あなたが毎日何気なく出している1本のアンダームが、患者さんの湿疹を10%以上悪化させている可能性があります。

アンダーム軟膏の有効成分はブフェキサマクという非ステロイド性抗炎症薬で、かつては「ステロイドを使いたくないときの安心な選択肢」として評価されていました。
参考)https://sasakc.la.coocan.jp/sub92.htm
ブフェキサマクは急性湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、日光皮膚炎、おむつ皮膚炎などに対して外用で使用され、鎮痛・鎮痒・消炎を目的とした薬剤群に分類されます。
参考)http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se26/se2649725.html
この「非ステロイドである」というラベルが、ステロイド外用薬に慎重な医療従事者にとって心理的な安心材料となり、湿疹やアトピー性皮膚炎に幅広く処方されてきた歴史があります。
つまり「非ステロイドだから安全ということですね。」
この誤解が残ったまま使用されると、患者側から見れば「ステロイドじゃないと言われていたのに、使うほど湿疹が悪化した」という不信感につながり、あなたの説明負担は確実に増えてしまいます。
結論は非ステロイドでもリスクありです。
非ステロイド外用薬全般の安全性を見直す場面では、薬理だけでなく実臨床での副作用頻度に目を向けることが重要です。
つまりガイドライン確認が基本です。
アンダーム軟膏などブフェキサマク外用剤は、接触皮膚炎の発現リスクが治療上の有益性を上回ると判断され、2010年に欧州医薬品庁(EMA)が欧州全域で製造販売承認の取り消しを勧告しました。
参考)https://saiyaku.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/02/20100518a.pdf
日本でも過去3年間に重篤な接触皮膚炎の副作用報告が7件あり、欧州での規制状況と代替医薬品の存在を考慮して、メーカーが予防的な対応として販売中止を決定しました。
販売中止の流れだけ覚えておけばOKです。
この「7件」という数字は一見少なく感じられますが、皮膚科領域では軽症の接触皮膚炎が日常的に発生している可能性があり、すべてが重篤例として報告されるわけではありません。
臨床での感覚的評価として、10%以上の患者でかぶれが起こる、感作率が50%以上になるという指摘もあり、薬価が低く使いやすいイメージに反して、長期的にはかなり高いリスクを抱えていたことになります。
東京ドームの観客席約4万5千人をイメージすると、感作率50%は約2万2千人以上にアレルギー反応が出る規模感であり、「よくある副作用」の範囲を超えたインパクトを持つ数字です。
副作用頻度の高さに注意すれば大丈夫です。
こうした背景から、現在の日本ではアンダーム軟膏は医療用として販売中止となり、保険収載から外れています。
参考)https://www.kataoka-cl.com/doctor/2010/06/07/517/
それでも、過去に処方された経験から「昔からある非ステロイド外用薬」として記憶に残っている医療従事者は多く、在庫分や類似成分の外用剤を安易に選ぶと、欧州で問題となったのと同種のリスクを再び抱え込む可能性があります。
参考)ブフェキサマク - Wikipedia
つまり時代遅れの安心感は危険です。
アンダーム販売中止の背景を詳しく確認したい場合に有用です。
子どもクリニックのニュースレターでは、10%以上の患者がかぶれを起こす、感作される率は50%以上という医師の実感が紹介されており、「湿疹治療薬が湿疹の原因になる」という逆転現象が問題視されています。
湿疹やアトピー性皮膚炎を抱える患者にアンダームを長期使用すると、薬剤そのものに対するアレルギーが形成され、皮膚炎が慢性化・難治化し、原因同定までの時間が無駄に延びるリスクがあります。
参考)https://www.kodomo-iin.com/QA/QAbox2002/QA200203-005.html
つまり原因薬になり得るということですね。
感作性皮膚炎の問題は、単に「かぶれが出る」だけではなく、今後ブフェキサマクや構造が類似する薬剤に対する使用制限が生涯にわたって影響する可能性があります。
例えば、はがきの横幅(約10cm)程度の紅斑が出る状態でも、患者にとっては「前より悪化した」と感じられ、薬への信頼が大きく損なわれます。
薬剤への信頼低下が原則です。
外来の場面では、「塗り薬を変えてから急に赤くなった」「前の薬よりかゆみが強くなった」といった訴えが出た場合、使用薬剤の一覧からアンダームや同系統の外用薬を真っ先に疑う視点が重要です。
このとき、あなたが副作用の情報を事前に把握していれば、「この薬は接触皮膚炎を起こしやすいので中止し、別の薬に変えましょう」と、短時間で合理的な説明ができます。
