デルゴシチニブ軟膏は顔にたっぷり塗るほど早く治ると思っていませんか。実は塗る量が多いほど毛包炎やざ瘡が出やすいです。

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ軟膏)は、2020年に世界に先駆けて日本で承認されたJAK阻害薬です。ステロイドのような皮膚萎縮の副作用が少なく、顔や首にも使いやすいとされています。
参考)【医師解説】コレクチム軟膏とは?効果と副作用を5分で完全解説…
塗布の基本は、患部に適量を1日2回のせることです。1回あたりの上限は5gまでと決まっています。これは成人の手のひら一枚分程度に広げられる量のイメージです。
塗る前に保湿剤で肌のバリアを整えておくのが基本です。保湿剤を広範囲に、コレクチムを患部だけに重ねるという順番ですね。
参考)【皮膚科医監修】コレクチム軟膏とは?効果や副作用、正しい塗り…
つまり「広く保湿、狭くコレクチム」ということですね。この順序を守るだけで、薬剤の効果を無駄なく引き出せます。
目や口周りの粘膜に薬剤が入ると刺激になるため、まぶたに塗る際は特に注意が必要です。粘膜刺激を避けるための工夫として、綿棒で少量ずつのせる方法を紹介している医療機関もあります。
参考)コレクチム|東京都豊島区巣鴨の皮膚科・小児皮膚科|巣鴨千石皮…
顔に塗ると聞くと「かゆみさえ止まれば安心」と思う方が多いかもしれません。しかし実際は、臨床試験で塗布部位に毛包炎が3.6%、ざ瘡が3.2%の頻度で発生しています。
500人に塗布した場合、約18人に毛包炎、約16人にざ瘡が出るという計算です。ニキビのような赤いポツポツが顔に増える、というイメージです。
これは意外ですね。ステロイドに比べて安全というイメージが強い薬剤ですが、免疫抑制作用による別の皮膚トラブルが起こり得ます。
毛包炎やざ瘡が出た場合は、その部位への塗布を一時中止し、必要に応じて抗菌薬治療を検討する流れになります。アトピーの丘疹と見分けがつきにくいこともあるため、皮膚科医による確認が欠かせません。
「非ステロイドだから長期間漫然と使い続けても安全」と考えている方は少なくないでしょう。ですが実際には、カポジ水痘様発疹症が本剤0.5%群で最大3.4%に、単純ヘルペスが3.0%に報告されています。
つまり免疫抑制作用によってウイルス感染症のリスクがやや上がるということですね。特に顔面はカポジ水痘様発疹症の好発部位でもあります。
△△の場合はどうなるんでしょう?新たな皮疹が出現した際には、アトピーの悪化かヘルペス感染症かを正確に見分けることが重要です。感染症と判断された場合は当該部位の投与を中止し、抗ウイルス薬による全身治療が必要になります。
治療開始4週間以内に改善がみられない場合は、使用を中止する規定もあります。症状が改善した後も漫然と長期使用しないことが求められています。
併用については「一緒に使えば効果が倍増する」と考えがちですが、実際のデータはそう単純ではありません。ステロイド外用薬との併用は臨床試験で安全性に問題がなかったため可能とされています。
一方、タクロリムス軟膏(プロトピック)との同一部位への併用は、臨床試験で禁止されていたためデータがありません。両剤とも免疫抑制作用を持つため、重ねて使うと抑制作用が強くなる可能性があります。
厳しいところですね。部位によって使い分けるなど、慎重な判断が必要です。同一部位に併用する場合は、皮膚の状態をより丁寧に観察する必要があります。
光線療法との併用についても同様に、データが不足している点は知っておくべきポイントです。紫外線による皮膚腫瘍リスクが増える可能性が否定できないため、併用時は経過観察を強化する判断が求められます。
医療従事者向けの説明でも見落とされがちなのが、化粧水や乳液とコレクチムを塗る順序の問題です。基本は保湿剤を先に広範囲へ、コレクチムを後から患部にのせる方法です。
参考)https://cosmemeguri.com/?p=4268
これは使えそうです。順序を逆にすると、コレクチムの上に保湿剤の膜ができてしまい、薬剤の浸透が妨げられる可能性があります。
患者への服薬指導では「保湿→薬」の順番を紙に書いて渡すといった工夫も有効です。市販の保湿剤の中には、伸びが良くコレクチムとの重ね塗りに向いているセラミド配合タイプもあります。
こうした基本ルールを一度整理しておくと、患者からの質問対応もスムーズになります。塗布量・順序・部位の3点を押さえれば、指導内容に迷うことは少なくなるはずです。
コレクチム軟膏の正しい塗り方について、製造販売元による患者向け解説はこちら
日本皮膚科学会による安全使用マニュアル(副作用データの詳細)はこちら