
ラニナミビルの効能効果は「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防」です。 添付文書には重要な注意点として、以下の記載があります。
参考)Redirecting to https://www.oki…
意外なポイントとして、ラニナミビルはC型インフルエンザウイルス感染症には効果がないことが明記されています。 また、細菌感染症には効果がないため、細菌感染症が合併している場合には抗菌剤など適切な処置が必要です。
予防の目的で使用した場合は、保険給付されないという点も医療現場では重要な情報です。
ラニナミビルの用法用量は、治療と予防で異なります。以下に詳しく解説します。
治療に用いる場合
予防に用いる場合
容器の使用方法について、1容器あたりラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを含有し、薬剤が2箇所に充填されています。 成人及び10歳以上の小児は2容器(計4箇所)、10歳未満の小児は1容器(2箇所)を吸入投与します。
重要な注意点として、治療に用いる場合は症状発現後、可能な限り速やかに投与を開始することが望ましいとされています。 症状発現から48時間を経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていません。
予防に用いる場合も、インフルエンザウイルス感染症患者に接触後2日以内に投与を開始することが必要です。 接触から48時間を経過後に投与を開始した場合における有効性を裏付けるデータは得られていません。
また、本剤の服用開始から10日以降のインフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は確認されていないという点も注目すべき情報です。 長期の「お守り」用途には不向きと言えます。
ラニナミビルの副作用について、臨床試験及び使用成績調査の成績を以下に示します。
治療における副作用
予防における副作用
重大な副作用(頻度不明)
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000219263.pdf
重大な副作用(類薬)
他の抗インフルエンザウイルス薬(吸入剤)で上記の重大な副作用が報告されているため、観察を十分に行う必要があります。
その他の副作用
| 0.1%以上 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
|---|---|---|
| 蕁麻疹 | 発疹 | 紅斑、そう痒 |
| 下痢、胃腸炎、悪心、嘔吐、腹痛、口内炎 | 腹部膨満、食欲減退、腹部不快感 | |
| めまい、頭痛 | ||
| 白血球数増加 | ||
| ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇、γ-GTP上昇 | 肝機能異常 | |
| 尿蛋白 | ||
| CRP上昇、尿中ブドウ糖陽性 |
特に意外な情報として、乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に投与した際にアナフィラキシーがあらわれたとの報告があります。 これは、本剤が夾雑物として乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しているためです。 投与に際しては十分に注意が必要です。
ラニナミビルの薬物動態について、吸収、分布、代謝、排泄の各段階を詳しく解説します。
吸収
健康成人男性16例に本剤(ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mg又は40mg)を単回吸入投与したときの活性代謝物ラニナミビルの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりでした。
| 投与量 | 例数 | Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | AUC0-tz(ng・hr/mL) | t1/2(hr) |
|---|---|---|---|---|---|
| 20mg | 8 | 19.0±3.1 | 4.0(3.0~6.0) | 558.0±96.4 | 66.6±9.1 |
| 40mg | 8 | 38.3±9.8 | 4.0(3.0~6.0) | 1080±156 | 74.4±19.3 |
血清、肺胞粘液、肺胞マクロファージ中濃度の推定値は以下のとおりです。
| 試料 | Cmax(ng/mL) | Tmax(hr) | AUClast(ng・hr/mL) | t1/2(hr) |
|---|---|---|---|---|
| 血漿 | 25.45 | 3.5 | 826 | 45.7 |
| 肺胞粘液 | 3.51×10³ | 4.0 | 88.1×10³ | 358.5 |
| 肺胞マクロファージ | 143×10³ | 8.0 | 11.2×10⁶ | 211.0 |
特に注目すべきは、肺胞マクロファージ中の濃度が非常に高く、t1/2が211時間と極めて長いことです。 これにより、単回投与で長時間の抗ウイルス効果が得られることが説明できます。
小児における薬物動態
4~12歳の小児のインフルエンザウイルス感染症患者19例にラニナミビルオクタン酸エステルとして20mg又は40mgを単回吸入投与したときの活性代謝物ラニナミビルの血漿中濃度は以下のとおりでした。
