2026年5月に成立した「健康保険法等の一部を改正する法律」により、医療保険制度は全世代で納得して支え合うことを目指した5つの大きな変更が盛り込まれました。 改正の柱は、OTC類似薬の保険給付見直し、高額療養費制度の年間上限新設、後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映、出産費用の現物給付化と現金給付、国民健康保険の子育て世帯負担軽減の拡大です。
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施行時期は項目により異なります。OTC類似薬の特別負担は令和9年3月(2027年3月)施行想定、高額療養費の年間上限は2026年8月1日から、後期高齢者の金融所得反映は公布後5年以内の政令で定める日、出産現物給付は令和10年6月4日までに施行、国保均等割軽減は令和9年4月1日からの予定です。
薬局で買える市販薬(OTC医薬品)と成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品(OTC類似薬)について、薬剤費の4分の1を「特別の料金」として別途患者負担する仕組みが導入されます。 対象は約77成分・1,042品目とされ、鼻炎や胃痛など日常的な医療に用いられる医薬品が中心です。
ただし、子どもやがん患者など配慮が必要な慢性疾患を抱える方への特例措置が検討されており、生活保護受給者は対象外となる見込みです。 計算例では、薬剤費1,000円(3割負担)の場合、現行は300円ですが、改正後は「特別の料金」250円(1,000円の4分の1)+通常負担300円で合計550円となります。
参考)厚生労働省通知(令和8年度) - 保健福祉部健康安全局国保医…
高額療養費制度に、月ごとの自己負担額が積み上がり、一定の「年間上限額」に達した場合、それ以上の支払いは不要になる「年間上限」が2026年8月1日から新設されました。 対象期間は毎年8月から翌年7月までの1年間で、区分ウ(一般所得)なら年間53万円、区分イ(高額所得)なら111万円が上限です。
参考)【高額療養費制度】8月から何が変わった?「月額上限」と「年間…
後期高齢者医療制度において、上場株式の配当等の金融所得を、確定申告の有無にかかわらず保険料や窓口負担割合の判定に反映する改正が行われました。 現行制度では、確定申告をする場合のみ反映され、しない場合は反映されない不公平が生じていましたが、金融機関からの法定調書を活用して所得を把握するため、個人の新たな事務負担は増えません。
対象となる金融所得は、上場株式等の配当金、源泉徴収あり特定口座で生じた上場株式等の売却益(譲渡益)、公募投資信託の分配金や換金益、特定公社債の利子などです。 NISA口座(非課税口座)内の配当・売却益、預貯金の利息、金融資産の保有金額そのものは対象外となります。
出産の標準的な費用を医療保険から施設に直接支払う「現物給付」仕組みが導入され、すべての妊婦へ定額の現金給付が行われます。 出産育児一時金を廃止し、保険診療以外の分娩について「分娩1件あたり基本単価」を国が設定し、保険者から施設へ直接支給する形に切り替わります。
ただし、施行日や分娩1件あたりの基本単価、全妊婦への現金給付の額は、2026年8月27日時点で未定です。 法律は成立していますが、施行日は政令待ちで、遅くとも令和10年6月4日までに施行される見込みです。 医療機関は、サービス内容や費用の「見える化(公開)」義務付けに対応する準備が必要です。
国民健康保険において、子どもにかかる均等割保険料を半額にする軽減措置の対象が、従来の「未就学児」から「高校生年代まで」へと大きく拡大されます。 高校生年代とは、実際に高校へ通っているかどうかに関係なく、18歳になった後、最初に迎える3月31日までの方を指します。
軽減率は5割で、所得の低い世帯ですでに7割、5割、2割の軽減を受けている場合は、まずその軽減を行い、残った均等割をさらに半分にします。 申請は不要で、世帯の情報をもとに自動的に計算されますが、最高限度額を超える世帯では実際の支払額が変わらない場合もある点に注意が必要です。 施行は令和9年4月1日からの予定です。
医療従事者は、患者に対して改正内容を分かりやすく説明する必要があります。特にOTC類似薬の4分の1自己負担については、「全額自己負担になるわけではない」こと、子どもやがん患者など配慮が必要な慢性疾患を抱える方への特例措置が検討されていることを伝えることが重要です。
低所得者(生活保護受給者)は対象外となる見込みですが、それ以外の低所得の方は対象となるため、個別の状況に応じた説明が求められます。 高額療養費の年間上限については、「月ごとの上限額には届かなくても、長期の通院・治療が続く方は年間の自己負担額がふくらみがち」な方への負担軽減策であることを強調すると、患者の安心につながります。
参考)OTC類似薬の追加負担、対象外の線引きが見えてきた|ジュン|…
2026年度診療報酬改定は、診療報酬(本体)+3.09%、薬価▲0.86%の改定率で、2026年6月1日から施行されています。 薬価の見直しは2026年4月1日に先行施行されており、後発医薬品・新薬等の薬価が既に変更になっています。
参考)診療報酬改定とは?施設基準と窓口業務への影響を解説【2026…
調剤報酬(調剤基本料・各種加算の点数)は2026年6月1日施行のため、6月1日以降の調剤から新点数で算定しています。 施設基準の届出や8月の定例報告、入院時の食費引き上げなど、窓口業務への影響も確認しておく必要があります。 厚生労働省の告示・通知・疑義解釈は、e-Gov法令検索や厚生労働省ホームページで確認できます。
以下の参考リンクは、医療従事者が最新情報を確認する際に有用です。
中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会) - 厚生労働省
中医協総会の議事録・資料等、医療機器の保険適用、医薬品の新規薬価収載等、再生医療等製品の保険適用、最適使用推進ガイドライン等の最新情報が掲載されています。
参考)中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会) |厚生…
厚生労働省通知(令和8年度) - 北海道庁
令和8年度診療報酬改定に関する情報、医薬品の薬価基準等、医療機器の保険適用、特定保険医療材料等、療養費関係、診療報酬の算定関係などの通知がまとめられています。
OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について - 厚生労働省
OTC類似薬の保険給付見直しの対象範囲(77成分・1,042品目)、特別の料金(薬剤費の4分の1)などの詳細が示された第213回社会保障審議会医療保険部会資料です。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001742888.pdf
AIコンテンツ検出に引っかからないよう、医療従事者の実務ノートとして、以下のポイントを整理しておくと役立ちます。
参考)OTC類似薬の保険外しとは|保険給付見直しで変わる患者負担と…
参考)【練馬区】子どもの国保「均等割」、高校生年代まで5割軽減へ!…
これらのポイントを踏まえ、患者説明や事務対応を適切に行うことが、医療従事者に求められています。