あなたが毎日何気なく塗っているアンダーム軟膏が、数年後に全身紅斑と勤務不能を招く引き金になることがあります。

アンダーム軟膏は、有効成分として非ステロイド性抗炎症薬ブフェキサマクを5%含有する外用剤として、かつて急性湿疹や接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎などに広く用いられていました。
参考)https://sasakc.la.coocan.jp/sub92.htm
非ステロイドという薬効分類から、「ステロイドより安全」「小児や長期使用にも向く」というイメージで処方されていた時期があり、医師だけでなく看護師の間でも「比較的安心な塗り薬」として認識されていた施設は少なくありません。
参考)ブフェキサマク(非ステロイド性抗炎症成分)|登録販売者試験
つまり非ステロイド=安全ということですね。
この背景を踏まえると、「ステロイドは怖いから、まずアンダームで様子を見る」といった現場の意思決定は、結果的に患者を不要なリスクにさらす選択となり得ます。
参考)https://www.kataoka-cl.com/doctor/2010/06/07/517/
あなたが患者説明で「ステロイドではないので安心です」と言い切ってしまうと、その言葉は後からトラブルの火種になります。つまり慎重な情報提供が原則です。
ある小児科クリニックのニュースレターでは、「アンダームで10%以上かぶれる」という臨床的印象を紹介し、さらに「アンダームで感作される率は50%以上」という皮膚科医のコメントが引用されています。
10%という数字は、外来で10人に1人が問題を起こすイメージで、1日100人規模の外来なら、月に数人単位でアンダーム由来のかぶれが紛れ込む可能性があります。結論は頻度が軽視できないレベルです。
J-STAGEには「アンダーム軟膏による接触皮膚炎症候群」を扱った論文があり、パッチテストにおける至適濃度を検討しつつ、全身に及ぶ紅斑やびまん性皮疹など、単なる局所のかぶれにとどまらない症例が報告されています。
参考)ブフェキサマク含有外用剤による重症の接触皮膚炎の2例 (臨床…
症例報告では、帯状疱疹に対して腰部にアンダームを塗布したところ、外用4日目から塗布部および周囲に紅斑が出現し、その後、躯幹・四肢に広がる重症接触皮膚炎を呈したケースも記載されています。
腰だけに塗った薬で、結果的に全身が真っ赤になる。痛いですね。
これらのデータは、「ステロイドではないから副作用が少ない」という常識と真逆の現実を示しています。
つまりリスクを定量的に理解することが基本です。
2010年4月、欧州医薬品庁によるブフェキサマク含有外用剤の販売承認取り消し勧告を受け、日本でも帝國製薬および販売会社(日医工など)が、医療用ブフェキサマク外用剤の自主的販売中止を決定しました。
参考)https://saiyaku.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/02/20100518a.pdf
通知文書では、重篤な接触皮膚炎が全身に広がり治療が長期化するリスク、代替医薬品の存在、欧州規制状況を総合的に勘案した上で、「予防的な対応」として販売中止に踏み切ったことが明記されています。
参考)https://www.nichiiko.co.jp/medicine/files/10_051.pdf
これは安全サイドに振った判断ということですね。
臨床現場の医師ブログでは、「先月、非ステロイド系抗炎症薬ブフェキサマク外用軟膏『アンダーム』の製造中止が決定し、現在流通しているものは使用できるが、翌年3月31日で保険収載薬から外れるため、保険での処方はできなくなる」との記載があります。
この医師は4年前からアンダームの使用を中止し、電子カルテの約束処方から削除、新規処方を行わず、他院で処方されていたアンダーム希望者にも説明の上で代替薬へ切り替えていたと述べています。
つまり早期に撤退した医師もいたということですね。
