身体障害者手帳4級はどの程度?基準を解説

身体障害者手帳4級は、視覚・聴覚・肢体不自由・内部障害などで日常生活や社会生活に一定の制限がある状態を対象とします。等級の考え方、代表的な認定基準、診断書作成時の確認点を理解できているでしょうか?

身体障害4級はどの程度?基礎知識と核心ガイド

4級認定の程度と確認点
4級は障害種別で判断する

4級は一律の生活像ではなく、視覚・聴覚・肢体・内部障害ごとの法定基準に照らして個別に判定されます。

検査値と生活制限を確認する

内部障害では検査値だけでなく、家庭内や社会生活で可能な活動範囲、治療の継続性なども認定に関わります。

申請は15条指定医の診断書

手帳申請には、障害種別について指定を受けた身体障害者福祉法15条指定医の診断書・意見書が必要です。

身体障害者手帳4級とは何を示す等級か


身体障害者手帳の4級は、身体障害者福祉法施行規則の身体障害者障害程度等級表に定められた等級の一つです。手帳の等級は「症状が軽い順」だけを単純に表す数字ではありません。視覚障害、聴覚・平衡機能障害、音声・言語・そしゃく機能障害、肢体不自由、心臓・腎臓・呼吸器などの内部障害といった障害種別ごとに、障害の部位、機能低下の程度、検査結果、日常生活活動への影響を踏まえて判定されます。
したがって、「身体障害4級はどの程度か」という問いには、4級だから必ず歩ける、働ける、介助が不要といった一律の答えはありません。例えば、片側上肢の親指機能障害と、両耳の高度難聴、ストマ造設後の状態、呼吸機能低下は、いずれも4級の対象になり得ますが、困難が生じる場面や必要な支援は大きく異なります。医療従事者は、等級名のみから生活能力を推測せず、障害種別、病態、検査所見、治療内容、本人の生活環境を合わせて評価することが重要です。厚生労働省の等級表では、4級に該当する状態が障害種別ごとに具体的に列挙されています。


参考)https://www.mhlw.go.jp/content/0000172197.pdf
また、身体障害者手帳と障害年金、要介護認定、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳は、それぞれ制度目的と判定基準が異なります。身体障害者手帳が4級であることだけから、障害年金の受給可否、介護保険の要介護度、就労可能性、運転の可否などを直接判断することはできません。

障害種別ごとの4級の代表例

4級の基準は多岐にわたるため、患者説明や診断書作成の際には、対象となる障害種別の基準を確認する必要があります。以下は、法定の身体障害者障害程度等級表および身体障害認定基準に示されている代表例です。実際の認定では、診断書・意見書の記載、必要な検査、障害が永続するかまたは一定期間継続しているかなどを含め、自治体が総合的に審査します。


障害種別 4級の代表的な基準・内容 確認時の留意点
視覚障害 良い方の眼の視力が0.08以上0.1以下、または両眼の周辺視野角度の総和が左右それぞれ80度以下など 矯正視力、視野検査の方法、中心視野・周辺視野の所見を確認する
聴覚障害 両耳の聴力レベルが80dB以上、または両耳による普通話声の最良語音明瞭度が50%以下 純音聴力検査だけでなく、語音明瞭度の評価が必要となる場合がある
音声・言語・そしゃく 音声機能、言語機能またはそしゃく機能の著しい障害 原因疾患、発声・構音・意思伝達・摂食における実用的な支障を記載する
上肢の肢体不自由 一上肢の親指の機能の著しい障害、または示指を含む一上肢二指の欠損・機能全廃など 関節可動域、筋力、巧緻動作、欠損部位と手指機能を具体的に評価する
下肢の肢体不自由 一下肢の機能の軽度障害、股・膝・足関節のいずれか一関節の軽度障害、下肢短縮など 可動域のみでなく、歩行、立ち上がり、補装具使用時の機能も確認する
心臓機能障害 家庭内の通常の日常生活や社会での極めて温和な活動には支障がないが、それ以上の活動で症状が出現する状態など 症状、心電図・画像所見、治療内容、活動制限の整合性を確認する
腎臓機能障害 内因性クレアチニンクリアランス20以上30mL/分未満、または血清クレアチニン3.0以上5.0mg/dL未満で、活動制限または関連所見を伴う状態 検査値だけでなく、日常生活上の制限や腎不全に伴う所見を確認する
呼吸器機能障害 予測肺活量1秒率が30超40以下、または動脈血酸素分圧が60Torr超70Torr以下など 呼吸機能検査、血液ガス、臨床所見が判定の基礎になる
ぼうこう・直腸機能障害 腸管または尿路変向のストマ、治癒困難な腸瘻、高度の排尿機能障害または排便機能障害 ストマの有無、自己導尿・カテーテル留置の必要性、術後経過を確認する