| 投与量 | 例数 | 1時間後 | 4時間後 | 24時間後 | 144時間後 |
|---|---|---|---|---|---|
| 20mg | 8 | 12.0±8.1 | 17.6±10.0 | 5.3±2.7 | 0.5±0.8 |
| 40mg | 11 | 21.7±7.7 | 32.7±10.0 | 9.6±3.0 | 2.0±1.1 |
腎機能障害患者
クレアチニンクリアランス(Ccr)値により規定された腎機能低下者13例にラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与したところ、活性代謝物ラニナミビルのt1/2に変化は認めませんでした。 しかし、AUC0-infは、腎機能正常者と比較して、軽度(Ccr:50~80mL/min)、中等度(Ccr:30~50mL/min)及び重度(Ccr:30mL/min未満)の腎機能低下者でそれぞれ1.1倍、2.0倍、4.9倍でした。
高齢者
健康な高齢者(65歳以上)6例にラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与したところ、非高齢者(20~45歳)と比較して、活性代謝物ラニナミビルのTmax及びt1/2に変化は認めませんでした。 しかし、Cmaxが0.5倍、AUC0-infが0.8倍でした。
蛋白結合率
ヒト血漿蛋白結合率は、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物では67~70%、活性代謝物ラニナミビルでは0.4%以下でした。
代謝
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は、吸入投与後、気管及び肺において加水分解により活性代謝物ラニナミビルに変換されると推測されます。 ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝試験で主要なチトクロームP450分子種(1A2、2C9、2C19、2D6及び3A4)に対して阻害を示さず、チトクロームP450分子種(1A2、3A4)の誘導も認められませんでした。
排泄
健康成人男性8例に本剤(ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mg)を単回吸入投与したとき、活性代謝物ラニナミビルの投与144時間後までの累積尿中排泄率は投与量の23.1%でした。
ラニナミビルの臨床成績について、治療試験と予防試験の結果を詳しく解説します。
治療試験成績(成人)
日本及び海外(台湾、韓国、香港)で実施されたオセルタミビルリン酸塩を対照薬とした第Ⅲ相国際共同試験におけるインフルエンザ罹病時間(全てのインフルエンザ症状が「なし」又は「軽度」に改善し、それらが21.5時間以上持続するまでの時間)に対する有効性を以下に示します。
無作為化された1,003例の実施国・地域別の内訳は、日本787例、台湾188例、韓国21例、香港7例でした。
主要評価項目であるインフルエンザ罹病時間(中央値)は、ラニナミビルオクタン酸エステル40mg群で73.0時間、対照薬であるオセルタミビル75mg群で73.6時間を示し、差の95%信頼区間の上限(6.9時間)は規定した非劣性限界値である18時間を下回り、1日2回5日間反復経口投与のオセルタミビルリン酸塩に対する単回吸入投与のラニナミビルオクタン酸エステル水和物の非劣性が検証されました。
| 投与群 | ラニナミビル 40mg | オセルタミビル 75mg |
|---|---|---|
| 投与方法 | 単回吸入 | 5日間反復経口(1日2回) |
| 被験者数(例) | 334 | 336 |
| 中央値(hr)[95%信頼区間] | 73.0[68.4~80.8] | 73.6[68.5~83.3] |
| 中央値の差(hr)[95%信頼区間] | −0.6[−9.9~6.9] | − |
治療試験成績(小児:3~9歳)
国内において3~9歳の小児を対象とした第Ⅲ相臨床試験を、成人対象の臨床試験と同一の用法・用量(ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与)で、対照薬をオセルタミビルリン酸塩(オセルタミビルとして2 mg/kg/回を1日2回5日間経口投与)として実施しました。
主要評価項目であるインフルエンザ罹病時間(咳及び鼻症状の2症状が「なし」又は「軽度」に改善し、かつ体温が37.4℃以下となって、それらが21.5時間以上持続するまでの時間)は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg群で56.4時間、対照薬であるオセルタミビル2 mg/kg群で87.3時間でした。
| 投与群 | ラニナミビル 20mg | オセルタミビル 2 mg/kg |
|---|---|---|
| 投与方法 | 単回吸入 | 5日間反復経口(1日2回) |
| 被験者数(例) | 61 | 62 |
| 中央値(hr)[95%信頼区間] | 56.4[43.7~69.2] | 87.3[67.9~129.7] |
| 中央値の差(hr)[95%信頼区間] | −31.0[−50.3~−5.5] | − |
小児では、ラニナミビルがオセルタミビルよりも有意にインフルエンザ罹病時間を短縮したという点は注目すべき結果です。
10~19歳における成績
