
心理士資格を理解する上で最も重要なポイントは、資格の法的な位置づけです。大きく分けて国家資格と民間資格の2種類に分類されます。
参考)臨床心理士と公認心理師の4つの違いを解説|選択肢となる研究科…
国家資格とは、国が法律で定めた基準に基づき、一定の知識や技能を有することを証明する資格です。心理職においては、2017年に施行された「公認心理師法」に基づく公認心理師が唯一の国家資格となります。
参考)公認心理師と臨床心理士の違いを徹底比較|資格・仕事・年収・大…
一方、民間資格は、民間団体や協会が独自の基準で認定する資格です。代表的なものとして、1988年から続く臨床心理士があります。これは「日本臨床心理士資格認定協会」が認定する民間資格ですが、40年近い歴史と社会的信頼を誇ります。
意外な事実として、臨床心理士は国家資格ではないものの、心理系資格の中では「最高峰」と位置づけられてきた経緯があります。公認心理師が誕生するまでは、心理職の資格はすべて民間資格だったのです。
参考)公認心理師と臨床心理士の違いとは? 資格の特徴や仕事内容をわ…
各資格の取得ルートは大きく異なります。ここでは主要3資格の取得方法を詳しく解説します。
公認心理師の取得方法
公認心理師になるには、以下の2つのルートのいずれかを満たす必要があります。
参考)公認心理師と臨床心理士の違いとは?仕事内容や資格の取り方を徹…
臨床心理士の取得方法
臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が指定する大学院(臨床心理士指定大学院)を修了することが受験資格の中心となります。
参考)臨床心理士は国家資格?公認心理師との違いや目指し方を解説|ニ…
公認心理師と異なり、学部での専攻に制限がないため、他分野から心理職を目指す人にとってアクセスしやすい資格と言えます。
産業カウンセラーの取得方法
産業カウンセラーは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する資格です。2026年3月31日付で、厚生労働省より職業能力開発促進法に基づく団体検定として認定を受け、公的資格となりました。
参考)立正大学コラム − 心理学に関する職業とは 就職業界や職種・…
大学院研究科において心理学または隣接諸科学を修了した者など、複数の受験資格ルートが用意されています。
参考)https://www.counselor.or.jp/examination/tabid/111/Default.aspx
資格を取得した後の維持要件も、資格選択の重要な判断材料になります。
公認心理師: 更新不要
公認心理師は国家資格であり、一度取得すると更新制度はありません。登録してしまえば基本的に永久に所持できる資格です。
臨床心理士: 5年ごとの更新が必要
臨床心理士は、5年ごとの資格更新が義務付けられています。更新のためには以下の活動を通じて「ポイント」を溜める必要があります。
この制度により、臨床心理士は常に最新の知識と技能を維持することが求められます。勉強を怠っていると更新ができないという縛りがあるため、専門家としての質が担保される仕組みになっています。
産業カウンセラー: 更新制度あり
産業カウンセラーも更新制度があり、一定期間ごとに更新手続きが必要です。
医療・保健領域
具体的な業務内容:
働き方の例として、常勤・非常勤、複数施設の掛け持ちなどがあります。
参考)公認心理師のキャリアパス|5つの活躍領域・働き方・年収を例で…
教育領域
学校での活動内容:
教育領域では非常勤(週1〜数日)で、複数校の掛け持ちが多いという特徴があります。
産業・労働領域
福祉領域
発達支援センター、障害福祉、地域包括支援センターなどで、心理的支援を行います。公認心理師の就職先では福祉分野が約21%を占めています。
司法・犯罪領域
矯正施設、少年院、警察などの司法機関で、犯罪者の心理評価や更生支援を行います。
資格取得の難易度も、選択の重要な判断材料です。
公認心理師の合格率
公認心理師国家試験の合格率は、試験回によって変動がありますが、50%程度の水準を保っています。
過去の合格率データ:
公認心理師試験の難易度は、合格率が50%程度とされており、ハードルの高い受験資格がある中で、択一式のみの試験であるため、対策を立てれば十分合格できるレベルとされています。
参考)公認心理師試験とは?受験資格・科目・合格率・難易度・合格基準…
合格基準として、基本的に総得点(230点)の60%程度以上、つまり138点以上を獲得できれば合格です。
臨床心理士の合格率
臨床心理士試験の合格率は例年60%台で推移しており、極端に低いわけではありません。過去10年間における臨床心理士試験の合格率は、約60〜67%です。
参考)【2026】臨床心理士資格の難易度!試験の合格率や合格点を解…
臨床心理士は、心理系資格の中で最も取得難易度が高い資格の一つとされていますが、これは指定大学院修了という高い受験資格要件があるためです。
意外な事実: 受験者数の減少傾向
公認心理師試験は、開始された当初は受験者数36,103人に対し28,574人の合格で79.1%の合格率でしたが、回を追うごとに受験者数が減少し、第9回では2,400人にまで減少しています。これは、受験資格の厳格化や、学部要件の制限が影響していると考えられます。
医療現場において、心理士と他の医療従事者との連携は不可欠です。特に、精神保健福祉士との役割分担は重要なポイントです。
精神保健福祉士との違い
精神保健福祉士(PSW)は、精神保健福祉士法に基づく国家資格で、精神障害者の社会復帰に関する相談援助を主な業務とします。
精神保健福祉士の主な業務:
一方、公認心理師や臨床心理士は、心理検査や心理療法など、より心理学的なアプローチに特化しています。
医療チームでの連携
実際の医療現場では、以下のような連携が行われています。
このように、各専門職がそれぞれの専門性を発揮し、チームとして患者を支援する体制が構築されています。
トリプルライセンスの価値
近年注目されているのが、「社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師」のトリプルライセンスです。福祉や心理支援の専門性を高めたい方にとって、キャリアの選択肢を広げる有効な手段となっています。
参考)社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師のトリプルライセンスは…
社会福祉士である者については、精神保健福祉士試験との共通科目(10科目)の試験が免除されるなど、複数の資格を取得するメリットも存在します。
参考)https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/seishinhokenhukushishi/index.html
最後に、どの資格を選択すべきかについてのアドバイスをまとめます。
公認心理師を選ぶべき人
参考)公認心理師と臨床心理士の違いとは?比較表でわかりやすく紹介
臨床心理士を選ぶべき人
産業カウンセラーを選ぶべき人
将来性について
公認心理師は国家資格として、医療・福祉・教育など幅広い分野での多職種連携を重視し、国民全体の心の健康を支える役割が期待されています。
一方、臨床心理士は長い歴史と実績があり、心理療法など深い臨床実践力が問われ、面接試験や資格更新を通じて、専門家としての質が担保されるという特徴があります。
どちらの資格も、それぞれの強みを持ち、社会における重要な役割を担っています。自分の目指すキャリアパスや、学びたい分野を考慮して、最適な資格を選択することが大切です。
厚生労働省 公認心理師について
公認心理師法の概要や国家試験の詳細が記載された公式情報源
日本臨床心理士資格認定協会
臨床心理士の受験資格や試験情報、更新制度の詳細が掲載された公式サイト
一般社団法人日本産業カウンセラー協会
産業カウンセラーの養成講座や試験情報、資格維持要件が記載された公式サイト
【第2類医薬品】命の母A 840錠