副作用に注意すれば大丈夫です。
このリスク場面の対策としては「皮膚炎が改善しないときは、直近で変えた外用薬を一度リストアップして確認する」という行動がシンプルかつ強力で、日常診療の中にも取り込みやすいでしょう。
結論は薬歴の確認が条件です。
日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」には、アンダーム軟膏は治療薬として含まれておらず、非ステロイドだからといって安易に選ぶべき薬ではないというメッセージが暗に示されています。
これは、湿疹やアトピー性皮膚炎に対してステロイド外用薬の適正使用を重視する流れと、ブフェキサマクの接触皮膚炎リスクを加味した結果ともいえます。
現場では「ガイドラインに載っていないけれど昔から使っている薬」を惰性的に処方してしまうことがありますが、アンダームのような薬はまさにその典型例であり、今一度処方リストからの整理対象に挙げる価値があります。
ガイドライン外薬の扱いに注意すれば大丈夫です。
独自視点として重要なのは、「販売中止された薬が院内プロトコルや電子カルテのテンプレートに残ったままになっていないか」というチェックポイントです。
例えば、電子カルテの外用薬セットにアンダームが含まれていて、若手医師が「非ステロイドだから安全だろう」とそのまま選択してしまう状況は、あなたの施設でも起こり得ます。
つまりテンプレート見直しが基本です。
このリスク場面に対する対策としては、医療安全委員会や外来責任者が中心となり、「販売中止薬・高リスク薬のテンプレートからの削除」「推奨薬の明示」を一度実施しておくことが挙げられます。
狙いは、現場の処方行動が最新の安全性情報やガイドラインに沿うようにすることであり、結果として患者満足度やクレーム減少にもつながります。
あなたが一度院内のプロトコルを確認するだけでも、不要なアンダーム処方を大きく減らせる可能性があります。
結論は院内プロトコルの更新です。
アトピー性皮膚炎治療ガイドラインそのものは、日本皮膚科学会の公式サイトで公開されており、外用薬選択の原則や推奨度を確認するうえで有用です。
アンダームが載っていない理由を理解することで、「非ステロイドだから」という感覚的な選択から、「推奨度と安全性に基づいた選択」へシフトしやすくなります。
ガイドラインの外用薬推奨度を確認したいときに参考になります。
アンダーム軟膏とアトピー性皮膚炎ガイドラインの解説(ささもとこどもクリニック)
アンダーム軟膏の添付文書情報では、急性湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、おむつ皮膚炎、日光皮膚炎、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎、帯状疱疹、熱傷(第I・II度)、皮膚欠損創など、多岐にわたる皮膚疾患が適応として挙げられていました。
この広い適応が、「困ったらアンダームを塗っておけばよい」という誤った安心感を生み、結果として感作性皮膚炎を増やす一因になった可能性があります。
帯状疱疹や熱傷といった疾患では、病変の面積がはがき5枚分(東京ドームのグラウンドに置いた小さなマット程度)になることもあり、その範囲に高リスク薬を塗布することの影響は小さくありません。
広範囲使用に注意するということですね。
代替薬を選ぶ際の実務ポイントとしては、「疾患ごとのガイドライン推奨薬を確認する」「販売状況と副作用プロファイルをチェックする」「院内フォーミュラリで推奨度を決めておく」という三つのステップを押さえておくとスムーズです。
結論は疾患別に代替薬を整理することが原則です。
例えば、おむつ皮膚炎でのリスク場面を考えると、アンダームの長期使用による感作悪化を避けつつ、炎症と感染リスクを抑える必要があります。
この場面の対策としては、「まず保湿と刺激の軽減を徹底したうえで、必要に応じて低〜中等度のステロイド外用薬や、適切な抗菌薬外用剤を短期間使用する」というパスを院内で共有しておくことが有効です。
あなたがこのパスをメモしておけば、外来で迷う場面が減ります。
つまり場面ごとに処方の狙いを明確にすることです。
適応疾患を一覧で把握し、各疾患ごとに「アンダームではなく何を使うか」を決めておくことで、診療の一貫性が高まり、研修医や若手スタッフの処方教育にも役立ちます。
加えて、院内勉強会や薬剤師との連携を通じて、販売中止薬の情報共有を行うことで、在庫処理目的の安易な処方を防ぎ、医療安全の観点からもプラスになります。
代替薬選択のフローを一度作ってしまえば、現場での迷いは大きく減るはずです。
結論は院内で代替薬フローを共有することです。
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