
日本の医師偏在問題は、単に「地方の医師不足」という単純な構図ではありません。厚生労働省の2024年12月末時点の統計によると、医療施設に従事する人口10万人あたりの医師数は、最も多い徳島県の345.4人に対し、最も少ない埼玉県は189.1人と1.8倍の開きがあります 。
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しかし、この数字だけでは見えない深層問題があります。首都圏では2つの駅に挟まれた3km圏内に同じ診療科のクリニックが10件近くある一方で、地方では35km離れたところに1件あるくらいで、さらにもっと離れると1件もないこともあるのです 。
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📊 医師偏在の意外な実態。
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厚生労働省 令和7年度無医地区等及び無歯科医地区等調査の結果
政府統計の最新データで医師偏在の現状を把握できます
健康寿命における地域格差は、多くの医療従事者が想像する以上に深刻です。日本人の不健康期間は2022年に男性8.49年・女性11.63年で、男女差は3.14年。47都道府県別では健康寿命1位は男女とも静岡県ですが、不健康期間の男女差(女性−男性)を47都道府県別に見ると、全国平均は3.14年ですが、地域差は1.57年〜4.68年と幅があります 。
参考)平均寿命と健康寿命の差、男女・都道府県のデータ図解【2026…
最も差が大きいのは神奈川県の4.68年で、宮城県4.01年、鳥取県3.97年、徳島県3.45年、奈良県3.68年が上位に並びます 。この数字は、単なる統計上の差ではなく、実際にその地域に住む人々の生活の質に直結する問題です。
🔍 健康寿命格差の深層。
慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)とワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)が2025年3月に発表した共同研究(Lancet Public Health誌掲載)では、日本国内における30年間の健康動向を分析した結果、都道府県間の健康格差が縮小していないこと、そして認知症や肥満といったリスクが健康寿命の伸びを鈍化させていることが明らかになりました 。
参考)平均寿命と健康寿命、広がる差の正体…ロンジェビティ市場3千億…
長寿は「みんなに平等に訪れる恩恵」ではなく、「誰がその恩恵を最大化できるか」という格差の物差しになりつつあるのです 。
さらに意外な事実として、平均寿命は東京23区内でも3才もの開きがあります。日本の平均寿命より寿命が長い区が、都心および西部に偏っていることに気づきます。杉澤先生によれば、平均寿命は生活保護受給率と逆相関関係にあるという 。
参考)平均寿命は東京23区内でも3才もの開きが。そこにある厳しい現…
「この数十年の間、生活保護受給率が示す貧困度のマップと、平均寿命が示す健康度のマップはほとんど変わっていません。生活保護受給世帯が多いい地域ほど寿命が短い状態が、数十年続いているのです」。
平均寿命と健康寿命の差、男女・都道府県のデータ図解
都道府県別の詳細な健康寿命データを確認できます
無医地区の問題は、単に「医師がいない」という次元を超えています。厚生労働省の令和7年度調査によると、無医地区数は、前回調査(令和4年10月末日:557地区)に比べて18地区増加の575地区となっています 。また、無医地区人口は、前回調査(令和4年10月末日:122,206人)に比べて12,547人増加の134,753人となっています 。
参考)令和7年度無医地区等及び無歯科医地区等調査の結果を公表します…
ここでいう無医地区(無歯科医地区)とは、「(歯科)医療機関のない地域で、当該地区の中心的な場所を起点として、概ね半径4キロメートルの区域内に50人以上が居住している地域で、かつ容易の医療機関を利用できない地区」をさします 。
参考)2025年10月時点で無医地区は全国575地区に増加、大分県…
🚨 地方の医療アクセスの現実。
参考)地方の医療アクセスの現実 — 移住前に確認すべき10項目 -…
問題は、専門医療と救急です。医師の高齢化も進んでおり、長年地域を支えてきた診療所が後継者不在で閉じるケースは、商店街の店じまいと同じ構図です 。
無医地区が575地区に増加、3年で18地区増と過疎化進行
無医地区増加の最新動向と背景を詳しく解説
2026年は医師偏在是正対策として、重要な改正が4月に施行されました。都市部などの外来医師過多区域における新規開設の事前届出制、地域医療への参加要請と、院長に一定期間の保険診療経験を求める保険医療機関の管理者要件です 。
都市部などの外来医師過多区域で無床診療所を新規開設するには、6ヶ月前までに都道府県知事へ事前届出が必要になりました 。
📋 2026年の主要対策。
参考)https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/physician-distribution-guidelines.html
参考)新・地域医療構想と医師確保|外科・麻酔の集約と医師派遣の再配…
参考)【医療ニュース解説】「献便」施設開設から地域医療偏在・感染症…
🎯 医学部定員削減の波。
厚生労働省は7月31日の検討会で、2028年度の医学部臨時定員について地域の実情に配慮しながら削減する方針を示しました 。各都道府県に必要な地域枠は確保しつつ、恒久定員内への地域枠設置を一層促進し一般枠の臨時定員を削減することが「適当」と明示 。
参考)https://www.phchd.com/jp/medicom/park/idea/medicom-medicalnews/82172
特に注目すべきは、新潟県の地域枠医師定着率が92%という高い数字を達成している点です。柔軟運用・手厚いサポートが功を奏した結果ですが、少子化が進んでおり、「医学部入学定員(臨時定員)の減員」を進めなければ、医師過剰が生じ、その弊害が出てしまうというジレンマもあります 。
参考)新潟県の地域枠医師定着率は92%、柔軟運用・手厚いサポート・…
🔮 独自視点:医療資源の「質的偏在」が見過ごされている
新・地域医療構想では、救急や手術の実績で担う機能が決まります。ただし実績を支えるのは医師です。外科・麻酔の集約、大学医局の供給力低下、都道府県主導の医師派遣の再配分という3つの構造から、機能選択と医師確保の関係を考慮する必要があります 。
第8次後期改定で何が変わったか?その主要思想を読み解く
医師偏在是正の最新ガイドライン改正の詳細を解説
医療従事者として知っておくべき意外な実態がいくつかあります。まず、医学科進学を妨げる要因として、1094校の高校の進路指導教員へ調査したところ、66.8%が「経済的に困難な家庭では医学科進学は難しい」、61.2%が「都市部の居住者のほうが医学科進学に有利」、42.9%が「経済的理由で医師を断念した生徒がいる」と回答しました 。
これは、地域格差が医師養成の段階から既に始まっていることを示唆しています。さらに、大都市出身者が将来も大都市での勤務を志向する割合が多いのに対し、人口少数地域出身の学生は将来も同様の地域で働くことを志向する特徴があり、学生の出身背景が医師の地域偏在の問題に深く関係していると分析されました 。
💡 医療従事者が押さえるべきポイント。
🌐 今後の展望。
特に、都道府県が設定する「二次医療圏」を単位とした地域医療体制の構築においては、都市部への医療資源の偏在化が進行する一方で、周縁部における急性期医療の維持や、災害時における業務継続能力(BCP)の確保が喫緊の課題となっています 。
高齢者のポリファーマシー対策、医師偏在、がん診療提供体制が主要テーマとなり、2026年7月第5週には医療・介護・障害福祉の制度改正・通知がまとめられました 。医療機関へのアクセスが困難な地域の実態を把握する統計であり、へき地医療、巡回診療、オンライン診療、医師・歯科医師の確保策を検討する基礎資料になります 。
参考)【2026年7月第5週】医療・介護・障害福祉の制度改正・通知…
2026年7月第5週 医療・介護・障害福祉の制度改正・通知まとめ
最新の制度改正情報を網羅的に確認できます
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