あなたが思う先発品、実は2種類で用途も真逆です。

ゾニサミドという一般名を聞くと、多くの医療従事者は抗てんかん薬エクセグランを思い浮かべます。
しかし実際には、同じ有効成分を使ったパーキンソン病治療薬トレリーフも先発品として存在しています。
エクセグランは1989年に発売され、部分発作や全般発作を含む幅広いてんかん治療に用いられます。
一方のトレリーフは2009年に登場し、レボドパ賦活作用を利用してパーキンソン病やレビー小体型認知症に伴うパーキンソニズムの治療に使われます。
参考)ゾニサミドOD錠25mgTRE「ZE」|製品情報|医療関係者…
つまり同一成分でも用途がまったく異なるということですね。
見た目や成分名だけで判断すると、適応外使用や処方意図の誤解につながりかねません。
薬価の違いも見逃せないポイントです。
エクセグラン100mg錠は29.8円と比較的安価ですが、トレリーフOD錠50mgは167.4円、100mg換算では334.8円にもなります。
同じ成分なのに、トレリーフはエクセグランの約11.2倍もの薬価が設定されているのです。
これは長さで例えるなら、はがき1枚分の薬価が突然、コピー用紙11枚分に膨れ上がるようなイメージです。
痛いですね。
後発品を選択する場合も、先発品との薬価差は成分によって幅があるため、都度確認することが大切です。
処方監査の場面では、薬価差を把握しておくと患者への説明もスムーズになります。院内の薬価一覧表やレセプトコンピュータの検索機能を活用し、薬価差を確認する習慣をつけておくと安心です。
エクセグランの適応は、部分発作(単純・複雑)、全般発作(強直間代発作、強直発作、非定型欠神発作など)、そして混合発作と幅広く設定されています。
対してトレリーフの適応は、パーキンソン病における症状の日内変動改善や、レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズムの治療に限定されます。
参考)https://www.sumitomo-chem.co.jp/rd/report/files/docs/2010-2J_7.pdf
作用機序としては、ナトリウムチャネルやT型カルシウムチャネルの阻害に加え、ドパミン・セロトニン・ノルアドレナリンの作用増強が関与していると考えられています。
ドパミン作用が高まる点が、パーキンソン病への効果につながっているとされています。
適応症が完全に分かれているため、処方箋の病名と薬剤名が一致しているか確認することが原則です。
特に電子カルテの病名連携機能を使っている施設では、病名マスタの紐付けミスがないか定期的にチェックしておくと、査定リスクを減らせます。
ここが意外と知られていない落とし穴です。
一般名処方で「ゾニサミド」とだけ記載された処方箋を見た場合、薬剤師は病名や診療科の情報から、エクセグラン系かトレリーフ系かを判断する必要があります。
精神科や神経内科からの処方であればてんかん治療目的、脳神経内科や老年科からであればパーキンソン病治療目的である可能性が高いと推測できますが、これはあくまで経験則にすぎません。
どういうことでしょうか?
病名情報が処方箋に記載されていないケースでは、疑義照会が必須になる場面も出てきます。
つまり一般名処方だからといって思考停止で調剤するのは危険だということです。
こうした取り違えを防ぐには、電子薬歴システムの適応症アラート機能を活用し、成分名だけでなく病名との整合性を自動チェックする設定にしておくことが有効です。
ジェネリック医薬品(後発品)を選ぶ際も注意が必要です。
現在流通しているゾニサミドOD錠TREは、先発品トレリーフのジェネリックであり、適応症は先発品と同一とされています。
一方でエクセグランのジェネリックも別途存在しており、両者は薬効分類名からして異なります。
同じ「ゾニサミド」という名前のジェネリックでも、由来する先発品によって適応が異なるため、単純に安いからと切り替えるのは避けるべきです。
〇〇なら問題ありませんという単純な話ではないということですね。
後発品変更の際は、必ず先発品名(エクセグラン由来かトレリーフ由来か)を確認し、適応症のズレがないかチェックすることが基本です。