表に挙げた内容は代表例であり、障害種別によっては4級以外の等級構成や、年齢・手術後の経過期間・治療状況に関する個別の取扱いがあります。例えば、ストマを有する場合は原則としてストマ造設直後から該当等級の認定対象となる一方、合併症による上位等級の判断では一定の経過観察期間が必要になる場合があります。


参考)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2760&dataType=1&pageNo=2dataType=1href="https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2760&dataType=1&pageNo=2">https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2760&dataType=1&pageNo=2pageNo=2" target="_blank" rel="noopener">・身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について…
身体障害者障害程度等級表(厚生労働省)

肢体不自由の4級で確認したい日常生活動作

肢体不自由における4級は、単に「少し動かしにくい」状態を指すものではなく、手指、上肢、下肢、体幹、または乳幼児期以前の非進行性脳病変による運動機能障害について、等級表と認定基準に沿って評価されます。欠損、関節機能、筋力低下、麻痺、不随意運動、失調、実用的な動作能力などが判断材料になります。
脳性麻痺などに伴う運動機能障害では、一定の能力テストが認定基準に位置付けられています。両上肢の機能障害では5分間の紐むすびテスト、一上肢の機能障害では封筒を固定する、財布から硬貨を出す、傘をさす、健側の爪を切る、健側の袖口ボタンを留めるという5動作の可否が評価の例です。4級の目安として、両上肢では紐むすびが56本以下、一上肢では5動作のうち可能な動作が2つにとどまる場合が示されています。


移動機能については、椅子から立ち上がり、10m歩行し、再び椅子に座る一連の動作に15秒以上かかる状態が4級の判定例として示されています。ただし、この数値だけで機械的に結論づけるのではなく、原疾患、下肢・体幹の機能障害、補装具の使用状況、転倒リスク、疲労による変動、日常生活上の実際の困難を踏まえた評価が必要です。


  • 手指では、利き手・非利き手、対立動作、つまみ動作、把持、書字、食具操作、整容動作への影響を確認する
  • 上肢では、関節可動域、筋力、疼痛、巧緻性に加え、更衣、洗面、調理、家事、就労上の操作能力を把握する
  • 下肢では、立位保持、歩行距離、階段昇降、立ち上がり、屋内外移動、補装具や杖の使用状況を確認する
  • 体幹では、座位・立位の保持、起居動作、呼吸や摂食への影響、疼痛や疲労による活動制限を評価する
  • 診断書には、検査値だけでは伝わらない実用的機能と、障害が固定または継続している根拠を具体的に記載する

なお、身体障害者手帳の「4級」は、障害のある人の能力や社会参加の可能性を限定するラベルではありません。適切な補装具、リハビリテーション、職場環境の調整、情報保障、移動支援によって活動範囲が大きく変わることがあります。医療従事者には、認定基準を正確に扱うと同時に、本人の生活目標に沿って必要な連携先を提案する姿勢が求められます。

