パルスオキシメーター 数値 見方 正常値と測定のポイント

パルスオキシメーターの数値の正しい見方、正常値の目安、測定誤差の原因、看護現場での観察ポイントを解説。SpO2が患者状態を反映しないケースがあることをご存知ですか?

パルスオキシメーター 数値 見方

パルスオキシメーター基本概念
📊
SpO2 酸素飽和度

動脈血のヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかを示す値

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PR 脈拍数

1分間の心拍数を同時表示、測定精度の確認指標

📈
波形表示

脈波の安定性で測定信頼性を判断する重要要素


パルスオキシメーター 数値 見方 正常値の基本



パルスオキシメーターに表示される数値は、SpO2(経皮的酸素飽和度)とPR(脈拍数)の2つが基本です。SpO2は赤色光と赤外光の2つの波長の光を指先に当て、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの比率から算出されます。


参考)https://www.jrs.or.jp/file/pulse-oximeter_medical.pdf


正常値の目安は以下の通りです。


  • 96〜100%:正常範囲、安静時の健常者
  • 94〜95%:要注意、息切れを自覚する可能性
  • 90〜93%:酸素投与が必要、入院を検討
  • 89%以下:危険水準、呼吸不全の疑い


参考)【血中酸素濃度の正常値は?】パルスオキシメーターを読む!


医療現場では、SpO2が90%を切ると「呼吸不全」と定義され、何らかの治療が必要と判断されます。ただし、慢性呼吸器疾患を持つ患者では、普段のSpO2が90〜94%程度で安定しているケースもあり、個々の患者の基準値を把握しておくことが重要です。


参考)https://sumitomo-naibunpitsu.com/wp/nurse/?p=1004


意外な事実として、SpO2が正常でも生体は低酸素状態になることがあります。貧血や心拍出量の低下、異常ヘモグロビンの存在など、酸素運搬能力が低下している場合、SpO2は正常でも組織への酸素供給が不足する可能性があります。



パルスオキシメーター 数値 見方 測定誤差の原因

パルスオキシメーターの測定値は、以下の要因で誤差が生じることがあります。


測定に影響する物質の存在

  • マニキュア:特に緑色、青色、茶色は光を吸収しSpO2を低下させる
  • 皮膚の色素沈着や熱傷の瘢痕
  • 一酸化炭素ヘモグロビン(CO-Hb):喫煙や一酸化炭素中毒で増加
  • メトヘモグロビン(Met-Hb):亜硝酸薬、抗不整脈薬、局所麻酔薬の影響



循環状態の影響

  • 末梢循環不全:冬の寒冷時、手指の血管収縮で血流が減少
  • 低血圧やショック状態
  • 長時間のプローブ圧迫による血流阻害



外部要因

  • 体動:静脈血の拍動が混入し誤差を生じる
  • 外部光:直射日光、蛍光灯、赤外線加熱ランプ
  • 電磁波:電気メス、携帯電話、テレビなどの電化製品



測定部位の違い

  • 手指・足趾・耳朶で循環到達時間が異なる
  • 足趾は手指より数秒遅れてSpO2が反映
  • 末梢循環不全時は耳朶や前額部の方が正確



インドシアニングリーン(ICG)やメチレンブルーなどの色素静注もSpO2に影響します。ビリルビン>20mg/dlの高度な黄疸症例を除き、黄疸はSpO2に影響しません。



パルスオキシメーター 数値 見方 看護現場での観察ポイント

看護師がパルスオキシメータを使用する際、以下のポイントに注意します。


表示値だけで判断しない
SpO2は単独で診断を決める数字ではありません。呼吸数、努力呼吸、会話の途切れ、意識状態、顔色、冷汗、胸部症状、患者さんの「苦しい」という訴えと重ねて見ます。


参考)パルスオキシメータはどこを見る?波形と末梢循環確認と安全に進…


波形と脈拍数の確認

  • 波形が安定しているか:乱れている、細い、途切れる場合は測定エラーの可能性
  • 表示脈拍数と実際の脈拍が一致しているか:大きく違う場合はうまく拍動を拾えていない



