急速に落とせば早く効くと思っていませんか。実は投与時間を短縮すると腎障害のリスクが跳ね上がります。

添付文書上、成人には体重1kgあたり5mgを1日3回、8時間毎に1時間以上かけて点滴静注するのが基本です。脳炎・髄膜炎など重症例では、必要に応じて1回10mgまで増量できます。
つまり量よりもまず「時間をかける」ことが基本です。
小児の場合も成人と同じく1回5mgを8時間毎、1時間以上かけて投与しますが、上限は体重1kgあたり20mgまで引き上げられます。新生児単純ヘルペス感染症では1回10mgを10日間、8時間毎に投与するというやや特殊な用法になります。
投与量だけを見て「子どもだから少なめでいい」と考えるのは早計です。年齢よりも感染症の重症度で投与量設計が変わってくるからです。
これは目に見えない現象なので気づきにくいのが厄介な点です。
投与直後は無症状でも、翌日以降にクレアチニン値が急上昇するケースがあります。血液検査だけでなく尿量の推移も併せて観察することが早期発見につながります。
体感としては、点滴を早く終わらせて次の業務に移りたい場面ほど、このリスクは見落とされがちです。1時間かけるという時間感覚は、はがき1枚分の厚みほど「薄く長く」流すイメージで捉えると分かりやすいでしょう。
腎機能をリアルタイムでチェックしたい場面→投与前後のクレアチニン推移把握が目的→院内の腎機能別投与量計算ツールを確認する、という流れで運用している施設もあります。
参考)https://hokuto.app/antibacterialDrug/8w5YOBnafln6OSJVwuMw
腎機能が正常であれば8時間毎の投与が原則ですが、クレアチニンクリアランスが10〜50の場合は12〜24時間毎、10未満では24時間毎まで間隔を延長する必要があります。
腎機能に応じて間隔を調整するのが原則です。
血液透析患者の場合は5mg/kgを24時間毎とし、透析日は透析後に投与するのがルールです。この調整を怠ると、通常量でも体内蓄積が進み、意識障害などの中枢神経症状(アシクロビル脳症)を招く危険があります。
腎機能を見ずに標準量のまま投与し続けると、蓄積による副作用リスクが一気に高まります。これは知らないと大きな損失につながる典型例です。
腎機能低下患者にアシクロビルを通常量で投与し続けると、薬剤が体内に蓄積し、せん妄や意識障害などの中枢神経症状を起こすことがあります。この病態はアシクロビル脳症と呼ばれ、腎症よりも見落とされやすい合併症です。
症状が精神症状に似ているため、初期は認知症や不穏と誤認されることも少なくありません。
高齢者や腎機能が変動しやすい患者ほど、こまめなモニタリングが有効です。
つまり時間を守るだけでは不十分ということですね。
現場では、投与前に尿量や飲水量を確認し、必要であれば補液を追加してから点滴を開始する運用が推奨されています。腎機能をリアルタイムに近い形で把握したい場合→投与量の妥当性を素早く確認したい場面→腎機能別投与量計算アプリを併用する、という選択肢も広がっています。
このひと手間が、後々の腎障害トラブルを防ぐ分かれ道になります。