国内において10~19歳の未成年を対象とし、ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mg又は40mgの単回吸入投与による二重盲検比較試験を実施しました。 主要評価項目であるインフルエンザ罹病時間は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg群で87.1時間、40mg群で76.0時間(いずれも中央値)でした。 中央値の差[95%信頼区間]は−11.1時間[−32.9~13.0]であり、有意差は認められないものの、40mg群は20mg群と比較してインフルエンザ罹病時間が短かったです。
慢性呼吸器疾患を基礎疾患に有する患者
国内において慢性呼吸器疾患を基礎疾患に有するインフルエンザウイルス感染症患者(20~77歳)を対象にオセルタミビルリン酸塩を対照薬とした二重盲検比較試験を実施しました。 有効性の主要評価項目であるインフルエンザ罹病時間の中央値は、ラニナミビルオクタン酸エステル40mg群で64.7時間、オセルタミビル75mg群で59.7時間であり、同様の推移で回復しました。
予防試験成績(成人及び小児:10歳以上)
国内においてA型又はB型インフルエンザウイルス感染症発症者の同居家族又は共同生活者(10歳以上)を対象として、ラニナミビルオクタン酸エステル40mgを単回吸入投与したときのインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果(10日間)を検討しました。
主要評価項目である臨床的インフルエンザウイルス感染症の発症割合は、ラニナミビルオクタン酸エステル40mg単回投与群で4.5%(12/267)、20mg 2回投与群で4.5%(12/269)、プラセボ群で12.1%(32/265)であり、ラニナミビルオクタン酸エステル40mg単回投与群はプラセボ群と比較して統計的に有意に低かったです(P=0.0015)。
プラセボ群に対する相対リスク減少率[95%信頼区間]は、40mg単回投与群で62.8%(29.3~80.4)、20mg 2回投与群で63.1%(29.8~80.5)であり、両群で同程度でした。
| 投与群 | 40mg 単回 | 20mg 2日間 | プラセボ |
|---|---|---|---|
| 被験者数(例) | 267 | 269 | 265 |
| 発症被験者数(例) | 12 | 12 | 32 |
| 発症割合(%) | 4.5 | 4.5 | 12.1 |
| P値 | 0.0015 | − | − |
| 相対リスク減少率(%)[95%信頼区間] | 62.8[29.3~80.4] | 63.1[29.8~80.5] | − |
2日間吸入投与時の発症抑制効果
国内においてA型又はB型インフルエンザウイルス感染症発症者の同居家族又は共同生活者(10歳以上)を対象として、ラニナミビルオクタン酸エステル20mgを1日1回2日間吸入投与したときのインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果(10日間)を検討しました。
主要評価項目である臨床的インフルエンザウイルス感染症の発症割合は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg 2回投与群で3.9%(19/487)、プラセボ群で16.9%(81/478)であり、プラセボ群と比較して統計的に有意に低かったです(P<0.0001)。
プラセボ群に対する相対リスク減少率[95%信頼区間]は、77.0%(62.7~85.8)でした。
小児(10歳未満)の予防試験成績
国内においてA型又はB型インフルエンザウイルス感染症発症者の同居家族又は共同生活者(2~9歳)を対象として、ラニナミビルオクタン酸エステル20mgを単回吸入投与したときのインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果(10日間)を検討しました。
主要評価項目である臨床的インフルエンザウイルス感染症の発症割合は、ラニナミビルオクタン酸エステル20mg単回投与群で10.5%(18/171)、プラセボ群で19.4%(33/170)であり、プラセボ群と比較して統計的に有意に低かったです(P=0.0232)。
プラセボ群に対する相対リスク減少率[95%信頼区間]は、45.8%(7.5~68.2)でした。
ラニナミビルを使用する上で重要な基本的注意点と警告について詳しく解説します。
警告
禁忌
重要な基本的注意
1. 因果関係は不明であるものの、本剤を含む抗インフルエンザウイルス薬投薬後に異常行動等の精神神経症状を発現した例が報告されています。 小児・未成年者については、異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、以下の点について患者・家族に対し説明を行うこと。
なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状があらわれるとの報告があるため、上記と同様の説明を行う必要があります。
2. インフルエンザウイルス感染症により気道過敏性が亢進することがあり、本剤投与後に気管支攣縮や呼吸機能の低下がみられた例が報告されています。 気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患等の慢性呼吸器疾患の患者では、患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
