
フィコンパ(一般名:ペランパネル水和物)は、脳内の興奮性シナプス伝達に関わるAMPA受容体を選択的に阻害する抗てんかん薬です。この受容体は情動や気分の調整にも関与しているため、抑制がかかりすぎると易刺激性や攻撃性・敵意といった精神症状が出やすくなると考えられています。
添付文書の8.1項には、易刺激性、攻撃性・敵意、不安、自殺企図等の精神症状が現れ、自殺に至った例も報告されていると明記されています。
つまり、これは単なる不快感ではなく、重大な精神症状の一つということですね。
過量投与時の症例でも、精神状態変化・激越・攻撃的行動が主な症状として報告されています。用量依存的にリスクが高まる可能性を踏まえ、増量時は特に注意深い観察が求められます。
小児患者では、成人よりも攻撃性の発現に注意すべきとされています。言語での自覚症状の訴えが難しい年齢層では、行動の変化が唯一のサインになることも少なくありません。
具体的には、暴言・器物破損・周囲への敵意といった形で現れることがあります。学校や家庭での急な態度の変化が、実は薬剤性の精神症状であるケースもあるため、保護者への説明が欠かせません。
参考)フィコンパ細粒1%の基本情報(作用・副作用・飲み合わせ・添付…
保護者の見守りだけでは限界がありますね。
そのため、患者及び家族に対して、易刺激性・攻撃性・敵意・幻覚・妄想・せん妄・自殺企図等の可能性について十分な説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導することが求められています。日常の変化を記録する簡単なメモやチェックシートを家族に用意してもらうと、受診時の情報共有がスムーズになります。
易刺激性や攻撃性等が見られた場合の基本的な対応は、症状に応じた減量または投与中止です。自己判断での中断は離脱症状やてんかん発作の再発リスクがあるため、必ず医師の指示のもとで行う必要があります。
減量幅の目安としては、1週間以上の間隔をあけて2mgずつ調整するという用法用量の原則があります。急な増量を避けることが、精神症状発現の予防にもつながると考えられます。
急がず段階的に調整するのが原則です。
なお、重度の肝機能障害がある患者では血中濃度が上昇しやすく、投与自体が禁忌とされています。腎機能低下例でもクリアランスが低下し半減期が延長するため、患者背景の確認が対応の第一歩になります。
海外の抗てんかん薬199試験の解析では、抗てんかん薬服用群の自殺念慮・自殺企図の発現率は0.43%、プラセボ群は0.24%で、服用群がプラセボ群と比べて約2倍高いという結果が示されています。1000人あたり1.9人多いという計算値も報告されており、これは中規模の病棟一つ分の患者数に相当するイメージです。
攻撃性や易刺激性は、この自殺リスク上昇の兆候として現れることもあるため、単独の症状として軽視しないことが重要です。
小さな変化が大きなリスクの入口になりうるということですね。
PMDAが公開している適正使用ガイドには、医療従事者向けの観察チェックポイントが具体的にまとめられています。院内の服薬指導マニュアルに、このガイドの観察項目を組み込んでおくと、外来での早期発見に役立ちます。
攻撃性・易刺激性とは別に、フィコンパにはめまいや眠気、注意力・集中力・反射運動能力の低下という副作用もあり、自動車運転など危険を伴う操作への従事を避けるよう明記されています。攻撃性による対人トラブルだけでなく、運転操作への影響という別軸のリスクも同時に説明する必要があります。
意外と見落とされがちな注意点ですね。
精神症状の観察指導に集中すると、運転制限の説明が後回しになりがちです。服薬指導の際は、精神症状チェックリストと運転制限の説明を1セットにしておくことをおすすめします。
PMDA公開の適正使用ガイドでは、易刺激性・攻撃性の観察ポイントと患者・家族への説明例が具体的にまとめられています。
エーザイのFAQでは、易刺激性・攻撃性・敵意への対処法と家族への説明手順がQ&A形式で解説されています。
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