
高尿酸血症は「尿酸産生過剰」と「尿酸排泄低下」、あるいは両者の混合型として捉えることが基本です。尿酸はプリン体代謝の最終産物であり、造血器腫瘍や急性白血病など細胞回転の亢進を伴う病態に加え、抗腫瘍薬による腫瘍崩壊症候群で急激に産生が増加します。
参考)薬の副作用で尿酸値上昇?
薬剤性高尿酸血症の代表例として、抗腫瘍薬(シスプラチンなど)、テオフィリン製剤、イノシン、ピラジナミド、エタンブトール、そしてサイアザイド系・ループ系利尿薬やシクロスポリンが挙げられます。
参考)高尿酸血症
尿酸排泄低下型では、腎機能低下そのものに加え、薬剤が腎尿細管の輸送体に作用し、URAT1などを介した尿酸再吸収を促進するケースが臨床的に重要です。
例えばピラジナミドの代謝産物はURAT1の交換基質として働き、尿酸を細胞内へ取り込みやすくすることで再吸収を増強し、高尿酸血症を惹起します。
この機序は「産生亢進」ではなく「排泄低下」に位置づけられ、投与開始から約2週間以内に高尿酸血症が出現し、中止により比較的速やかに改善する点も特徴的です。
一方、エタンブトールも尿細管レベルで尿酸再吸収を促進すると考えられており、抗結核薬治療中の尿酸値上昇は、ピラジナミドだけでなく併用薬全体を俯瞰して評価する必要があります。
利尿薬(サイアザイド系・ループ系)はCKD診療で頻用される一方で血清尿酸値を上昇させるため、特に高尿酸血症合併CKD患者では慎重な用量調整や代替薬の検討が求められます。
参考)https://jsn.or.jp/data/gl2024_ckd_ch05.pdf
高尿酸血症の原因として、高プリン食、肥満、アルコール多飲など生活習慣も重要ですが、薬剤性要因はしばしば見落とされ、痛風発作の増悪要因として潜在します。
初診時の問診では、降圧薬・利尿薬・免疫抑制薬・抗結核薬・抗腫瘍薬など、薬剤歴を系統的に確認することが高尿酸血症 原因 薬剤の把握には不可欠です。
利尿薬は高尿酸血症 原因 薬剤として頻度・重要度ともに高いにもかかわらず、日常診療で見過ごされやすい薬剤群です。サイアザイド系(ヒドロクロロチアジドなど)およびループ系利尿薬(フロセミドなど)は、尿中ナトリウム排泄を促進しつつ、尿酸の再吸収を増加させることで血清尿酸値を上昇させます。
その作用機序には、循環血漿量減少に伴う尿酸の近位尿細管再吸収亢進や、有機アニオン輸送体の変化が関与するとされ、特に高齢CKD患者では痛風発作の誘因となり得ます。
ニコチン酸(ナイアシン)は脂質異常症治療薬として使用されることがありますが、尿酸排泄低下を介して高尿酸血症を引き起こし得る薬剤です。
シクロスポリンは免疫抑制薬として腎移植や各種自己免疫疾患で用いられますが、腎血流低下および尿細管機能障害を介して尿酸排泄を阻害することが報告されており、移植患者の高尿酸血症・痛風の一因として重要です。
利尿薬やシクロスポリンは、CKD診療ガイドラインでも「血清尿酸値上昇に注意すべき薬剤」として明記されています。
尿酸値上昇が問題となる場合、可能であれば他の降圧薬や免疫抑制薬への切り替えを検討し、それが難しい症例では尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬を併用する戦略が考えられます。
参考)https://www.medisere.co.jp/mediserebook/pdf/pointbook20201202/read5.pdf
臨床的なポイントとして、利尿薬性高尿酸血症はしばしば「軽度だから」と見逃されますが、メタボリックシンドロームやCKD、心不全が背景にある症例では、痛風発作や尿路結石のリスクを中長期的に高めるため、定期的な尿酸値モニタリングが望まれます。
また、利尿薬を含む高尿酸血症 原因 薬剤を複数併用している患者に対しては、薬剤相互作用も考慮し、可能な限り総投与量を減らす方向で処方設計を行うことが重要です。
高尿酸血症・CKD診療における利尿薬使用の注意点の詳細は、日本腎臓学会の資料が参考になります。
CKDにおける高尿酸血症治療と利尿薬使用時の注意点(日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン」第5章)
高尿酸血症治療薬は大きく「尿酸生成抑制薬」「尿酸排泄促進薬」「尿アルカリ化薬」「痛風発作抑制薬・鎮痛薬」に分類され、それぞれ作用機序と注意点が異なります。
参考)高尿酸血症治療薬の作用機序・使い分け・副作用と対処法|薬剤師…
尿酸生成抑制薬の代表はアロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタットなどのキサンチンオキシダーゼ阻害薬です。アロプリノールはプリン骨格を持つ競合阻害薬であり、代謝物オキシプリノールにも持続的な阻害作用がありますが、腎機能に応じた減量が必須です。
