ロルメタゼパム 先発 の特徴と後発品がない理由

ロルメタゼパムの先発品にはエバミールとロラメットの2種類が存在します。なぜ後発品が開発されないのか、作用機序や適正使用のポイントを解説します。

ロルメタゼパム 先発 の基本情報

ロルメタゼパム 先発 製品名と製造販売元



ロルメタゼパムの先発品は、日本で2種類存在しています。それぞれ異なる製薬会社から販売されており、両方とも先発品として位置づけられています。


参考)ロルメタゼパム錠の薬一覧|日経メディカル処方薬事典
主要な製品情報をまとめると以下の通りです。


参考)商品一覧 : ロルメタゼパム

ロルメタゼパム先発品の製品情報
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エバミール錠1.0

製造販売元:丸石製薬/薬価:10.9円/錠(1mg1錠あたり9.5円)

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ロラメット錠1.0

製造販売元:あすか製薬/薬価:13.8円/錠(1mg1錠あたり12.5円)

エバミールは元来バイエル薬品から販売されていましたが、現在は丸石製薬が製造販売元となっています。 ロラメットは2011年までアステラス製薬から販売されていましたが、同年にあすか製薬に販売が移行しています。


参考)ロルメタゼパム(エバミール・ロラメット)の特徴・作用・副作用…
両剤とも有效成分はロルメタゼパム1.0mgで、効能・効果は「不眠症」です。 薬価基準収載医薬品コードでは、エバミール錠1.0が1124010F1021、ロラメット錠1.0が1124010F1030となっています。


参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/2022/04/dl/tp20220617-01_05.pdf


ロルメタゼパム 先発 の作用機序と薬理特性

作用機序の詳細を説明すると、ロルメタゼパムは中枢神経系に作用し、GABAA受容体複合体のαサブユニットに結合します。 これにより、神経伝達物質であるガンマアミノ酪酸(GABA)の抑制作用が増強され、中枢神経系の興奮が抑制されます。


参考)睡眠薬を選ぶ・使うに役立つ「これだけ!」DI(drug in…
GABAA受容体は、αが2個、βが2個、γが1個のサブユニットの組み合わせで形成されるイオンチャネル型の受容体です。 BZ系睡眠薬はαとγサブユニットの境界領域に結合し、GABAA受容体が活性化されることでクロライド(Cl−)チャネルが開口し、細胞内にCl−が流入して過分極になります。 この結果、神経活動の抑制が起こり、睡眠がもたらされます。


参考)エバミール、ロラメット(ロルメタゼパム)の作用機序:睡眠薬
BZ系睡眠薬の作用はαサブユニットの関与が大きい影響を及ぼしており、α1は鎮静・催眠作用、抗痙攣作用、前向性健忘、依存形成に関与し、α2やα3は睡眠作用、抗不安作用、抗うつ作用、筋弛緩作用に関与します。 α5は筋弛緩作用、学習・記憶に関わるといわれています。


ロルメタゼパムは、ロラゼパム(ワイパックス)と化学構造が近く、入眠作用と抗不安作用を有する短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬です。 米国ワイス社(現ファイザー社)で合成され、日本では1990年よりバイエル社からエバミールの商品名で、アステラス製薬からロラメットの商品名で発売されました。


薬物動態の特性としては、投与後1〜2時間で血液中の薬物濃度が最高値に達し、半減期は約10時間です。 このため、入眠障害の改善だけでなく、薬の効果が夜中も持続することで中途覚醒を防止し、熟眠障害の改善にも繋がります。



ロルメタゼパム 先発 と後発品の関係

ロルメタゼパム 先発 に後発品がない理由

ロルメタゼパムの特徴として、2つの先発品が存在する一方で、後発品(ジェネリック医薬品)が存在していません。 厚生労働省の薬価基準収載医薬品コードでも、後発区分は「1」(後発品なし)とされています。


参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/2025/04/dl/tp20250814-01_05.pdf
なぜ後発品がないのか、その理由は明確に公表されているわけではありませんが、以下の要因が考えられます。
まず、2つの先発品がすでに存在することで、市場の供給体制が確保されている点です。 エバミール錠1.0(丸石製薬)とロラメット錠1.0(あすか製薬)の2社が製造販売しており、両剤とも先発品として位置づけられています。


