厚生労働省が2024年12月に発表した「国民健康・栄養調査」によると、習慣的に喫煙している人の割合は14.8%となりました。これは過去12年間で最低の数値であり、禁煙啓蒙活動や健康意識の高まりが影響していると考えられています。
男女別に見ると、男性は24.5%、女性は6.5%と大きな開きがあります。特に男性の40〜50代では3割を超えており、この年代層での禁煙支援が重要な課題となっています。
参考)たばこを吸っている人の割合はどれくらい?|より豊かな人生に向…

女性の場合はピークが50代(10.0%)で、40代9.3%、30代6.3%、20代6.4%、60代8.7%、70歳以上2.7%という分布です。男性よりも全体的に低い値ですが、50代女性では10人に1人が喫煙者という実態があります。
都道府県別の喫煙率には顕著な地域格差が存在します。2022年のデータによると、男女合計の喫煙率が最も高いのは福島県の21.4%、次いで青森県20.5%、北海道20.1%、岩手県19.1%、栃木県18.8%となっています。
一方、喫煙率が低い地域は東京都13.5%、京都府13.6%、滋賀県・奈良県13.8%、兵庫県14.2%、広島県14.5%という結果です。最大で7.9ポイントの差が生じており、地域による健康意識や禁煙環境の整備状況の違いが影響していると考えられます。
男性に限って見ると、福島県32.9%、青森県31.7%、秋田県30.4%、岩手県30.2%、栃木県29.3%が上位5県です。女性は北海道13.3%、福島県10.1%、青森県9.7%、茨城県9.3%、大阪府8.7%が高くなっています。
地域別の特徴として、北関東以北と九州で男性の喫煙率が高い傾向、女性は東日本と大都市圏で高い傾向が見られます。この地域格差を解消するためには、自治体レベルでのきめ細かい禁煙支援策が求められています。
医療従事者の喫煙率は一般成人と比較してどのような実態なのでしょうか。実は、職種によって大きな開きがあることが複数の調査で明らかになっています。
医師の喫煙率は男性27.1%、女性6.8%と報告されており、一般成人男性よりは低いものの、世界の禁煙先進国と比較すると依然として高い水準です。 医師専用サイト「MedPeer」の調査(回答数3873)では、「喫煙したことがない」61.2%、「以前喫煙していた(今はしていない)」29.6%、「ほぼ毎日喫煙」7.0%、「ときどき喫煙」2.2%という結果で、現役の喫煙者は1割に満たないというデータもあります。
参考)https://www.hiroshima.med.or.jp/assets/docs/pdf/kenmin/kinen/atlas/07.pdf
一方で、看護師の喫煙率は25.7%(女性看護師24.5%)と報告されており、一般成人女性の2倍以上という高い数値を示しています。 日本看護協会の「看護職のたばこ実態調査」によると、喫煙経験者のうち現在も継続的に喫煙している看護師は45%に上ります。
職種別では、薬剤師が最も低く1割未満、歯科医師は国民平均と同程度、看護師が平均の2倍以上という順位になっています。 医療従事者の中でも特に看護師の喫煙率が高いことは、患者への指導や模範となるべき立場という点で課題と言えるでしょう。
参考)http://sahswww.med.osaka-u.ac.jp/~chiikih/h17tobaccoreport/h17%20matome.pdf
喫煙による経済損失は、医療費だけでなく生産性の低下も含めると想像以上に巨大です。国立がん研究センターの試算によると、喫煙関連疾患による年間医療費は約2兆円に達すると推計されています。
さらに、喫煙による労働生産性の低下(喫煙時間の損失、喫煙関連疾患による欠勤・早退、死亡による生産年齢人口の減少)を合わせると、年間総損失は約7兆円に及ぶという試算もあります。これは日本のGDPの約1.4%に相当する規模です。
意外な事実として、喫煙者の1人あたりの年間医療費は非喫煙者の約1.5倍ですが、退職後の高齢期に集中する傾向があります。つまり、現役世代の企業にとっては、喫煙従業員の医療費負担よりも、喫煙時間による生産性低下の方が直接的なコストとして影響している可能性があります。
国立がん研究センター がん統計 喫煙率ページ
このリンクでは、都道府県別・年代別・男女別の詳細な喫煙率データが閲覧できます。
厚生労働省 国民健康・栄養調査報告書
最新の喫煙率統計と年代別・男女別の詳細データが掲載されています。
日本医師会 医師会員喫煙意識調査報告
医療従事者、特に医師の喫煙実態と意識調査の結果が詳しく記載されています。
この減少の背景には、1990年代以降の健康増進法制定、受動喫煙防止条例の施行、たばこ税の引き上げ、禁煙治療の保険適用など、多角的な禁煙政策が効果を発揮していることが挙げられます。
2024年の国民健康・栄養調査で注目すべきは、「たばこをやめたい」と思う喫煙者の割合が18.6%にとどまった点です。 喫煙率が過去最低を更新している一方で、禁煙を希望する人が5人に1人未満という現実は、喫煙者自身の依存の強さを示しています。
参考)喫煙習慣ありは14.8%=過去12年の最低に並ぶ−厚労省調査
このデータから読み取れるのは、単なる禁煙啓発だけでは不十分で、医療機関での禁煙治療やニコチン依存症への専門的なアプローチがより重要であるということです。禁煙治療は2006年から保険適用となり、医療機関で専門的なサポートを受けながら禁煙に取り組むことが可能になっています。
日本の喫煙者割合は着実に減少傾向にあり、2024年には14.8%と過去最低を記録しました。しかし、40〜50代男性の3割超という高い喫煙率、看護師を中心とした医療従事者の喫煙率の高さ、地域格差の存在など、解決すべき課題は依然として残っています。
今後の禁煙政策では、年代別・職種別・地域別の特性を踏まえたきめ細かい支援プログラムの開発、医療従事者自身の禁煙支援の強化、経済損失の可視化による企業レベルでの禁煙推進など、多角的なアプローチが求められるでしょう。
あなたの周囲の喫煙率は、全国平均の14.8%と比べてどうでしょうか。職場や家庭でできる禁煙支援から始めてみませんか。