あなたのその処方、6歳未満だと5割が耐性化

ゾフルーザを服用した子供に関して、保護者から最もよく聞かれるのが異常行動についてです。
具体的には「急に走り出す」「ベランダから飛び降りようとする」「人に襲われる気がして外に走り出す」といった行動が報告されています。
これらは発熱から2日間以内に多く見られ、小学生以上の男児での報告が目立ちます。
ただし女児でも起こり得ます。
重要なのは、この異常行動がゾフルーザ特有の副作用ではないという点です。
タミフルやリレンザなど、他の抗インフルエンザ薬でも同様の報告があり、薬を服用していない患者でも異常行動が確認されています。
つまりインフルエンザという病気自体が異常行動のリスク要因ということです。
処方薬の種類を変えれば防げる、という誤解は禁物です。
保護者への説明資材としては、塩野義製薬やPMDAが公開している患者向け資料が参考になります。窓の施錠やベランダに面していない部屋で寝かせるなど、具体的な事故防止策が記載されています。
ゾフルーザ服用時の異常行動対策について、PMDAが公開する保護者向け資料はこちら
異常行動ほど話題になりませんが、出血リスクも見逃せない副作用です。
添付文書には「血便、鼻出血、血尿等の出血があらわれることがある」と明記されています。
特に注意すべきは、20kg未満の小児に対応した顆粒製剤の承認に伴って追記された内容です。
新生児や乳児はビタミンK欠乏の状態にあることが多く、そこにゾフルーザを投与すると出血傾向が強まるおそれがあるとされています。
投与前に国内ガイドラインに基づいたビタミンK製剤の投与を確認することが条件です。
これを怠ると、意識障害や重篤な出血につながる可能性があります。
イメージとしては、出血量が「ティッシュを軽く汚す程度」で済むケースから、輸血を要するケースまで幅があります。
処方時にはビタミンK投与歴のカルテ記載を必ず確認する運用にしておくと安心です。
肝機能面では、ALT・AST増加が1%未満の頻度で報告されています。
重篤な肝機能障害の頻度は明確ではないものの、潜在的リスクとして添付文書上で注意喚起されています。
投与量は体重によって細かく分かれています。
40kg以上なら20mg錠2錠または顆粒4包、20kg以上40kg未満なら20mg錠1錠または顆粒2包という具合です。
10kg未満の乳幼児では顆粒50mg/kgという体重換算の計算が必要になります。
計算ミスは重大事故につながるため、院内で投与量換算表を掲示しておくと安全です。
体重確認は投与直前が原則です。
錠剤については「適切に経口投与できると判断された場合にのみ投与する」という条件があります。
嚥下が難しい年少児には顆粒製剤を選ぶのが基本です。
低出生体重児や新生児への安全性は確立していません。
投与の必要性は治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ判断する、というのが原則です。
「ゾフルーザとタミフル、どちらが副作用が少ないのか」という質問はよく受けます。
臨床試験のデータでは、ゾフルーザの副作用(下痢12例1.3%、ALT増加8例0.9%)は、タミフルでよく見られる嘔気・嘔吐と傾向が異なります。
一方でタミフルは消化器症状が中心で、異常行動についての注意喚起は両薬とも共通です。
薄いパンフレット1枚を読むだけでは違いが分かりにくいですね。
有効性の面では、B型インフルエンザに対してゾフルーザはタミフルより有熱期間が短いとの報告が複数あります。
家庭内での2次感染率についても、ゾフルーザ投与群はタミフル投与群より41.8%低いという結果が出ています。
これは家族内感染を抑えたい家庭にとって大きなメリットです。
ただし6歳未満への積極投与は推奨されていない点が前提になります。
年齢と型に応じた選択が原則です。
ここは検索上位の記事があまり触れない視点です。
日本小児科学会の最新指針では、6歳未満の小児に対してゾフルーザの積極的な使用を推奨しないと明記されています。
理由は低感受性変異ウイルスの出現率が年齢に強く関連するからです。
具体的には6歳未満で52.2%、6~11歳で18.9%、12歳以上では10.3%という報告があります。
6歳未満だとほぼ2人に1人という数字ですね。
野球場でいえば観客の半分が「変異あり」の状態というイメージです。
意外ですね。
変異ウイルスが出ても罹病期間に大きな差はないとする報告もありますが、地域社会への低感受性株の拡大リスクは否定できません。
つまり、低年齢児への処方は個々の患者だけでなく地域全体への影響も考える必要があるということです。
処方時には患者の年齢とインフルエンザの型(A型かB型か)を必ず確認し、6~11歳ならB型優先、5歳以下なら他剤検討という判断基準を持っておくと迷いません。
院内の処方プロトコルに年齢別フローチャートを組み込んでおくのも一つの方法です。
年齢別の推奨度や変異ウイルスの出現率について、日本小児科学会の最新治療指針はこちら
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