東京大学大学院医学系研究科 神経病理学分野は、脳神経医学専攻・基礎神経医学講座に位置し、齊藤貴志教授が2026年2月より新体制を率いる研究室です 。本分野の前身である脳研究施設・脳病理学部門は、白木博次博士(初代教授)が本邦の臨床神経病理学の礎を築き、朝長正徳博士(第三代)が老年性神経疾患研究を推進、井原康夫博士(第四代)がアルツハイマー病の病理生化学を世界トップレベルに引き上げました 。
現在の研究対象は、脳の老化過程と密接な関係を有するアルツハイマー病とパーキンソン病を中心とした神経変性疾患。発症機構の解明から、病態に根ざした根本的治療法の創出までを一貫して目指しています 。
参考)神経病理学

東京大学神経病理学分野が掲げる研究項目は多岐にわたります。主要な5つのテーマを以下に整理します。
特に注目すべきは、2023年に発表された「タウが脳から除去されるメカニズム」の解明です。この発見は、アルツハイマー病をはじめとする認知症性疾患の治療ターゲットとして新たな可能性を開きました 。
参考)最近の研究成果
岩坪威前教授(第五代教授、2007年9月〜2026年1月在任)は、アルツハイマー病の原因タンパク質であるβアミロイドの形成機構を解明し、2012年に米国神経学会より「ポタムキン賞」を受賞しています 。また、J-ADNI(Japanese Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative)研究を主導し、抗アミロイド薬などの臨床治験に必須となる脳画像・バイオマーカー・臨床指標の評価基準を制定しました 。
参考)大学院医学系研究科 岩坪 威 教授 米国神経学会より「ポタム…
東京大学公式:岩坪威教授 米国神経学会「ポタムキン賞」受賞のお知らせ
このリンク先では、ポタムキン賞の受賞理由とJ-ADNI研究の概要が詳しく解説されています。
神経病理学分野では、東京大学大学院医学系研究科・医学部倫理委員会の承認を得た複数の臨床研究を進行中です。代表的な研究課題を以下に示します。
| 研究課題 | 審査番号 | 責任者 |
|---|---|---|
| ヒトシヌクレイノパチー脳試料を用いたαシヌクレイン毒性発現機構の解析 | 2022164NI | 桑原知樹(講師) |
| タウオパチー患者脳におけるタウ蓄積、神経変性機序に関する研究 | 2022093NI | 山田薫 |
| アルツハイマー病脳中Aβオリゴマーのseed能発揮機序の解析 | 2020175NI | 岩坪威(責任者)、橋本唯史(連絡担当) |
| アルツハイマー病老人斑蓄積機序の解明 | 11959 | 岩坪威(責任者)、橋本唯史(連絡担当) |
参考)研究業績
これらの研究は、患者さんから提供された脳試料や画像データを用いて、分子レベルでの病態メカニズムを解明することを目的としています。倫理委員会の厳格な審査を経て実施されており、研究参加者の権利と安全が最優先で守られています。
東京大学神経病理学分野 臨床研究一覧
このページでは、各臨床研究の審査番号と責任者情報が公開されています。
そして第五代教授として2007年9月に着任した岩坪威博士は、アルツハイマー病とパーキンソン病を主な研究対象とし、その発症機構の解明と病態に即した根本的治療法の創出を目標として研究活動を開始。2023年には上原賞を受賞し、「アルツハイマー病・認知症性疾患の分子病態解明と治療薬の実用化」が評価されました 。
参考)https://www.ueharazaidan.or.jp/ueharashou/images/2023-prof.iwatsubo.pdf
2026年2月には、齊藤貴志教授が第六代教授として着任し、新体制に移行しました 。齊藤教授は名古屋市立大学で認知症科学分野を主宰した後、東大神経病理学分野の教授を拝命。認知症・アルツハイマー病を中心に神経変性疾患等の発症メカニズムの解明と、予防・治療・発症遅延のための創薬研究を行っています 。
東京大学医学系研究科 脳神経医学専攻では、毎年、修士課程および博士課程の大学院生を募集しています。神経病理学分野は基礎神経医学講座に所属し、選考は筆記試験(専門科目)と口述試験で構成されます 。
参考)https://www.m.u-tokyo.ac.jp/daigakuin/apply/file/info110_2025.pdf
2025年度入試日程(医科学修士課程)
2025年度入試日程(医学博士課程)
外国語(英語)試験は実施せず、TOEFLまたはIELTSの成績を利用して外国語審査を行います 。受験資格は、医科学修士課程が学部卒(2026年3月卒見込を含む)、医学博士課程が医歯獣医学部卒または他学部修士修了(2026年3月修了見込を含む)です 。
研究室見学や個別相談はE-mailで受け付けており、基礎神経医学講座の主任教授へ直接問い合わせることが可能です 。入試に関する詳細は、医学系研究科 大学院係(Tel:03-5841-3309)または公式HPで確認できます 。
東京大学脳神経医学専攻 大学院生募集および説明会
このページでは、最新の募集要項と選考方法が掲載されています。
ここからは、一般の医療従事者でもあまり知られていない、東京大学神経病理学分野の「意外な事実」を3つ紹介します。
① 教室の所在地は「医学部3号館7階 S701号室」
神経病理学分野の研究室は、東京都文京区本郷7-3-1 東京大学 医学部3号館7階 S701号室に位置します 。この「S701」という部屋番号は、本郷キャンパス内の建物の階層構造を示す独自のナンバリングシステムによるものです。
参考)アクセス
② 齊藤教授の着任は「2026年2月1日付け」
齊藤貴志教授が神経病理学分野の教授を拝命したのは、2026年2月1日付けです 。これは、岩坪威前教授の定年退任に伴う人事異動であり、新体制移行の象徴的な日付となりました。
参考)https://ncs-saitolab.com/introduction/
③ 研究連絡先のメールアドレスは「tsaito@m.u-tokyo.ac.jp」
齊藤教授の連絡先E-mailは tsaito@m.u-tokyo.ac.jp です 。メールを送る際は、atを@に変えて送信する必要があります。このドメイン「m.u-tokyo.ac.jp」は、東京大学医学系研究科・医学部専用のメールサーバーを示しています。
東京大学神経病理学分野 アクセス情報
このリンク先では、研究室の所在地と交通アクセスが詳しく記載されています。
東京大学神経病理学分野からは、毎年複数の注目すべき論文が発表されています。以下に、近年の主要な研究成果を挙げます。
東京大学神経病理学分野 最近の研究成果
このページでは、最新の研究成果と論文リストが時系列で公開されています。
東京大学神経病理学分野 研究業績一覧
このリンク先では、分野全体の論文リストが年代順に整理されています。
岩坪威教授の代表的な業績としては、「家族性アルツハイマー病遺伝子プレセニリンの病因変異がAβ42の産生を高めることを発見」した研究が挙げられます 。この発見は、アルツハイマー病の病因仮説である「アミロイド仮説」の確立に大きく貢献し、その後の治療薬開発の基盤となりました。
また、J-ADNI研究を通じて、抗アミロイド薬などのアルツハイマー病根本治療薬の臨床治験に必須となる、脳画像・バイオマーカー・臨床指標などの評価基準を制定したことも高く評価されています 。この取り組みは、国内外の製薬企業と連携した臨床試験の設計に直接活用されており、実際の治療薬承認にもつながっています。
2023年度上原賞 岩坪威教授 受賞概要
このPDFでは、岩坪教授の受賞理由と主要な研究業績が詳しく解説されています。
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