あなたのGE説明、実は誤情報かもしれません

アゾルガ配合懸濁性点眼液は、炭酸脱水酵素阻害剤のブリンゾラミドとβ遮断薬のチモロールマレイン酸塩を組み合わせた緑内障・高眼圧症治療薬です。緑内障治療は基本的に長期継続が前提となるため、薬価の差は患者の生涯コストに直結します。
参考)医療用医薬品 : アゾルガ (アゾルガ配合懸濁性点眼液)
先発品の薬価は387.5円/mLと公表されており、1本5mLで計算すると1937.5円ほどになります。これはコンビニでの昼食2〜3回分に相当する金額感です。
参考)ブンチモ配合点眼!?アゾルガのジェネリック:GE。薬価や発売…
後発品が同程度安くなれば、月々の自己負担は数百円単位で軽くなる計算です。
つまり長期処方ほど差額が積み上がるということですね。
外来で説明する際は、単純な「安くなります」という一言だけでなく、月単位・年単位での目安額を示すと患者の納得感が高まります。
アゾルガの後発品として承認されたのは、サンド社の「ブンチモ配合懸濁性点眼液」1品目のみです。サンドはノバルティスファーマの子会社であり、この後発品はオーソライズドジェネリック(AG)として位置づけられています。
AGとは、先発品メーカーの許諾を得て、有効成分・添加物・製剤設計までほぼ同一の内容で製造販売される後発品を指します。一般的なジェネリックのように添加物が変更されるケースとは前提が異なる点に注意が必要です。
添加物まで同一なら差し心地の違いは出にくいということです。
医療従事者が患者から「ジェネリックにすると目にしみる感じが変わりませんか」と聞かれた場合、AGである事実を伝えるだけで不安の多くは解消できます。逆に一般的な後発品と同じ説明をしてしまうと、誤った期待値を与えるリスクがあるので気をつけたいところです。
処方を後発品に切り替える際、最も重視すべきは眼圧コントロールの継続性です。AGであっても、懸濁性点眼液という剤形の特性上、患者ごとの使用感の差はゼロにはなりません。
切替直後の数週間は、充血やしみる感覚の有無を確認するのが基本です。
問題がなければ、そのまま継続で構いません。
チモロール成分は喘息や重篤な心疾患のある患者には禁忌とされているため、切替のタイミングでも既往歴の再確認を行うのが望ましい対応です。また、懸濁液は使用前に十分に振ることが求められ、振り方の指導が不十分だと成分が均一にならず効果が安定しないことがあります。
参考)アゾルガ配合懸濁性点眼液 - 基本情報(用法用量、効能・効果…
説明資料としては、添付文書や医薬品情報データベースの併用が有効です。
参考)アゾルガ配合懸濁性点眼液の先発品・後発品(ジェネリック) -…
アゾルガ配合懸濁性点眼液の先発品・後発品の一覧が確認できます
近年、アゾルガ配合懸濁性点眼液を含む点眼液は、原材料調達や製造コストの上昇を背景に、供給体制の見直しが業界全体で進んでいます。懸濁性製剤は成分を均一に保つための特殊な製造工程が必要で、通常の水性点眼液よりもコストがかさむ傾向があります。
供給が不安定になれば、代替となる後発品への切替需要が一時的に集中することも想定されます。
在庫状況の変化は珍しくないということですね。
こうした状況では、単剤2本(ブリンゾラミド単剤とチモロール単剤)への切替という選択肢も存在します。点眼回数が増える分、患者の負担感は上がりますが、片方の成分だけが欠品した場合でも治療を継続しやすいという利点があります。院内在庫の管理では、複数の代替経路を把握しておくことが重要です。
ここまで成分や薬価の話をしてきましたが、実務上もっとも見落とされやすいのが「説明の一貫性」です。医療従事者の間でも、後発品全般に対する「効果が劣る」というイメージが根強く残っている場合があります。
しかしAGに関しては、添加物まで先発品と同一であるという前提があるため、この説明はそのまま当てはめると事実と食い違います。患者への説明が薬剤ごとに一貫していないと、後発品への不信感を招き、アドヒアランス低下につながる恐れがあります。
説明のズレは信頼低下という見えないコストを生みます。
処方時には、後発品が一般的なGEなのかAGなのかを区別して伝える一手間が、長期的な治療継続率に影響するという視点を持っておくと良いでしょう。薬剤情報データベースで一般名・製品名・区分をその場で確認できるツールを併用すると、説明のブレを防ぎやすくなります。
参考)http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se13/se1319821.html