自主回収を知らずに継続処方すると、患者への謝罪対応が発生します。

「諸般の事情」という表現は、薬業界では製造委託(OEM)先の変更や製造ライン廃止、採算性の問題などを包括的に指す慣用句です。 実際、フルナーゼ点鼻液は長生堂製薬株式会社によるOEM製造品であるという情報もあり、製造体制の変化が背景にあると指摘されています。つまり、効能や安全性の問題ではないということですね。
参考)https://x.com/natsuclinic/status/1998363191701848142
販売中止となった品目は以下の3つです。
参考)https://www.gifu-upharm.jp/di/mguide/salesupply/2g/ss2690562506.pdf
販売中止時期は2025年12月が予定(在庫状況により前後あり)、経過措置期間満了は2026年3月末日とされています。 期限があります。
<参考:GSK公式の販売中止案内(岐阜薬科大学 DI資料)>
フルナーゼ点鼻液 販売中止のご案内(GSK)|岐阜薬科大学 DI資料(PDF)
販売中止の発表後、2025年11月25日にGSKはフルナーゼ点鼻液50μg 28噴霧用の4ロット、および小児用フルナーゼ点鼻液25μg 56噴霧用の5ロットについて、自主回収(クラスⅡ)を実施しました。 合計9ロットが対象です。
参考)「フルナーゼ点鼻液50μg28噴霧用」、「小児用フルナーゼ点…
回収理由は「安定性モニタリングにおいて含量が承認規格を満たさないことが確認された」というものです。 承認規格を外れた製品が市場に出ていたことになります。厳しいところですね。
ただし、GSKは「本事象により重篤な健康被害が発生する可能性はないものと考えている」と発表しています。 クラスⅡ回収とは、「重篤な健康被害は起こりにくいが、回収が必要なレベルの規格外」を意味します。なお、フルナーゼ点鼻液50μg 56噴霧用については同様の事象が確認されたロットがないとして、回収対象外となっています。
参考)https://www.hospital.yao.osaka.jp/yaowp/wp-content/uploads/2025/12/drug_information_news_202601.pdf
医療従事者として確認すべき行動は1つです。自院・薬局で保管中のロット番号が回収対象に含まれていないかを製造販売元(GSK、TEL: 0120-561-007)に確認することです。
<参考:自主回収の詳細レポート(薬事日報)>
代替品選択は、有効成分の違いを把握した上で行う必要があります。これが基本です。フルナーゼの有効成分はフルチカゾンプロピオン酸エステル(FP)50μgです。 代替品は大きく2種類に分かれます。
参考)医療用医薬品添付文書
| 代替品名 | 有効成分 | 製造販売元 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| フルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液50μg「DSP」56噴霧用 | FP 50μg(同一成分) | 東興薬品工業 | 後発品。適応症はアレルギー性鼻炎・血管運動性鼻炎 |
| アラミスト点鼻液27.5μg 56噴霧用 | フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF) | GSK | ⚠️ 有効成分が異なる。FPとFFは別物 |
| アラミスト点鼻液27.5μg 120噴霧用 | フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF) | GSK | ⚠️ 同上。1日1回投与で用法が異なる |
特に注意が必要なのは、GSKが代替品として挙げているアラミスト点鼻液との切り替えです。 フルナーゼ(FP)とアラミスト(FF)は「どちらもフルチカゾン系」ではありますが、化学構造が異なる別の有効成分です。意外ですね。フルナーゼは1日2回投与が基本なのに対し、アラミストは1日1回投与である点も、患者への指導内容を変える必要があります。
同一成分への切り替えを優先するなら、「フルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液50μg『DSP』」を選択するのが合理的です。これなら問題ありません。
<参考:代替品・経過措置についての案内(日本ジェネリック)>
販売中止のご案内(日本ジェネリック)|フルチカゾン系点鼻液の代替品情報
小児用フルナーゼ点鼻液25μg 56噴霧用の販売中止は、成人向けより影響が大きい場面があります。小児への鼻噴霧用ステロイドの選択肢が限られているためです。
成人用(50μg)と小児用(25μg)では噴霧量が異なります。 成人は1回各鼻腔1噴霧(FP 50μg)を1日2回が標準ですが、小児は25μgの低用量製剤で管理されていたケースが多くあります。単純に成人用を半量にするという対応は、噴霧量の問題から現実的でない場合があります。どういうことでしょうか?
参考)Object moved
成人用点鼻液50μgを小児に0.5噴霧で対応しようとしても、1噴霧量の物理的な仕組み上、正確な量を出すことは難しいのが実態です。結論は、小児には同一規格・同一用量の代替品の確保が必要ということです。現時点で「フルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液25μg」の後発品が複数社から製造販売されているかを確認し、採用品目を速やかに切り替えることが推奨されます。
小児アレルギー専門医や薬剤師と連携して処方設計を見直すことが、この場面での現実的な対応策です。これは必須です。
今回のフルナーゼ販売中止は、「先発品の安定供給は永続しない」という現実を医療現場に改めて突きつけた事例です。 この観点は検索上位の記事ではほとんど取り上げられていません。
参考)https://www.nichiiko.co.jp/medicine/file/59320/information/FG111151-01.pdf
フルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液の先発品であるフルナーゼが販売中止になる一方、後発品(ジェネリック)もすでに複数社が製造中止に動いている経緯があります。 たとえば「フルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液50μg『JG』」は長生堂製薬の製造都合により、「フルチカゾン点鼻液50μg『NikP』」は日医工系の品質管理体制の問題により、それぞれ販売中止となっています。品目の集中消滅という現象が起きているわけです。
参考)https://medical.nihon-generic.co.jp/a.php?id=1178
この事態から医療従事者が学ぶべき教訓は「採用品目を1品目に依存しない」という処方設計の視点です。 採用医薬品委員会(DI委員会)では定期的に鼻噴霧用ステロイドのカテゴリ全体を俯瞰し、複数の代替候補を常に把握しておくことが今後の標準的な対応になります。これは使えそうです。
具体的には、鼻噴霧用ステロイドとして現在安定供給されている品目(アラミスト、モメタゾン系、ベクロメタゾン系など)も含めて採用候補を整理しておくことが、突然の販売中止連絡に慌てない準備になります。手元で確認する行動は、採用品目一覧の更新を月1回スケジュールに入れることです。
<参考:鼻噴霧用ステロイドの詳細(KEGG MEDICUS)>
フルナーゼ点鼻液の薬剤情報(KEGG MEDICUS)|用法用量・添付文書情報の確認に
| 製品名 | L-システイン(1日量) | ビタミンC | 特徴的な副成分 | 服用回数 |
|---|---|---|---|---|
| ホワイティアプレミアム | 240mg | 500mg | ビタミンB6 50mg | 1日2回 |
| Cホワイティア | 240mg | 500mg | パントテン酸Ca 30mg | 1日2回 |
| Cプラス2 | 240mg | 500mg | パントテン酸Ca 24mg | 1日3回 |
| Bクリア | 80mg | 50mg | ビタミンB1・B2・B6・ビオチン | 1日1回 |

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