司法精神医学 専門医 認定鑑定医 取得方法と実務

司法精神医学専門医の資格取得ルート、認定鑑定医制度、研修プログラム、鑑定実務の実際を解説。医療従事者が司法精神医学の専門性を高めるにはどのような道筋があるのか、詳しく見ていきましょう。

司法精神医学 専門医 資格取得

司法精神医学 専門医 資格取得
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基幹となる専門医資格

日本精神神経学会専門医または精神保健指定医の取得が前提条件

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認定鑑定医制度

日本司法精神医学会による学会認定精神鑑定医の資格が存在

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専門研修コース

国立精神・神経医療研究センター病院などで2年間の専門履修が可能


司法精神医学 専門医 基幹資格の要件



司法精神医学の専門性を発揮するには、まず基幹となる精神科の専門資格が必要です。日本において「司法精神医学 専門医」という単独の国家資格は存在せず、実質的には日本精神神経学会の専門医制度と日本司法精神医学会の認定鑑定医制度の組み合わせによって専門性が担保されています。


参考)https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/specialist/1.seidokisoku_r.pdf


基幹資格として求められるのは以下の2つです。


  • 日本精神神経学会専門医:精神科臨床研修を3年以上含む5年以上の臨床経験が必要で、筆記試験と口答試問に合格する必要があります。


参考)https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/specialist/saisoku.pdf

  • 精神保健指定医:精神保健福祉法に基づく指定医で、精神科の臨床経験と学会の認定が必要です。


参考)302 Found


意外な事実として、日本精神神経学会の専門医試験は出題範囲が極めて広く、神経症圏やてんかん、摂食障害、発達障害、薬物相互作用、抗NMDA受容体脳炎など精神症状をもたらす器質性疾患、法律、疫学など多岐にわたります。 過去問をダウンロードして対策可能ですが、細かい知識を要求する難問もあり、対策なしでは正解率50%程度と言われています。


参考)https://ameblo.jp/naozou22/entry-12718833373.html


司法精神医学 専門医 認定鑑定医 制度の詳細

日本司法精神医学会では、平成26年(2014年)より「学会認定精神鑑定医制度」を開始しました。 この制度は、精神鑑定を行うために必要とされる専門的知識や能力が備わっている医師を学会として認定するものです。


参考)https://jsfmh.org/ninteii/index.html


受験資格要件は以下の通りです:


参考)https://jsfmh.org/ninteii/pdf/saisoku_2020.pdf


  • 日本国の医師免許証を有する者
  • 試験申請時に学会員である者
  • 精神保健指定医であって、日本精神神経学会専門医の認定を受けている者
  • 学会が開催する「刑事精神鑑定ワークショップ」及び「事例検討会」の双方を試験申請時より過去5年以内に受講している者


受験申請料は30,000円で、登録料は10,000円です。 申込受付期間は例年6月1日から7月31日までで、登録手続きの締切は翌年2月28日となっています。


参考)https://jsfmh.org/ninteii/examination.html


日本司法精神医学会 学会認定精神鑑定医受験要項(認定)
このリンク先に最新の受験要項と申請用書式が掲載されています。


司法精神医学 専門医 研修コースとプログラム

国立精神・神経医療研究センター病院(NCNP病院)では、司法精神医学の専門家を育成するための専門研修プログラムを提供しています。



司法精神医学専門履修コースの特徴。


  • 対象:精神保健指定医または日本精神神経学会専門医取得後、あるいは取得予定の者
  • 研修期間:2年間(1年間延長可能)
  • 勤務先:国立精神・神経医療研究センター病院、医療観察法病棟(8、9病棟)
  • 研修内容:年間2-3例の精神鑑定を自ら経験し、日本司法精神医学会の認定鑑定医取得を目指す



司法精神医学研修コースの特徴。


  • 対象:NCNP病院の後期研修レジデント、または院外からの6ヶ月〜1年間の研修参加も可能
  • 研修期間:6ヶ月間〜1年間
  • 内容:司法病棟(医療観察法病棟)にローテーション



このプログラム終了後は、専門的知識や経験を活かし、NCNP病院での常勤医をはじめ各都道府県の指定医療機関に勤務する者、大学院に進学する者が多いとされています。 研修中から大学院に所属し、テーマを決めて学位を取得することも可能です。



NCNP病院 司法精神医学コース 募集要項
最新の募集要項と詳細な研修内容が掲載されています。


司法精神医学 専門医 鑑定実務の実際

司法精神医学の専門医として実務を行う上で、最も重要な活動の一つが刑事責任能力に関する精神鑑定です。鑑定書の作成については、2009年に岡田らが示した「刑事責任能力に関する精神鑑定書作成の手引き」に準じて行うことが推奨されています。


