ソルデム3Aに含まれるカリウムは、1日必要量のわずか50%しか補えません。「3号液を入れておけばK補充は十分」と思っているなら、患者の低K血症を見逃すリスクがあります。

ソルデム3A輸液(テルモ製)の組成は、添付文書に明記されています。 500mL製剤1袋あたりの成分は以下のとおりです。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00054934.pdf
| 成分 | 500mL中の含有量 | 電解質(mEq/L換算) |
|---|---|---|
| ブドウ糖 | 21.5g | — |
| 塩化ナトリウム(NaCl) | 0.45g | Na⁺ 35mEq/L |
| 塩化カリウム(KCl) | 0.745g | K⁺ 20mEq/L |
| L-乳酸ナトリウム液 | 2.240g(乳酸Naとして1.120g) | L-乳酸イオン 20mEq/L・Cl⁻ 35mEq/L |
熱量は500mL製剤で86kcal、1000mL換算で172kcalです。 外見は無色澄明の液で、pHは5.0〜6.5、浸透圧比は約1です。
参考)https://x.com/yakuzaishi_p/status/2054136156535853165
ブドウ糖濃度は約4.3%(43g/L)。これは普通のブドウ糖液(5%)より低い数値です。エネルギー補給の目的では使えないということですね。
【JAPIC公式PDF】ソルデム3A輸液の添付文書(組成・電解質・pH・禁忌の原典)
| 製剤 | Na⁺ (mEq/L) | K⁺ (mEq/L) | ブドウ糖(g/L) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ソルデム3(3号液) | 50 | 20 | 27 | 基準維持液 |
| ソルデム3A(3号液) | 35 | 20 | 43 | Naが低く糖が多い |
| ソルデム3AG(高濃度糖加) | 35 | 20 | 75 | 糖質300kcal/Lに増量 |
ソルデム3AとソルデムAGは電解質(Na・K・Cl・乳酸)の組成はまったく同一で、違いはブドウ糖量だけです。 これは意外ですね。電解質の管理目的では、3Aと3AGに本質的な差はありません。
カリウム(K⁺)の1日必要量は成人で40〜60mEqとされています。ソルデム3Aを1000mL(20mEq)投与しただけでは明らかに不足することになり、低K血症への注意が欠かせません。
効能・効果は「経口摂取不能または不十分な場合の水分・電解質の補給・維持」と定められています。 適応の条件として、尿量が1日500mL以上、または1時間あたり20mL以上あることが望ましいとされています。
尿量が確保できない状態で投与を続けると、K⁺が排泄されずに高カリウム血症を誘発するリスクがあります。これが条件です。
禁忌は次のとおりです。
「肝障害があっても軽度なら使える」という判断には要注意です。L-乳酸ナトリウムは肝臓でHCO₃⁻(重炭酸)に代謝されますが、重篤な肝障害があるとこの代謝が滞り、乳酸アシドーシスを引き起こす危険があります。
【データインデックス】ソルデム3A輸液の効能・禁忌・注意事項の詳細情報
用法・用量は「通常成人1回500〜1000mLを点滴静注。投与速度は1時間あたり300〜500mL」と規定されています。 小児では1時間あたり50〜100mLです。
投与速度の管理は、特に高齢者で重要です。 一般に生理機能が低下しているため、投与速度を緩徐にして減量するよう注意が必要とされています。速すぎると脳浮腫・肺水腫・末梢浮腫・水中毒・高カリウム血症などの重大な副作用が起こりえます。
「1時間300〜500mLは速い」と感じる方も多いですが、これはあくまで成人の上限値です。実際の臨床では患者の状態・尿量・心機能を見ながら速度を決めるのが原則です。
実践でよくある確認ポイントをまとめます。
残液を翌日に使い回すことは禁止されています。これは見落としやすい点ですね。
ソルデム3Aの組成の中で最も見落とされがちなのが「L-乳酸ナトリウム」の存在です。なぜL-乳酸ナトリウムをわざわざ配合するのか、意外に理解されていません。
L-乳酸ナトリウムは、肝臓でピルビン酸を経由してHCO₃⁻(重炭酸イオン)に代謝されます。 これによってアシドーシスの是正を間接的にサポートします。生食(NaCl)だけを大量投与すると希釈性の代謝性アシドーシス(高Cl性アシドーシス)を起こすリスクがありますが、乳酸ナトリウム入りの輸液はこれを防ぐ効果があります。
L(左旋性)とD(右旋性)の乳酸があり、体内で代謝できるのはL体だけです。 ソルデム3AはL体のみを使用しているため、D乳酸が蓄積する心配がありません。これは使用上の大きな安全上の根拠になっています。
なお、重篤な肝障害がある患者では乳酸の代謝自体が障害されるため、禁忌とされています。 これが条件です。ラクテックR(乳酸リンゲル)も同様の機序による注意事項があり、共通した理解として持っておくと役立ちます。
【テルモ公式PDF】ソルデム3A輸液の製造販売元による薬効薬理・取扱い上の注意
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