
ただし、ステロイド外用薬の代替として広く置き換えられるほど強力な薬剤ではなく、当初から「軽い炎症を抑える外用薬」として位置づけられていました。効果を語るときは、単純な消炎作用だけでなく、再燃を繰り返す湿疹で後療法的に使われた点まで含めて理解する必要があります。
参考)http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se26/se2649725.html
販売当時の効能・効果には、急性湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、おむつ皮膚炎、日光皮膚炎、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎、帯状疱疹、熱傷、皮膚欠損創などが挙げられていました。軟膏とクリームで適応がやや異なり、外用剤としての使い分けが行われていました。
参考)https://www.nichiiko.co.jp/medicine/files/10_051.pdf
医療者向けに見ると、アンダーム軟膏は「炎症を伴う皮膚トラブルの一部に使える外用薬」でしたが、適応の広さに比べて安全性の問題が後年大きくなりました。とくにアトピー性皮膚炎や乳幼児のおむつ皮膚炎では、症状悪化のリスクをどう考えるかが重要でした。
参考)https://www.kodomo-iin.com/QA/QAbox2002/QA200203-005.html
この薬で最も重要なのは、効果そのものよりも接触皮膚炎です。ブフェキサマクは、しばしば「効くが、かぶれやすい」薬として扱われ、皮疹の拡大、紅斑、丘疹、水疱、掻痒の増悪が問題になりました。
日本でも重篤な接触皮膚炎の報告があり、代替薬が利用できる状況を踏まえて、製造販売元が自主的に販売中止を決定しました。つまり、効果がゼロだったからではなく、「一定の効果はあるが安全性が見合わない」という評価に変わったことが本質です。
販売中止後は、症状や病態に応じてステロイド外用薬、保湿薬、抗菌薬、抗真菌薬などへ置き換えて考えるのが基本です。湿疹や皮膚炎であれば、炎症の強さ、部位、年齢、感染の有無を踏まえて選択する必要があります。
アンダーム軟膏の経験則が残した教訓は、外用薬は「ステロイドでないから安全」とは限らないことです。むしろ外用薬では、基剤や添加物、感作性、使用部位との相性が治療成績を大きく左右します。これは医療者が処方を設計するうえで今も重要な視点です。
参考: アンダーム軟膏の販売中止理由と代替対応の背景がまとまっています。医療者向けの一次情報として確認しやすい内容です。