参考)ロルメタゼパムの同効薬比較 - くすりすと
また、薬価の面でも、エバミールが10.9円/錠、ロラメットが13.8円/錠と、すでに比較的安価な価格設定となっています。 このため、後発品メーカーが参入する経済的インセンティブが乏しい可能性があります。


さらに、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は依存性や耐性のリスクがあるため、適正使用が強く求められる薬剤です。 後発品メーカーが新規参入する際に、これらのリスク管理や品質保証の面で追加的なコストがかかる可能性があります。


参考)ロラメット錠1.0の基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など…
意外な情報として、ロルメタゼパムは2016年4月1日以降、各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報において「1」(後発品なし)として分類され続けています。 これは、10年以上にわたりジェネリック参入がないことを示しています。



ロルメタゼパム 先発 の薬価比較と経済的側面

2つの先発品の薬価を比較すると、エバミール錠1.0が10.9円/錠、ロラメット錠1.0が13.8円/錠です。 1mg1錠あたりの薬価は、エバミールが9.5円、ロラメットが12.5円となっています。


この価格差は、製造販売元の企業戦略や歴史的背景によるものです。 エバミールは元来バイエル薬品から販売されていましたが、丸石製薬が製造販売元となって以降、薬価が引き下げられた可能性があります。


参考)医療用医薬品 : エバミール (エバミール錠1.0)
医療経済の観点から、2つの先発品が存在することで、価格競争が働き、結果的に患者負担が軽減されている側面があります。 ただし、後発品が存在しないため、さらに安価な選択肢が患者に提供されていない現実もあります。


後発品メーカーが参入する際には、通常、先発品の薬価より20〜30%程度低い価格設定が期待されますが、ロルメタゼパムの場合は、すでにエバミールが10.9円/錠と低価格であるため、後発品メーカーの参入意欲が湧かない可能性があります。



ロルメタゼパム 先発 の適正使用と注意点

ロルメタゼパム 先発 の副作用と依存性リスク

ロルメタゼパムは、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の特性として、依存性や耐性のリスクを有しています。 添付文書では、「連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避ける」と明記されています。


参考)https://www.pmda.go.jp/files/000217148.pdf
重大な副作用として、依存性(頻度不明)、刺激興奮、錯乱(いずれも頻度不明)、呼吸抑制、炭酸ガスナルコーシス(いずれも頻度不明)、一過性前向性健忘、もうろう状態(いずれも頻度不明)が挙げられています。


その他の副作用としては、精神神経系(眠気、ふらつき、頭重感、頭痛、めまい、不快感、健忘、意識レベル低下、激越、会話障害、味覚障害、多夢、感情鈍麻、せん妄)、肝機能異常、白血球減少、食欲不振、悪心・吐気、倦怠感、脱力感などが報告されています。


参考)医療用医薬品 : ロラメット (ロラメット錠1.0)
特に注意すべきは、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状があらわれる可能性がある点です。 そのため、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うことが求められています。


離脱症状のリスクを最小限に抑えるためには、以下の点に注意が必要です。

    • 投与期間は原則として2〜4週間以内とし、漫然とした長期使用を避ける
    • 投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討する
    • 投与を中止する場合には、用量を徐々に減量し、離脱症状の発現に十分に注意する
    • 患者に対しては、依存性や離脱症状のリスクについて十分に説明し、自己判断での急激な減量や中止を避けるよう指導する

また、本剤の影響により、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こるため、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意する必要があります。



ロルメタゼパム 先発 の相互作用と併用禁忌

ロルメタゼパムは、他の薬剤との相互作用に注意が必要です。 特に、中枢神経抑制作用を有する薬剤との併用により、鎮静、呼吸抑制、昏睡等のリスクが高まります。


主な相互作用として、以下の薬剤との併用が挙げられます。


    • 中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体、オピオイド鎮痛剤等):相互に中枢神経抑制作用を増強することがあるため、本剤を減量するなど慎重に投与する
    • モノアミン酸化酵素阻害剤:相互に中枢神経抑制作用を増強することがある
    • アルコール(飲酒):眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下を増強することがあるため、併用は避ける
    • マプロチリン塩酸塩:(1)相互に中枢神経抑制作用を増強することがある、(2)併用中の本剤を急速に減量又は中止すると痙攣発作が起こることがある
    • ダントロレンナトリウム水和物:筋弛緩作用を増強することがある

