綿棒で眼軟膏を塗ることが「目の中を清潔に保てる最善策」と思っていると、実は感染リスクを高める結果になることがあります。
これは一見矛盾しているように見えますが、綿棒の素材や使い回しによって細菌が眼内に運び込まれるリスクが生じるためです。正しい手技と判断基準を持つことが、患者の眼を守ることに直結します。
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眼軟膏の点入方法は大きく2つに分かれます。基本はチューブから直接点入する方法で、これが最もシンプルかつ汚染リスクが低い手技です。
参考)眼軟膏の塗り方と使い方徹底解説!:看護師のためのガイド
チューブ直接法では、下まぶたを軽く引き下げ、チューブを押して約1cm(45mg相当)を結膜嚢に直接乗せます。 1cmという長さはボールペンのキャップの幅とほぼ同じ、とイメージすると量の感覚が掴みやすいです。
綿棒を使う場合は、清潔な新品の綿棒にチューブから軟膏を少量取り出し、それを下眼瞼結膜に当てて回転させながら乗せます。 綿棒を選択するのは、チューブ先端の操作が難しいケース(小児・認知症患者・片麻痺がある場合)や、眼瞼縁の特定部位へのピンポイント塗布が必要な場合に限定されます。
参考)福岡の川原眼科|福岡で白内障・網膜硝子体の手術・治療が得意な…
つまり、綿棒は補助的手段というのが原則です。
| 項目 | チューブ直接法 | 綿棒使用法 |
|---|---|---|
| 汚染リスク | 低い(先端に触れなければ) | 綿棒の再使用・不潔な保管で高まる |
| 適用場面 | 結膜嚢への点入(標準) | 眼瞼縁・ピンポイント塗布・小児 |
| 使用量目安 | 約1cm(45mg) | 米粒1粒程度 |
| 視界への影響 | 一時的なぼやけあり | 同様にぼやけあり |
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手技の順序は正確に守ることが重要です。手を抜くと患者の眼を傷つけるリスクがあります。
まず衛生的手洗いを行い、処置用手袋を装着します。 素手での実施は手指常在菌の転播リスクがあるため、手袋は省略できません。
次に、清潔な新品の綿棒にチューブから線を引くように軟膏を出します。 このとき、チューブ先端が綿棒に触れないよう注意することが鉄則です。チューブが触れると、チューブ内に細菌が逆流するリスクがあります。
綿棒を持つ角度は、下眼瞼と平行になるようにします。 垂直に当てると眼瞼を傷つけるリスクがあるため、必ず水平に近い角度を保ちます。
その後、綿棒を下眼瞼に当て、回転させながら軟膏を結膜に乗せます。目を閉じて軟膏が溶けて全体に広がるまで30秒程度静止します。 あふれた軟膏は清潔なティッシュで拭き取り、チューブ先端も同様に拭いてから蓋をします。
参考)眼軟膏の使い方
これが基本です。
以下に手順をまとめます。
参考(看護師向け手技解説)。
徹底解説!眼軟膏の塗り方と使い方:看護師のためのガイド
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眼軟膏の使用目的は一つではありません。塗布部位によって手技と量が変わります。
参考)眼軟膏の使い方
📌 眼瞼皮膚(まぶたの外側の皮膚)への塗布:指先に軟膏を出し、薄く塗り広げます。通常の皮膚用軟膏と同じ要領です。この場合、綿棒は細かい部位に使う補助として活用できます。
📌 眼瞼縁(まぶたのふち)への塗布:ものもらい(麦粒腫)や眼瞼炎に使われる方法です。綿棒先端に少量の軟膏を取り、上まぶたなら引き上げて、下まぶたなら引き下げて眼瞼縁に当てます。 ここでは綿棒が非常に有効な手段になります。
📌 結膜嚢への点入:最も効果が高い方法で、角膜・結膜の感染症治療に使われます。点眼薬より粘度が高く結膜嚢に長時間留まるため、薬効の持続時間が長いのが特徴です。 夜間就寝前の使用が多いのはこのためです。
部位を誤ると効果が半減します。処方箋・指示書には必ず塗布部位が明記されているため、確認を徹底することが事故防止につながります。
参考)眼軟膏の塗りかたを間違えた - 眼科 - 日本最大級/医師に…
参考(参天製薬の公式情報)。
目薬(点眼液・眼軟膏)の使い方|参天製薬
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医療現場で見落とされやすいのが、綿棒の管理と再使用の問題です。これが見えない感染リスクの温床になります。
よくある誤りの一つが、使い残しの綿棒を「清潔」と判断して同日中に再使用するケースです。綿棒先端は一度患者の眼瞼に触れた時点で汚染されており、再使用は感染リスクを直接高める行為です。1患者1綿棒が原則です。
もう一つの落とし穴が、チューブ先端のまぶた・まつ毛への接触です。 チューブ先端が患者の組織に触れると、チューブ内部が汚染されます。複数の患者に使い回すことが多い病棟用チューブでは、先端の汚染が院内感染につながる可能性があります。
厳しいところですね。
さらに、眼軟膏は点眼薬との併用が指示される場合、必ず眼軟膏を後から使用します。 眼軟膏の粘度が高いため、先に点入すると後続の点眼薬が浸透しにくくなるためです。この順序を逆にすると薬効が大幅に低下します。
点眼・眼軟膏の管理と投与方法 | 見て!わかる!病態生理と看護
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成人への点入とは異なり、協力が得られない患者への手技は特別な工夫が必要です。これは実務経験が少ないスタッフが最も戸惑う場面の一つです。
小児の場合、目を開けさせようとすると強く抵抗することがほとんどです。有効な方法が「睡眠時への点入」で、昼寝中や就寝時に目頭側から綿棒で塗り込むように入れると抵抗が少なく成功しやすいとされています。
参考)軟膏のつけ方【東戸塚 片桐眼科クリニック】 - YouTub…
高齢者・認知症患者では、自己点入が困難なケースが多いです。椅子や車椅子に座らせて後方から支える体位を取ると、介助者が安定した姿勢で点入できます。目の固定が難しい場合は、上まぶたを軽く固定しながら下眼瞼を引き下げる手技が有効です。
体と顔を固定するサポート役がいると作業効率が格段に上がります。
片麻痺患者や認知症患者の眼を頻繁にケアする機会がある施設では、米国の眼科看護協会(ASORN: American Society of Ophthalmic Registered Nurses)が推奨するような標準的手技マニュアルを院内で整備しておくことで、スタッフ間のばらつきを減らすことができます。マニュアルの一例として「点入時の患者体位」「チューブ管理台帳」「使用後の廃棄基準」の3点を明記すると実用的です。
結論は、患者の状態に合わせて手技を柔軟に変えることです。
参考(看護師向け手技・管理マニュアル例)。
眼軟膏の点入方法(綿棒法・眼瞼皮膚法)| 川原眼科