ラコール半固形経過措置の終了と保険請求への影響

ラコール半固形(ラコールNF配合経腸用半固形剤)の経過措置はいつ終わるのか?保険請求への影響、代替品イノソリッドへの切替ポイント、薬価の違いまで医療従事者が押さえるべき情報を解説。切替を急ぐべき本当の理由とは?

ラコール半固形の経過措置と保険請求・切替対応まとめ

経過措置が切れる2027年4月以降、ラコールNF半固形剤を処方し続けても薬価基準から削除されているため保険請求ができなくなります。


🔑 この記事の3つのポイント
📅
経過措置の期限は2027年3月末

ラコールNF配合経腸用半固形剤は2025年11月頃に販売中止。薬価基準収載は2027年3月末まで経過措置として維持されるが、それ以降は保険請求不可になる。

💊
代替品はイノソリッド配合経腸用半固形剤

2025年1月に薬価収載済み。900kcal(3袋)でビタミン・微量元素の推奨量をほぼ充足できる改良設計。薬価はラコールNFより約34%高い。

⚠️
「在庫があるから問題ない」は危険な誤解

院内在庫が尽きた後に突発的な切替を迫られると、患者への説明・デバイス確認・処方変更の手続きが重なりリスクが高まる。計画的な移行が急務。


ラコール半固形の経過措置とは何か?期限と保険請求への影響



「もう処方できない薬なのに、まだ保険請求してしまった」という事態が2027年4月以降に起き得ます。


経過措置とは、薬価基準から削除予定の品目について一定期間は保険請求を認める制度のことです。 ラコールNF配合経腸用半固形剤は2025年11月頃の販売中止後も、薬価基準収載を維持し経過措置期間は2027年3月末までとされています。 これが原則です。


参考)イノソリッド®とは?半固形栄養剤の特徴・ラコールNFからの切…


つまり現時点(2026年6月)では保険請求は可能な状態です。 しかし院内在庫が切れても「経過措置中だから問題ない」と判断するのは間違いで、そもそも販売中止品のため新規入手自体ができません。 経過措置は「まだ持っている在庫を使い切るための猶予」であり、在庫がなければ処方できないということです。


参考)ラコール半固形栄養剤 販売中止のお知らせ - ひのでクリニッ…


2026年3月末に一部施設では経過措置移行がすでに実施されており、供給停止・在庫限り販売中止の状況は施設ごとに異なります。 施設の薬剤部への最新在庫確認が必須です。


参考)https://ims.gr.jp/meirikaichuo/concerned/parts/pdf/pharmacis/dinews_2601/03.pdf



  • 📋 販売中止目安:2025年11月頃(在庫消尽次第)

  • 📋 経過措置期限:2027年3月末

  • 📋 薬価基準削除:2027年4月以降の予定

  • 📋 経過措置後:保険請求不可となる


経過措置の期限だけ覚えておけばOKです。


大塚製薬工場 公式:ラコールNF配合経腸用半固形剤 製品ページ(経過措置期間延長のお知らせ掲載)


ラコール半固形が販売中止になった理由と背景

ラコールNF半固形剤がなくなる本当の理由は「古い栄養設計のまま放置されてきたから」です。


ラコールNF配合経腸用半固形剤は2014年に国内初の医薬品半固形栄養剤として登場し、胃瘻患者への誤嚥性肺炎対策・投与時間短縮に貢献してきました。 しかし1日のビタミン・微量元素推奨量を充足するには1,600 kcal(約5.3袋)の摂取が必要という設計上の弱点がありました。 高齢者や低活動量患者では1,600 kcalの確保自体が難しいケースも多く、長期使用でヨウ素欠乏による甲状腺機能低下症の症例報告も出ていました。



2020年版「日本人の食事摂取基準」への対応も求められる中、大塚製薬工場は製品ラインを「イノラス®/イノソリッド®」シリーズへ刷新する戦略を選択しました。 厳しいところですね。製品の「代替わり」であり、廃盤ではなく進化の形です。













































観点 ラコールNF半固形剤 イノソリッド半固形剤
発売年 2014年 2025年1月
充足基準 1,600 kcal/日(約5.3袋) 900 kcal/日(3袋)
ヨウ素・セレン 含有なし 新規配合
食物繊維 含有なし イヌリン3g/袋
薬価(1袋300g) 321円 432円(約34%増)
大豆たん白 含有(カゼイン+大豆) 不使用(カゼインのみ)
経過措置期限 2027年3月末 —(現行薬価収載品)