3. 高齢者、基礎疾患(糖尿病を含む慢性代謝性疾患、慢性腎機能障害、慢性心疾患)を有する患者、あるいは免疫低下状態の患者等では本剤の使用経験が少ないため、これらの患者へ投与する場合には、患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
4. 細菌感染症がインフルエンザウイルス感染症に合併したり、インフルエンザ様症状と混同されることがあります。 細菌感染症の場合には、抗菌剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
5. 本剤投与後に失神やショック症状があらわれたとの報告があります。 この失神やショック症状はインフルエンザウイルス感染症に伴う発熱、脱水等の全身状態の悪化に加え、本剤を強く吸入したこと又は長く息を止めたことが誘因となった可能性及び本剤による可能性があるため、患者には使用説明書に記載されている吸入法を十分に理解させ、くつろいだ状態(例えば座位等)で吸入するよう指導すること。 また、このような症状があらわれた場合には、患者に仰臥位をとらせ安静に保つとともに、補液を行うなど適切な処置を行うこと。
6. 本剤は、夾雑物として乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しており、乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に投与した際にアナフィラキシーがあらわれたとの報告があるため、投与に際しては十分に注意すること。
7. 授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。 動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されています。
参考)授乳婦への抗インフルエンザ薬の選択と服薬指導【ファーマシスタ…
8. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 妊娠中の投与に関する安全性は確立していません。 また、動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されています。
9. 小児に対しては、本剤を適切に吸入投与できると判断された場合にのみ投与すること。 幼児へ投与する場合には、患者の状態を十分に観察しながら投与すること(使用経験が少ない)。 低出生体重児、新生児又は乳児に対する安全性は確立していません(使用経験がない)。
10. 適用上の注意として、本剤は口腔内への吸入投与にのみ使用すること。 患者又は保護者には添付の使用説明書を渡し、空の容器によるデモンストレーションも含めて使用方法を指導すること。
11. 本剤は防湿のためアルミ包装されているため、吸入の直前にアルミ包装を開封すること。
12. 保管については、室温保存とし、包装に表示の使用期限内に使用すること。
ラニナミビルの薬効薬理、作用機序、耐性について詳しく解説します。
薬効药理
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物はプロドラッグであり、加水分解により活性代謝物ラニナミビルに変換された後、抗ウイルス作用を示します。
In vitro抗ウイルス作用
ラニナミビルはin vitroでのA型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを低濃度(実験室株IC50:2.32~38.8nM、臨床分離株IC50:1.29~26.5nM)で阻害しました。 また、ラニナミビルは、オセルタミビルリン酸塩耐性株(IC50:5.62~48.9nM)や、新型インフルエンザA型(H1N1)ウイルス(IC50:0.41nM)及び高病原性鳥インフルエンザA型(H5N1)ウイルス(IC50:0.28~2.1nM)に対してもin vitroで抗ウイルス作用(ノイラミニダーゼ阻害活性)を示しました。
In vivo抗ウイルス作用
A型インフルエンザウイルスのマウス感染モデルでは、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与により、6.6~660μg/kgで有意な肺中ウイルス力価の減少、21~190μg/kgで有意な生存数の増加といった治療効果が認められました。 また、B型インフルエンザウイルスのフェレット感染モデルで、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与(24μg/kg及び240μg/kg)は、鼻腔洗浄液中のウイルス力価を低下させました。
新型インフルエンザA型(H1N1)ウイルスのマウス感染モデルにおいて、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物700μg/kgの単回経鼻投与で有意な肺中ウイルス力価の減少が認められました。 高病原性鳥インフルエンザA型(H5N1)ウイルスのマウス感染モデルにおいても、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与は、75μg/kg以上の投与量で感染3日後の、750μg/kg以上の投与量で感染6日後までの肺中ウイルス力価を減少させました。
作用機序
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の活性代謝物ラニナミビルは、A型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し(IC50:1.29~38.8nM)、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制します。