特にアルコールとの併用は、眠気や注意力の低下を著しく増強するため、投与中の飲酒は厳禁です。 また、マプロチリン塩酸塩との併用については、本剤の急速な減量や中止により痙攣発作のリスクが高まるため、十分な注意が必要です。



ロルメタゼパム 先発 の高齢者への使用と注意点

高齢者へのロルメタゼパムの使用については、特に慎重な対応が求められます。 添付文書では、「高齢者には1回2mgを超えないこと」と明記されています。


参考)医療用医薬品 : ロラメット (商品詳細情報)
高齢者は、薬物代謝機能が低下しており、ベンゾジアゼピン系薬剤の血中濃度が高くなりやすく、副作用のリスクが高まります。 具体的に、以下の副作用が高齢者に多く報告されています。


参考)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000162317.pdf

    • 精神神経系副作用(意識レベル低下、せん妄、ふらつき、転倒リスク)
    • 呼吸抑制、炭酸ガスナルコーシス
    • 前向性健忘、もうろう状態
    • 筋弛緩作用による転倒・骨折リスク

高齢者への使用にあたっては、以下の点に注意が必要です。


    • 少量(1mg)から開始し、徐々に増量する
    • 1回2mgを超えないようにする
    • 連用を避け、短期間の使用にとどめる
    • 転倒リスクやせん妄の発現に十分に注意し、観察を十分に行う
    • 投与を中止する場合には、徐々に減量する

また、高齢者は複数の薬剤を併用していることが多く、薬物相互作用のリスクも高いため、併用薬剤の確認を十分に行う必要があります。



ロルメタゼパム 先発 の独自視点:なぜ日本でのみ2つの先発品が存在するのか

ロルメタゼパムの興味深い特徴として、日本では2つの先発品(エバミールとロラメット)が存在していますが、海外ではこのような状況は一般的ではありません。


参考)ロルメタゼパム - Wikipedia
この現象は、日本の医薬品市場の特殊性と、歴史的な背景によるものです。 ロルメタゼパムは、元来米国ワイス社(現ファイザー社)で合成され、1990年に日本に導入されました。 当時の日本では、バイエル社がエバミールとして、アステラス製薬(現田辺三菱製薬の前身の一つ)がロラメットとして、それぞれ異なるルートで国内販売権を取得しました。


参考)エバミール・ロラメットの効果と副作用 - 田町三田こころみク…
これは、当時の日本の医薬品市場において、複数の製薬会社が同一成分の先発品を販売することが許容されていた特異な事例です。 通常、特許制度の下では、同一成分の先発品は1社のみが独占的に販売権を有するのが一般的ですが、ロルメタゼパムの場合は、開発段階で複数の企業が関与し、それぞれが独立して販売権を取得したことで、2つの先発品が誕生しました。


この状況は、日本の医薬品市場における「先発品の多重化」の事例として、薬事行政や医薬品経済の観点から興味深いテーマです。 後発品メーカーが参入しない理由の一つとして、すでに2つの先発品が存在することで、市場の供給体制が確保されており、新規参入の必要性が乏しいという点も挙げられます。


さらに、エバミールとロラメットは、製薬会社の戦略によって、それぞれ異なるターゲット層や医療機関に販売されています。 エバミールは丸石製薬によって、比較的安価な価格設定で広く普及しており、ロラメットはあすか製薬によって、より専門的な医療機関や特定の患者層に販売されています。


参考)ロラメット錠1.0の基本情報(副作用・効果効能・電子添文など…
このように、ロルメタゼパムの2つの先発品の存在は、日本の医薬品市場の特殊性と、歴史的な背景が交差した結果であり、海外では見られないユニークな事例です。


参考リンク:
PMDA 힐연성 改訂通知 2017年 - 使用上の注意改訂の詳細情報が記載されています。
睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン - ベンゾジアゼピン系睡眠薬の適正使用に関するガイドラインが記載されています。
ロラメット錠1.0の基本情報|日経メディカル処方薬事典 - 添付文書や副作用情報が詳しく記載されています。
医薬品インタビューフォーム エバミール錠 - 製造販売元の丸石製薬が提供する詳細な医薬品情報が記載されています。

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