つまり販売中止は「製品アップデートによる自然な退場」です。



ラコール半固形の経過措置期間中に医療従事者がすべき切替手順

「経過措置期間中だからまだいい」と後回しにすると、切替準備ゼロの状態で在庫切れを迎えます。


切替のポイントは5つに絞られます。



  1. 💊 処方変更の準備:ラコールNF半固形剤→イノソリッド半固形剤に処方名・規格を変更する。同じ300g袋・同じ1袋300 kcalのため、投与量(袋数)の変更は基本的に不要です。

  2. 🔧 アダプタの確認:従来の「ラコールNF半固形剤専用アダプタ」はイノソリッドでも共用可能です。名称が「経腸用半固形剤専用アダプタ」に変更されましたが形状・機能は同一です。


  3. 📋 患者・家族への説明:名称・パッケージが変わることを事前説明する。使い方・投与手順は変わらないことを強調し不安を解消します。

  4. 🩺 浸透圧への注意:イノソリッドはラコールNF半固形剤より浸透圧がやや高め(約500 mOsm/L前後と推定)。 切替直後は投与速度をゆっくりめにし、下痢の有無を確認します。


  5. 💰 薬価差の説明:薬価が約34%増となるため、在宅患者への説明と調剤薬局との連携が必要です。


切替後も半固形剤という性質は同じで、「ラコールNFで得られていた誤嚥性肺炎リスク低減・投与時間短縮の効果はイノソリッドでも継続できる」ことが基本です。



イノソリッド®とは?半固形栄養剤の特徴・ラコールNFからの切替ポイントを詳解(医療情報ブログ)


ラコール半固形の経過措置と薬価:保険請求ルールを正確に把握する

「イノソリッドへ切替を急ぐ必要はない」という認識は、2027年4月以降に深刻なレセプト返戻を招きます。


保険請求の観点から整理すると、経過措置期間(〜2027年3月末)内であれば在庫がある限りラコールNF半固形剤の保険請求は可能です。 ただし2027年4月以降は薬価基準から削除され、保険請求そのものができなくなります。 これが条件です。



一方でイノソリッド半固形剤は2025年1月に薬価基準収載済みで、現時点から問題なく処方・請求できます。 算定区分は「タン白アミノ酸製剤/経腸栄養剤」で変わらず、在宅患者への処方でも2018年の診療報酬改定で新設された在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料の対象となります。 これは使えそうです。



医療機関としてリスク管理の観点から見ると、在庫切れ→突発的切替は処方ミスや患者説明漏れが起きやすい状況です。2026年中に計画的にイノソリッドへ切り替えておくことが、2027年3月の「経過措置終了」という締め切りに余裕を持って対応できる最善策といえます。


厚生労働省:薬価基準から削除する品目及び経過措置期間の延長について(公式PDF)


ラコール半固形経過措置の落とし穴:見落としがちな在宅・指定難病患者への影響

指定難病の上限管理患者でラコール半固形を継続使用していると、知らぬ間に自費負担が発生しているかもしれません。


指定難病受給者証を持つ患者では、医療費の月額自己負担に上限額が設定されています。しかしラコールNF半固形剤が薬価基準から削除された後、万が一処方・調剤が行われた場合は自費扱いとなり、上限管理の対象外となります。 痛いですね。患者への影響が直接の金銭負担として現れる点で、医療従事者が責任を持って事前に対処すべき問題です。


参考)ラコール半固形は1年過ぎると保険適用外になり、自費購入になる…


在宅患者の場合、調剤薬局側も早期に情報共有し在庫状況・代替品の供給体制を確認しておく必要があります。愛媛大学医学部附属病院では2025年5月の時点でイノソリッドの院内採用を開始し、ラコールNF半固形剤の院内使用を停止済みです。 院外(在宅)向けも2025年11月の在庫消尽を見越して早期切替を推奨していました。



また、在宅半固形栄養法では家族が投与手技を担うケースが多く、製品変更に際しては家族への再指導が必須です。 デバイス(アダプタ)は共用可能ですが、新製品への切替時に改めて注入速度・投与量・観察ポイントを確認する機会として活用することを推奨します。




  • 🏠 在宅患者:調剤薬局と連携して代替品の供給ルートを確認する

  • 📄 指定難病患者:薬価削除後の自費負担リスクを患者・家族へ事前説明する

  • 👨‍👩‍👧 家族介護者:イノソリッド切替時に投与手技の再確認指導を行う

  • 🔄 アダプタ:形状は同一だが名称変更されているため発注名に注意する


経過措置期限に注意すれば大丈夫です。


愛媛大学医学部附属病院:ラコールNF配合経腸用半固形剤からイノソリッドへの切替案内(院内向けPDF)

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