と炎症反応の機序

インフェクションが成立すると、生体は病原体に対して免疫反応を引き起こします。この反応の一部が「炎症」です。


参考)感染免疫と炎症 (呼吸と循環 64巻2号)


炎症とは、「生体が傷害を受けた際に引き起こす一連の生体反応であり、異物や壊死した細胞を排除して生体恒常性を維持しようとする防御反応」です。 細菌やウイルス感染においては、以下の機序で炎症が引き起こされます。



1. 病原体の構成成分(PAMPs:病原体関連分子パターン)を、宿主のパターン認識受容体(PRRs)が感知
2. 自然免疫系が活性化され、炎症性サイトカインや炎症性メディエーターが産生
3. 好中球、マクロファージ、樹状細胞などの自然免疫担当細胞が動員
4. 「炎症」反応が引き起こされ、獲得免疫系も活性化


この機序を理解すると、なぜ感染と炎症が密接に関連しているかが分かります。ただし、注意すべき点は「炎症=感染」ではないことです。 外傷や熱傷、自己免疫疾患など、感染以外の原因でも炎症は起こり得ます。



医療現場で意外に誤解されている事実として、「創面から細菌が検出=感染」という考え方がありますが、これは前述の通り誤りです。 炎症の四徴候(発赤・腫脹・熱感・疼痛)がなければ、細菌が存在していても感染とは判断しません。



医書.jp:感染免疫と炎症(炎症の機序と免疫応答)

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