先発品を使えばスタチンとの併用は今も「禁忌」だと思っていませんか。実は2018年に添付文書が改訂され、腎機能正常例での原則禁忌は解除されています。

フェノフィブラートの先発品は、国内市場にトライコア(ヴィアトリス製薬)とリピディル(あすか製薬・武田薬品工業)の2ブランド4規格が流通しています 。いずれも53.3mg錠と80mg錠の2規格が存在し、実際には同一有効成分を異なるメーカーが製造販売しています 。
薬価の数字を正確に押さえておくことは処方コスト管理に直結します。先発品の薬価はリピディル錠80mgが19.8円/錠、トライコア錠80mgが20円/錠です 。これに対して後発品(例:フェノフィブラート錠80mg「武田テバ」)は10.4円/錠と、先発品のほぼ半額以下の水準です 。
つまり先発品と後発品の差は大きいです。
1日1錠・年間365日の長期投与を想定すると、先発品(リピディル80mg)で年間約7,227円、後発品で年間約3,796円となり、差額は約3,400円/年・患者1人となります。高脂血症は生涯にわたる治療が多いため、複数患者の長期処方では処方コスト全体への影響が無視できません。
| 販売名 | 区分 | 薬価(80mg錠) | 製造販売元 |
|---|---|---|---|
| トライコア錠80mg | 先発品 | 20.0円/錠 | ヴィアトリス製薬 |
| リピディル錠80mg | 先発品 | 19.8円/錠 | あすか製薬 |
| フェノフィブラート錠80mg「武田テバ」 | 後発品 | 10.4円/錠 | 武田テバファーマ |
これは使えそうです。処方時に先発・後発を意識的に使い分けるだけで、患者負担の軽減に繋がります。
フェノフィブラートの適応症は高脂血症(家族性を含む)です 。主たる作用機序はPPARα(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α)の活性化を通じた脂質代謝の包括的改善であり、血清コレステロール・トリグリセライドの低下とHDLコレステロールの上昇を同時に達成します 。
用法用量については、添付文書上の原則は「食後経口投与」です。53.3mgを2錠(106.6mg)~80mgを2錠(160mg)が標準的な投与量の幅です 。食後投与が原則となっているのは、フェノフィブラートが脂溶性であり食事による吸収促進効果があるためです。
参考)https://www.kotobuki-pharm.co.jp/prs2/wp-content/uploads/1f17fe732d2bff89ce234131e0b5cef6.pdf
食後投与が基本です。
カプセル剤の場合(寿製薬のフェノフィブラートカプセル製剤など)は規格換算が必要で、67mgカプセルが先発品53.3mg錠に、100mgカプセルが80mg錠に対応しています 。処方変更の際にはこの換算を正確に行わないと投与量の誤差が生じるため注意が条件です。
肝機能への影響も定期監視が必要です。AST・ALTが正常上限の2.5倍または100単位を継続して超えた場合は投与を中止する必要があり 、処方開始後の定期的な肝機能検査が推奨されます。
参考)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400813_2183006F3040_1_06
フェノフィブラートの使用禁忌を正確に把握することは、医療安全の根幹です。絶対禁忌には以下が含まれます :
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00060146.pdf
腎機能の評価に注意が必要なのは、eGFRだけでは低体重患者の腎機能低下を見逃す場合があるためです 。推定クレアチニンクリアランス(CCR)で50以下では慎重投与、30以下では投与中止が推奨されているフォーミュラリーも存在します 。これはeGFR基準のみを使用している施設では見落とされやすいポイントです。
意外ですね。
副作用については横紋筋融解症・肝機能障害に加え、静脈血栓塞栓症(肺塞栓症・深部静脈血栓症)のリスクがプラセボ群より高くなるとの報告があります 。長期投与時にはこのリスクも念頭に置いて患者観察を行うことが重要です。
また、ワルファリンとの相互作用には特に注意が必要で、フェノフィブラートはワルファリンの作用を増強するため、プロトロンビン時間を定期測定しながら抗凝固薬の用量調節を行う必要があります 。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=67060
スタチンとフィブラート系薬の併用は、以前は腎機能に関わらず「原則禁忌」とされていました。しかし2018年10月、厚生労働省はこの規制を大幅に緩和しました 。
参考)「スタチン」「フィブラート」併用の原則禁忌が解除 腎機能低下…
改訂の内容は以下の通りです。
この改訂の背景には、欧米ではスタチンとフィブラートの併用に原則禁忌の制限がなく、国内でも混合型高脂血症への併用ニーズが高かったことがあります 。日本動脈硬化学会が2018年4月に添付文書改訂の要望書を厚労省に提出し、同年9月の薬食審で了承されました 。
参考)https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=65481
つまり腎機能正常患者への慎重な併用は可能です。
ただし、腎排泄型フィブラートであるフェノフィブラートは腎機能低下時に血中濃度が上昇しやすく、スタチン併用時には筋障害リスクが特に高まります 。この点は2018年改訂後も変わらない注意点であり、定期的な腎機能・CK検査が不可欠です。
参考)https://pharmacist.m3.com/column/byouki_kusuri/7358
スタチン・フィブラート併用の原則禁忌解除に関する詳細(2018年改訂内容)
先発品から後発品への変更は薬価面で有利ですが、医療現場で実際に問題になるのが剤形・規格の非対応性です。これは添付文書を見ただけでは気づきにくいポイントです。
たとえば錠剤からカプセル剤への変更の際、寿製薬の後発カプセル剤は53.3mg錠の代替として67mgカプセルを使用します 。この場合、含有量が13.7mg増加することになりますが、添加物や溶出特性の違いから患者によっては血中濃度プロファイルが若干変わる可能性があります。
規格換算が条件です。
特に高齢患者や多剤併用患者では、先発品から後発品に変更した後の経過観察が重要です。フェノフィブラートの蛋白結合率は非常に高く、血液透析でも除去できないという特性があります 。透析患者には本剤は禁忌ですが、腎機能が軽度低下した高齢者では定期的なCCRの再評価が必要となります。
また、フォーミュラリーの観点からも先発品の位置づけは変化しています。院内採用薬として後発品のフェノフィブラート錠80mg「T'S」を採用し、先発品(リピディル)は院外採用のみとする施設も存在します 。在宅医療や外来患者への先発品処方を継続したいケースでは、院内・院外の採用状況を事前に確認する必要があります。
これは医師・薬剤師ともに確認すべき実務上の知識です。処方入力時に施設のフォーミュラリーや後発品採用状況をひとつ確認する習慣が、患者への継続的な薬物療法の質を担保します。
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