フェブキソスタットやトピロキソスタットは非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ阻害薬で、CKD患者でも比較的安全に使用できるとされる一方、メルカプトプリンやアザチオプリンの代謝を阻害し、骨髄抑制リスクを高めるため併用注意が求められます。
尿酸排泄促進薬にはベンズブロマロン、プロベネシド、ブコロームなどがあり、近位尿細管URAT1を阻害して尿酸再吸収を抑制し、尿酸排泄を促進します。
ベンズブロマロンは強力な排泄促進作用を持つ一方で、劇症肝炎のリスクがあり、肝機能障害の有無を慎重にモニタリングしつつ使用する必要があります。
尿酸排泄促進薬使用時には尿酸結石リスクが上昇するため、尿アルカリ化薬(クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム)との併用や十分な水分摂取が推奨されます。
尿アルカリ化薬は尿pHを6.0以上、7.0未満に維持することを目標に用いられ、酸性尿中での尿酸結晶析出を防ぐことで、腎結石や尿路結石の予防に寄与します。
痛風発作時にはNSAIDs(インドメタシン、ナプロキセンなど)やコルヒチンが用いられますが、CKD症例では短期間大量投与のNSAIDsは腎機能悪化リスクが高く、可能な限り回避することが望まれます。
高尿酸血症治療薬の作用機序と国家試験レベルの要点は、下記資料がコンパクトにまとまっています。
高尿酸血症治療薬の作用機序・国家試験対策ポイント集(Medisere)
高尿酸血症 原因 薬剤として、抗結核薬や抗腫瘍薬は頻度こそ限られますが、発症時の重篤性と治療難度の高さから、臨床的インパクトが大きい薬剤群です。ピラジナミドは抗結核薬の中でも特に高尿酸血症の頻度が高く、ある報告では約4割の患者に高尿酸血症が認められています。
前述の通り、ピラジナミドの代謝産物はURAT1の交換基質として尿酸再吸収を促進するため、投与早期に尿酸値が上昇し、痛風素因のある患者では発作を誘発し得ます。
エタンブトールも尿酸再吸収を促進すると考えられており、レジメンからピラジナミドを除外しても尿酸値が改善しない場合、エタンブトールが隠れた原因薬剤となっている可能性を念頭に置くべきです。
抗腫瘍薬、とくに急速な腫瘍量減少を伴う化学療法では、腫瘍崩壊症候群により大量の核酸が一度に分解され、尿酸産生が急激に亢進します。
腫瘍崩壊症候群関連の高尿酸血症 原因 薬剤としては、シスプラチン・シクロホスファミドなどの抗腫瘍薬に加え、支持療法で用いられる利尿薬やステロイドも尿酸代謝に影響し得るため、がん化学療法レジメン全体を俯瞰したアプローチが重要です。
実臨床では、「抗腫瘍薬そのもの」だけでなく、「腫瘍崩壊症候群を予防するために追加した薬剤」が二次的に高尿酸血症 原因 薬剤となっていないか、チェックリスト的に見直す視点が有用です。
腫瘍崩壊症候群と高尿酸血症の関連については、痛風・核酸代謝の専門誌のレビューも参考になります。
日本の高尿酸血症・痛風治療ガイドライン第3版(2022年追補版)では、血清尿酸値7.0 mg/dL以上を高尿酸血症と定義し、生活習慣是正を基本にしつつ、腎障害や尿路結石合併例では尿酸生成抑制薬の使用を推奨しています。
参考)https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00476_supplementary.pdf
CKD合併無症候性高尿酸血症に対しては、エビデンスは限定的ながら、生活習慣改善にもかかわらず血清尿酸値が8.0 mg/dLを超える場合に薬物治療を考慮する、と記載されています。
臨床現場で重要なのは、「高尿酸血症治療薬」を選ぶ前段階として、「高尿酸血症 原因 薬剤」がないかを必ず洗い出し、可能なら原因薬剤の減量・中止・代替を検討することです。
例えば、サイアザイド系利尿薬でコントロールしている高血圧患者が痛風発作を繰り返す場合、ARBやCa拮抗薬への切り替えを優先的に検討し、それでも血圧コントロールが不十分な場合に限り、尿酸生成抑制薬の追加を考える、というステップが合理的です。
薬剤性高尿酸血症への対応として、以下のような実務的ポイントが挙げられます。
薬剤性高尿酸血症を系統的に整理した薬剤師向けブログも、実務上のチェックリスト作成に役立ちます。
薬の副作用で尿酸値上昇?(薬剤性高尿酸血症の原因薬と機序の解説)
高尿酸血症 原因 薬剤と治療薬のバランスをどう取るかは、患者背景により大きく変わりますが、あなたの担当患者で「薬剤性をまだきちんと洗い出していない症例」はどれくらい思い当たりますか?
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