医療計画5疾病の基礎知識と医療従事者が押さえるべき核心ガイド

医療計画における5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患)の定義、指定医療機関の要件、第8次医療計画での変更点、在宅医療の位置づけについて詳しく解説します。医療従事者としてこれらの知識を正しく理解できているでしょうか?

医療計画 5疾病の基礎知識と核心ガイド

医療計画5疾病の全体像と最新動向
5疾病の具体的な疾病名と範囲

がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患の5つが対象。急性心筋梗塞から心血管疾患へ範囲が拡大されています。

第8次医療計画で5事業が6事業に

新興感染症等の感染拡大時における医療が追加され、5疾病6事業及び在宅医療という表記に変更されました。

都道府県が策定する医療提供体制計画

医療法第30条の4に基づき、都道府県が地域の実情に応じて6年間の計画期間で医療提供体制を確保するために策定します。


医療計画5疾病の定義と対象疾病


医療計画における5疾病とは、国民の健康の保持を図るため特に広範かつ継続的な医療の提供が必要な疾病として厚生労働省が定めた5つの疾病を指します。具体的には、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患の5つが指定されています 。


参考)【ゴロ】医療計画の5疾病6事業 覚え方 - どすこい研修医


注目すべき点として、当初は「急性心筋梗塞」とされていましたが、第8次医療計画においては心不全や大動脈疾患も含める形で「心筋梗塞等の心血管疾患」に呼称が拡大されています 。この変更は、心血管疾患全体の医療提供体制を包括的に構築する必要性を反映したものです。医療従事者としては、この名称変更の背景にある政策的意図を理解しておくことが重要です。



5疾病は、生活習慣病や精神疾患など国民に広く関わり、医療提供体制の構築が特に必要な疾病として選定されています。これらの疾病については、都道府県が地域の実情に応じて連携体制を構築すべきことが医療計画に明記されています 。


参考)医療計画・保健所と二次医療圏|策定主体・計画期間・医療圏を過…


第8次医療計画における5疾病6事業の構造

医療計画では、5疾病に加えて「5事業」が定められており、これに在宅医療を加えて「5疾病5事業及び在宅医療」と表記されていました。しかし、令和6年度(2024年度)から始まった第8次医療計画では、新興感染症等の感染拡大時における医療が追加され、「5疾病6事業及び在宅医療」となっています 。



6事業の内訳は以下の通りです。


事業名 内容 備考
救急医療 救急患者の受け入れ・搬送体制 災害拠点病院を含む
災害時における医療 災害発生時の緊急医療対応 DMAT派遣体制など
へき地の医療 離島・へき地における医療提供 政策的関わりが必要な地域
周産期医療 妊産婦・新生児の医療体制 周産期母子医療センターなど
小児医療 小児患者への医療提供体制 小児救急医療を含む
新興感染症等感染拡大時医療 新型インフルエンザ等への対応 第8次で追加された新事業


このように、第8次医療計画では感染症対策が強化され、パンデミック経験を踏まえた医療提供体制の整備が図られています 。医療機関においては、これらの事業に対応した体制整備が求められます。



指定医療機関の要件と基準

5疾病に係る医療を提供する指定医療機関には、それぞれ具体的な指定要件が定められています。例えば、がん診療連携拠点病院については、厚生労働省のがん診療連携拠点病院等の指定要件に関する検討会で審議され、最新の指定基準が示されています 。


参考)第9回がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキン…


指定医療機関の指定を受けるには、一般的に以下の要件を満たす必要があります。


  • 健康保険法に規定する保険医療機関であり、標榜科が示されていること
  • 指定医療機関療養担当規程(厚生労働省告示)に基づき、懇切丁寧な特定医療が行えること
  • 欠格事項に該当しないこと(難病法第14条第2項など)
  • 最新の知見に基づき適切な医療を提供できる体制を有していること


また、災害拠点病院については、耐震整備、非常用自家発電設備(3日分程度の備蓄燃料等確保)、給水設備(3日分程度の水確保)、備蓄倉庫(3日分程度の食料等確保)、救命医療のための診療設備等(24時間緊急対応し、災害発生時に被災地内の傷病者等の受け入れ・搬出を行う体制等)、災害医療派遣チーム(DMAT)派遣体制、浸水対策といった要件が定められています 。


参考)災害医療対策や新興感染症対策の充実論議スタート、災害拠点病院…


新興感染症等に対応する医療機関については、当該医療機関に所属する者に対して最新の知見に基づき適切な感染防止等の措置を実施することが可能であること、患者等がお互いに可能な限り接触することがなく診察することができること等の院内感染対策を適切に実施しながら必要な医療を提供することが可能であることなどの基準が設定されています 。


参考)医療措置協定の概要について - 神奈川県ホームページ


在宅医療の位置づけと第8次医療計画での強化

在宅医療は「事業」には数えませんが、医療計画の対象として重要な位置づけられています。「5疾病6事業及び在宅医療」という表記からも、在宅医療が疾病・事業とは別に計画の柱として扱われていることがわかります 。



第8次医療計画の重要なポイントの一つが、在宅医療体制の強化です。2024年度から始まった第8次医療計画では、医療と介護双方のニーズを持つ高齢者が2025年以降さらに増えてくる状況下で、地域の医療および介護体制を維持するための最も重要な取り組みとして在宅医療体制の強化(質の向上と普及)が位置づけられています 。


参考)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_28397


大阪府の事例では、第8次大阪府医療計画における在宅医療の推進体制について、拠点は「司令塔」、積極的医療機関などは「活動の実施」のイメージとなると説明されています。拠点は市区町村と業務分割も可能で、「24時間急変時対応可能な体制構築」が最も重要な業務とされています 。


参考)https://www.osaka.med.or.jp/doctor/doctor-news-detail?no=20250917-3120-1&dir=2025dir=2025" target="_blank" rel="noopener">在宅医療における連携の拠点および積極的医療機関の取組促進に係…


厚生労働省の概算要求においても、在宅医療に関する予算は前年度55百万円から今年度1.1億円に拡充しており、在宅医療の重要性が高まっていることが伺えます 。医療従事者としては、在宅医療連携の拠点機能や積極的医療機関としての役割を理解し、地域連携に積極的に参画することが求められます。


参考)令和8年度厚生労働省概算要求から見る在宅医療の未来


医療計画の策定主体と計画期間

医療計画は、医療法第30条の4に基づき、厚生労働大臣が定める基本方針に即し、地域の実情に応じた医療提供体制の確保のため、各都道府県が作成する計画です 。計画期間は6年で、二次医療圏をベースに策定されます 。



医療計画には、5疾病に係る医療提供体制や医療従事者の確保などが記載事項となります。また、二次医療圏(一般的な入院医療)や三次医療圏(特殊・高度な医療)を設定し、各疾病・事業等の体制を定めることで、地域における医療資源の適正な配置(病院の設置場所を均等にする、病床数を制限するなど)、機能分担や連携を目的としています 。


参考)松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート 必須問題 法規・…


第8次医療計画と地域医療構想は、地域の医療需要・病床機能・連携体制の方向性を示す枠組みとして機能しており、医療機関の開業判断や経営戦略にも影響を与えています 。医療従事者としては、自院が所在する都道府県の医療計画を把握し、地域の重点課題(例:救急の逼迫、在宅の不足、周産期の偏在)を理解した上で、自院が担える範囲(診療時間、検査、訪問、連携)を具体化し、紹介・逆紹介の設計に落とすことが重要です。


参考)第8次医療計画と地域医療構想|開業影響2026を税理士解説




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