耐性
インフルエンザウイルス感染症に対するラニナミビルオクタン酸エステル水和物の効果を検討した国内臨床試験8試験(国際共同試験の1試験含む)で、1,917例の患者から分離したインフルエンザウイルス株において活性代謝物ラニナミビルに対する感受性が低下した株は認められませんでした。
これは、ラニナミビルが他のノイラミニダーゼ阻害剤と異なる化学構造を持つため、耐性株に対しても効果を発揮できる可能性を示唆しています。
ラニナミビルの添付文書から見出せる意外な情報や、あまり知られていない重要な注意点について解説します。
授乳婦への使用に関する意外な情報
添付文書には「授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること」と記載されていますが、実際の臨床現場では異なる判断がなされることがあります。 授乳中の抗インフルエンザ薬の選択については、以下の点が考慮されます。
以上により、授乳中の方への抗インフルエンザ薬は吸入薬ではイナビル、内服薬であればタミフルが適切であると考えられます。
ただし、授乳する場合はマスクを着用したり、授乳が終了したら部屋を分けるなど、できるだけ赤ちゃんに感染しないように注意が必要です。
厚生労働省の資料では、以下の3つをクリアしてからの授乳をすすめています。
しかし、まだ上記3点をクリアしておらず、症状が落ち着かない状態でも母乳を続けたい場合は、搾乳して赤ちゃんにあげることもできます。 ウィルスは母乳にはほとんど移行しないとされています。
乳製品アレルギーに関する注意点
ラニナミビルは夾雑物として乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しており、乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に投与した際にアナフィラキシーがあらわれたとの報告があります。 この点は、他の抗インフルエンザ薬にはあまり見られない特徴的な注意点です。
乳製品アレルギーを持つ患者に対しては、投与前に十分な問診を行い、アレルギー歴を確認することが重要です。 また、投与後は慎重に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行う必要があります。
気管支攣縮・呼吸困難のリスク
2016年の改訂で、気管支攣縮、呼吸困難が重大な副作用として追加されました。 インフルエンザウイルス感染症により気道過敏性が亢進することがあり、本剤投与後に気管支攣縮や呼吸機能の低下がみられた例が報告されています。
特に気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患等の慢性呼吸器疾患の患者では、患者の状態を十分に観察しながら投与することが重要です。
失神やショック症状のリスク
本剤投与後に失神やショック症状があらわれたとの報告があります。 この失神やショック症状は、インフルエンザウイルス感染症に伴う発熱、脱水等の全身状態の悪化に加え、本剤を強く吸入したこと又は長く息を止めたことが誘因となった可能性及び本剤による可能性があります。
患者には使用説明書に記載されている吸入法を十分に理解させ、くつろいだ状態(例えば座位等)で吸入するよう指導することが重要です。
以下の参考リンクは、ラニナミビルに関する詳細情報を入手するのに役立ちます。
PMDA医薬品医療機器総合機構の添付文書PDF:ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の正式な添付文書全文が掲載されています。 用法用量、副作用、薬物動態などの詳細情報を確認できます。
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日経メディカル処方薬事典:イナビル吸入粉末剤20mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)を掲載しています。 医療・医薬関係者向けの医薬品検索データベースです。
参考)イナビル吸入粉末剤20mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付…
イナビル吸入粉末剤20mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付…
KEGG DRUG:ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の化学構造、薬効分類、ATCコードなどの情報を提供しています。 医薬品の詳細な化学的情報を確認できます。
参考)医療用医薬品 : イナビル (イナビル吸入粉末剤20mg)
医療用医薬品 : イナビル (イナビル吸入粉末剤20mg)
ファーマシスタ:授乳婦への抗インフルエンザ薬の選択と服薬指導について詳しく解説しています。 薬剤師が執筆、編集、監修する専門情報サイトです。
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0th CLINIC:イナビル(ラニナミビル)の吸入1回で治療・接触後予防に関する情報を医師監修で整理しています。 治療と予防の用法用量、副作用、受診目安を解説。
参考)イナビル(ラニナミビル)|吸入1回で治療・接触後予防
イナビル(ラニナミビル)|吸入1回で治療・接触後予防 
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