
ベンゾジアゼピン系薬物は、GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位に結合し、GABA による抑制性神経伝達を増強する作用機序を持ちます。この作用により、抗不安作用、催眠作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用など多様な薬理効果を示しますが、その反面、身体依存と精神依存の両方のリスクを有しています。
代表的なベンゾジアゼピン系薬物には、以下のようなものがあります。
睡眠薬として使用されるベンゾジアゼピン系薬物には、トリアゾラム(ハルシオン)、ブロチゾラム(レンドルミン)、ニトラゼパム(ベンザリン、ネルソナール)、フルニトラゼパム(サイレース)、クアゼパム(ドラール)などがあります。これらの薬物は、1 か月以上きちんと処方どおりに飲み続けた場合、ほぼ全員が身体依存の状態になると報告されています。
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重要な点として、「依存している」ことと「依存症」であることは別物です。身体依存は生理的な適応現象であり、依存症(使用障害)は薬物使用を制御できない病態を指します。乱用や制御不能に至る使用障害になる人は、およそ 1.5% とされています。
オピオイド鎮痛薬は、主にμオピオイド受容体を刺激して強力な鎮痛作用を示す薬物群です。医療現場では、がん性疼痛や慢性疼痛の管理に不可欠な薬物ですが、その強力な作用ゆえに依存性と乱用のリスクを常に考慮する必要があります。
医療用麻薬に指定されている主なオピオイド鎮痛薬には以下のようなものがあります:
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オピオイド鎮痛薬には、即効型製剤と持続型製剤があります。持続型製剤には、オキシコンチン(オキシコドン徐放錠)、MS ツロイ(モルヒネ徐放錠)、オキノーム散(モルヒネ散)、オキファスト注(オキシコドン注射剤)などがあります。これらの製剤は、厚生労働省告示に基づき、1 回 30 日分を限度として投薬することが定められています。
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Z 薬(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)は、ベンゾジアゼピン系より安全として登場した薬物群ですが、近年の研究では依存リスクが再評価されています。代表薬には、ゾルピデム(マイスリー)、ゾピクロン(アモバン)、エスゾピクロン(ルネスタ)があります。
欧州医薬品庁の副作用データベースを解析した研究では、約 6,200 人の患者について、誤用・乱用・依存・離脱に関する報告が 3 万 3 千件あまり集まっています。このデータは自発的な報告の集計であり処方量の影響も受けますが、依存が起こらない薬ではないことを示しています。
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Z 薬の特徴と注意点は以下の通りです。
最新 睡眠薬マップ 3 つのクラスとそれぞれの「立ち位置」 - JiMagazine from 調剤と情報
ベンゾジアゼピン系と Z 薬は、耐性(だんだん効かなくなる)と依存が問題になります。「ベンゾジアゼピン系より安全」と言い切れるだけの根拠はないというのが現在の見方です。
向精神薬は、「麻薬及び向精神薬取締法」に基づき、医療上の有用性が認められる一方で、乱用や依存の危険性から厳重な管理・規制が必要とされる薬物として指定されています。向精神薬は、第 1 種、第 2 種、第 3 種の 3 つに分類され、数字が大きくなるほど比較的リスクが低いと判断されています。
参考)第3種向精神薬とは、「麻薬及び向精神薬取締法」に基づき、医療…
第 3 種向精神薬には、以下のような薬物が含まれます:
これらの薬物は、医療機関での処方時に厳重な管理が求められ、処方箋の保存期間や数量制限などの規制が適用されます。また、向精神薬の不正な流通を防止するため、国際的な規制枠組み(1971 年向精神薬条約)の下で管理されています。
習慣性医薬品の適正使用には、以下の原則を遵守することが重要です。
1. 適応の厳格な評価
習慣性医薬品の処方にあたっては、非薬物療法の試行や他の治療法の検討を優先し、本当に必要な場合にのみ使用します。慢性疼痛治療ガイドラインでは、保存療法の優先化、オピオイドなど薬物療法の制限・慎重な使用が共通の方向性として確立されています。
参考)【最新】慢性疼痛治療ガイドライン|手術・オピオイドを避けるべ…
2. 最小有効量・最短期間の使用
ベンゾジアゼピン系や Z 薬は、短期(おおむね 4 週間)の使用が推奨されます。長期使用は薬物依存や過量摂取による死亡リスクを高めるだけでなく、かえって痛みに過敏になってしまう「痛覚過敏」を引き起こす危険性があります。
参考)睡眠薬の使い分け – ふくろう訪問クリニック
3. 患者への十分な説明
依存リスク、離脱症状の可能性、急激な中断の危険性について、患者に十分な説明を行います。「薬がないと眠れない」という不安感は、認知行動療法(CBT-I:不眠に対する CBT)で改善できることもあります。
参考)睡眠薬の正しい使い方 ── 怖くない眠剤との付き合い方
4. 定期的な再評価
継続的な処方の必要性を定期的に評価し、減量や中止の可能性を検討します。睡眠薬・抗不安薬を減らすときは、専門書が示す減量ペースを参考にした減量の設計と離脱症状の管理が重要です。
参考)睡眠薬・抗不安薬を減らすとき、やめるとき——減量の設計と立て…
5. 多剤併用の回避
ベンゾジアゼピン系薬物は、オピオイド、アルコール、他の鎮静薬との併用では相乗的に呼吸抑制が強まり、昏睡・死亡につながる危険があります。過量時のフルマゼニルは離脱性けいれんを誘発することがあり慎重に用います。
参考)ベンゾジアゼピンとは|作用の仕組み・使用時の管理・長期使用|…
6. 代替療法の検討
オレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント、レンボレキサント、ダリドレキサント、ボルノレキサント)やメラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)は、依存性リスクが低いとされています。これらの新規薬剤を適宜検討します。
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