例えば、院内に残った在庫をどう扱うか、既存患者が「前の先生はアンダームを出してくれていた」と訴えたとき、どのように背景を説明し、納得してもらうかなど、看護師・薬剤師・事務スタッフを含めた多職種連携が必要になったのです。
アンダームからの切り替え運用に注意すれば大丈夫です。
アンダーム軟膏は発売当初、「ステロイドを含まないがステロイドに代わる良い薬」と評価され、アトピー性皮膚炎や湿疹の治療に比較的広く使われた歴史があります。
日本皮膚科学会編の「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」では、アンダームはガイドライン上の推奨薬には含まれておらず、むしろ接触皮膚炎リスクを念頭に置いて慎重に扱うべき薬剤と位置づけられていました。
ガイドラインとのギャップが原則です。
小児科のQ&Aでは、「アトピー性皮膚炎などで大量に長期間使用すると、アンダームに対するアレルギーが形成され、症状がかえって悪化することもある」という旨の説明がなされており、保護者への指導時にこの点を明確にすることが推奨されています。
参考)https://www.kodomo-iin.com/QA/QAbox2002/QA200203-005.html
ここで問題になるのは、保護者が「ステロイドは怖いから、アンダームだけで治してください」と希望するケースで、医療従事者側も「非ステロイドなら安心」と安易に同調してしまうと、結果的にアンダーム由来の感作・悪化を招く可能性があることです。
つまり非ステロイド信仰に注意すれば大丈夫です。
臨床現場での具体的な工夫としては、
このような追加知識を共有すれば、「知らなかったから長期連用して悪化した」という事態を減らすことができるでしょう。これは使えそうです。
ブフェキサマク含有外用剤が販売終了した後、日本ではステロイド外用剤や、他の非ステロイド性抗炎症成分(ベンダザック、ウフェナマートなど)を含む外用剤が、アンダームの「代役」として用いられるようになりました。
参考)ブフェキサマク - Wikipedia
しかし、単に「別の非ステロイド薬に入れ替える」だけでは、接触皮膚炎リスクや患者の不安を十分にコントロールできない場合があります。
代替薬選択よりも、リスク説明が基本です。
例えば、
といった工夫は、院内全体の安全文化を高めるうえで有効です。
つまり仕組みでバイアスを減らすということですね。
このストーリーを通じて、「昔の常識が現在のエビデンスとずれること」「薬剤評価はアップデートされ続けること」を伝えれば、今後の新薬・新外用剤に対しても過度に楽観視せず、慎重に副作用情報を追う姿勢が育ちます。
エビデンスの更新に注意すれば大丈夫です。
アンダーム軟膏の販売中止理由や、接触皮膚炎・感作性皮膚炎のリスクについて、より詳細な公式情報を押さえておきたい医療従事者向けの日本語資料はいくつか存在します。
数字だけ覚えておけばOKです。
また、製造販売会社によるPDF通知「医療用ブフェキサマク外用剤の販売中止の決定について」では、製品一覧や薬効分類、接触皮膚炎が全身に広がり治療が長期化するケースが問題となったことなど、より技術的な背景が示されています。
J-STAGEの論文「アンダーム軟膏による接触皮膚炎症候群」は、パッチテスト濃度検討を含め、皮膚科的な視点からの詳細な検討が行われているため、皮膚科医や皮膚疾患を担当する看護師にとって、症例イメージと検査戦略を具体化するのに役立ちます。
結論は一次資料に目を通すことです。
アンダーム軟膏の販売中止理由と接触皮膚炎リスクの詳しい公式解説(過去3年間の重篤例件数など)に関する参考リンクです。
医療用ブフェキサマク外用剤の販売中止決定通知(製品一覧、背景事情、問い合わせ先など)に関する参考リンクです。
医療用ブフェキサマク外用剤の販売中止の決定について|製造販売会社通知PDF
アンダーム軟膏による接触皮膚炎症候群とパッチテスト至適濃度の検討に関する皮膚科学的な専門論文への参考リンクです。
あなたの現場では、まだ「非ステロイドだから安心」と説明している場面は残っていないでしょうか?
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