参考)https://journal.jspn.or.jp/Disp?style=ofull&vol=117&year=2015&mag=0&number=11&start=936vol=117href="https://journal.jspn.or.jp/Disp?style=ofull&vol=117&year=2015&mag=0&number=11&start=936">https://journal.jspn.or.jp/Disp?style=ofull&vol=117&year=2015&mag=0&number=11&start=936year=2015href="https://journal.jspn.or.jp/Disp?style=ofull&vol=117&year=2015&mag=0&number=11&start=936">https://journal.jspn.or.jp/Disp?style=ofull&vol=117&year=2015&mag=0&number=11&start=936mag=0href="https://journal.jspn.or.jp/Disp?style=ofull&vol=117&year=2015&mag=0&number=11&start=936">https://journal.jspn.or.jp/Disp?style=ofull&vol=117&year=2015&mag=0&number=11&start=936number=11href="https://journal.jspn.or.jp/Disp?style=ofull&vol=117&year=2015&mag=0&number=11&start=936">https://journal.jspn.or.jp/Disp?style=ofull&vol=117&year=2015&mag=0&number=11&start=936start=936" target="_blank" rel="noopener">精神神経学雑誌オンラインジャーナル


鑑定書の記載項目は以下の通りです:



  • 鑑定事項
  • 鑑定主文
  • 鑑定経過
  • 家族歴
  • 既往歴
  • 本人生活歴
  • 検査結果
  • 診断(診断の根拠、診断基準)
  • 面接記録
  • 犯行前後の精神状態
  • 障害が犯行に与えた影響


重要なポイントとして、鑑定書の読者は精神医学の専門家ではないため、法曹関係者が理解できるように要点を整理して重要な部分を明示しながら記載する必要があります。 検査結果を網羅的に詳細に記載することは控え、最も重要な部分は心理学的要素の分析を行い「精神障害が犯行に与えた影響」を説明する部分です。



責任能力に関する記載については、責任能力はあくまでも法律判断であって、精神医学の専門家である鑑定人が直接答えるべきものではありません。 あえて答えるとしても、被鑑定人が自らの精神障害のために「理非善悪を判断し、それに従って行動する能力」がどの程度影響を受けたかについて答えるにとどめます。



具体的には、以下の4段階で記載することが推奨されています:



  • 完全に失っていた(心神喪失相当)
  • 著しく障害されていた(心神耗弱相当)
  • (単に)障害されていた
  • 障害されていなかった


刑事責任能力に関する精神鑑定書作成の手引き
最高検察庁 精神鑑定書の書式参考例
これらのリンク先に鑑定書作成の具体的なガイドラインと書式例が掲載されています。


司法精神医学 専門医 独立開業と鑑定報酬の現実

ここからは、あまり語られることのない独自視点として、司法精神医学専門医としての独立開業と鑑定報酬の現実について解説します。


司法精神医学の専門性を活かして独立開業を目指す場合、一般的な精神科クリニックとは異なるビジネスモデルが必要になります。鑑定業務は裁判所や検察庁からの依頼が主であり、個人で直接営業することは倫理的に問題があるため、実質的には「待っている」状態になります。


鑑定報酬の相場については、刑事責任能力鑑定の場合、1件あたり10万円〜30万円程度が相場と言われていますが、これは施設や地域、鑑定の複雑さによって大きく変動します。国立病院機構や大学病院などの公的機関では報酬が固定されていることが多い一方、民間の鑑定医では交渉次第で変動する可能性があります。


ただし、鑑定業務だけで生計を立てるのは現実的に困難です。なぜなら、鑑定依頼は不定期であり、1件の鑑定に要する時間は面接、資料精読、家族面接、心理検査、鑑定書作成、出廷などを含めると20〜40時間以上に及ぶことがあるからです。


参考)https://www.nakayamashoten.jp/sample/pdf/978-4-521-74742-2.pdf


独立開業を目指す場合の現実的な戦略


  • 基幹となる精神科クリニックを運営し、安定した収益を確保する
  • 鑑定業務は副業として位置づけ、評判を築く
  • 日本司法精神医学会の認定鑑定医として登録し、裁判所や検察庁からの依頼を受けられる体制を整える
  • 医療観察法に基づく指定入院医療機関や指定通院医療機関との連携を築く


また、司法精神医学の専門性を活かした別の収益源として、以下のような活動が考えられます。


  • 医療機関向けの司法精神医学に関するコンサルテーション
  • 弁護士向けの専門家証人としての活動
  • 大学や研究機関での非常勤講師
  • 司法精神医学に関する書籍や論文の執筆


独立開業を目指す場合、司法精神医学の専門性だけでは生計が立てられないという現実を認識し、複数の収益源を確保することが重要です。


精神科専門医に求められる司法精神鑑定(精神神経学雑誌)
この論文には、司法精神鑑定の実務に関する詳細な解説が掲載されています。

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