測定前の準備

  • 測定部位の選択:冷感、浮腫、爪の装飾、末梢循環の確認
  • 酸素投与条件の確認:流量、デバイス種類、装着状態
  • 前回値との比較:患者ごとの基準値把握



測定中の観察

  • 波形が安定するまで待つ:すぐ一つの数字だけを拾わない
  • 低値のときは「患者、機器、指示」の順に確認
  • 正常そうな値でも「苦しそう」は報告する



記録と申し送り
「SpO2 96%、問題なし」ではなく、「右示指で測定、室内気、波形安定、SpO2 96%、脈拍表示と橈骨動脈の脈拍に大きな差なし、呼吸苦訴えなし」と記録します。



パルスオキシメーター 数値 見方 呼吸困難との関係

SpO2が正常なのに呼吸困難を訴える場合があります。これは、呼吸困難が呼吸の努力感と充足感のバランスによって生じるためです。



呼吸困難が生じるメカニズム

  • 低酸素血症:頸動脈小体などの化学受容体を刺激
  • 高二酸化炭素血症:呼吸中枢刺激
  • 運動や心理的興奮:換気増大の指令
  • 疾患による換気障害:気管支収縮など



臨床では、十分な酸素療法を行っている喘息発作やCOPD急性増悪の患者で、SpO2は正常でも呼吸困難を訴えることがよく見られます。SpO2が良好で「苦しいのは気のせい」と誤認されないよう注意が必要です。



健常人でも最大負荷の運動直後は、SpO2がそれほど低下しなくても呼吸困難を感じます。SpO2値が正常なのに呼吸困難を訴えることは珍しくありません。



パルスオキシメーター 数値 見方 循環遅延の考慮

無呼吸から呼吸を再開する場合や酸素投与した場合、即時にSpO2が反応せずに10〜30秒くらいの遅れが生じることがあります。この遅延の原因を理解しておくことが重要です。



遅延が起こる要因
1. 機械的要因:機器自体の応答性、移動平均の設定時間
2. 生理的要因:肺胞から末梢循環までの到達時間
3. 病的要因:循環時間の延長(心不全など)



循環時間の詳細

  • 肺循環で赤血球が肺胞を通って酸素化されてから左心房に到達するまで2〜3秒
  • 左心室から末梢循環まで数秒から部位によっては10秒以上


  • 手指より足趾の方が遅れて反映



応答性の違い
ほとんどのパルスオキシメーターは、過去数秒間のSpO2データを移動平均して表示します。平均時間を長くすれば表示は安定しますが応答が遅くなり、短くすれば変動しやすくなります。



安静時の評価では問題になりませんが、酸素投与、運動、体位変換など呼吸循環動態が変化した直後は、測定値に遅延が起こることを考慮しながら測定を行う必要があります。



パルスオキシメーター 数値 見方 酸素療法の管理

酸素療法では、一般的にSpO2 90%以上を目標として酸素吸入を行います。心不全患者や病状が不安定な患者などでは、安全域をとってSpO2 95%以上を目標とすることもあります。



酸素療法の注意点

  • 過剰な高濃度酸素療法:酸素中毒による肺傷害のリスク
  • II型呼吸不全(高炭酸ガス血症)患者:PaO2が高すぎるとCO2ナルコーシスのリスク
  • 一酸化炭素中毒患者:SpO2は見かけ上高くなる



ドクターコールの目安
患者の普段のSpO2の値よりも3〜4%低下した場合は、急性増悪が疑われドクターコールするめやすになります。SpO2が90%未満であれば酸素療法も考慮されます。



在宅酸素療法(HOT)の適応
HOTの適応基準値PaO2 55mmHgは、SpO2 88%に相当します。SpO2測定のみでHOT適応を判断することができます。



往診時の相談基準
安静時のSpO2が95%以下であれば専門医に相談すべきです。95%を超えていても息切れなどの症状がある時は相談を考慮します。



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