内部障害の4級は検査値だけで決まるのか

心臓、腎臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、HIVによる免疫、肝臓といった内部障害では、4級に該当するかどうかを検査値だけで判断できるわけではありません。認定基準では、数値基準に加え、家庭内の日常生活、社会での極めて温和な活動、それを超える活動における制限、必要な治療、症状や合併所見を組み合わせて評価する考え方が採用されています。


例えば腎臓機能障害の4級では、内因性クレアチニンクリアランスが20mL/分以上30mL/分未満、または血清クレアチニンが3.0mg/dL以上5.0mg/dL未満であることに加え、家庭内での通常の日常生活または社会での極めて温和な活動には支障がないものの、それ以上の活動が著しく制限される状態、あるいは腎不全に基づく所見が2つ以上ある状態が基準として示されています。検査値の一時点だけを抽出せず、臨床経過と生活制限の整合性を確認することが大切です。


呼吸器機能障害では、予測肺活量1秒率が30%を超え40%以下、または動脈血酸素分圧が60Torrを超え70Torr以下などが4級の基準です。心臓機能障害では、通常の家庭内生活や極めて温和な社会活動は可能でも、それを超える活動で心不全症状や狭心症症状が出現する状態などが対象となります。疾患名のみ、ペースメーカーの有無のみ、息切れの主観的訴えのみで等級を決めるのではなく、基準に対応した検査・臨床所見・活動制限を診断書上で明瞭に示す必要があります。


ぼうこう・直腸機能障害では、永久的な腸管ストマまたは尿路変向ストマを有する状態、高度の排尿機能障害または排便機能障害などが4級の対象です。自己導尿やカテーテル留置を常時要する神経因性ぼうこうなどでは、原因、処置の必要性、手術後の経過、今後の再認定の必要性についても正確な記載が重要になります。


身体障害者障害程度等級表の解説(厚生労働省)

診断書作成と申請時に医療従事者が押さえる点

身体障害者手帳の申請には、障害種別ごとに身体障害者福祉法第15条に基づく指定を受けた医師が作成した診断書・意見書が必要です。主治医であっても、当該障害種別の15条指定医でなければ原則として手帳用診断書・意見書を作成できません。患者から相談を受けた場合には、まず自院・自科の医師が対象障害の指定を受けているか、自治体の指定医名簿等で確認する流れが実務的です。


参考)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb5830&dataType=1&pageNo=1dataType=1href="https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb5830&dataType=1&pageNo=1">https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb5830&dataType=1&pageNo=1pageNo=1" target="_blank" rel="noopener">・身体障害者手帳に係る交付手続き及び医師の指定に関する取扱い…
申請先は居住地の都道府県知事であり、政令指定都市または中核市ではその市長となります。実務上は、居住地の市区町村にある障害福祉担当窓口で案内されることが一般的ですが、必要書類、写真の有無、申請書の様式、マイナンバー関連書類、代理申請の可否などは自治体により確認が必要です。申請後、自治体は提出された診断書・意見書に疑義や不明点がある場合、作成医への照会、再検査、追加検査、別の指定医による診断を求めることがあります。


診断書作成時は、患者の希望する等級を前提に表現を合わせるのではなく、認定基準に対して客観的かつ再現可能な情報を記載します。原疾患名、発症時期、治療歴、症状の経過、検査日と検査方法、障害固定または継続性、具体的なADL・IADL上の制限、補装具や医療機器の使用状況を整合させることが基本です。特に内部障害では、「日常生活に支障あり」といった抽象的な記載だけではなく、どの程度の活動でどの症状が現れ、どの活動が制限されるのかを、基準の文言と臨床事実に沿って具体化することが重要です。
患者説明では、4級の認定見込みを断定しないことも大切です。最終的な認定は自治体が診断書・意見書等をもとに行い、必要に応じて追加確認や審査が行われます。医療機関側は、本人が抱える生活上の困難を丁寧に聴き取り、適切な指定医への紹介、医療ソーシャルワーカーとの連携、自治体窓口への相談につなげることで、申請手続きの負担を減らすことができます。


身体障害者手帳の交付手続きと指定医の取扱い(厚生労働省)




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