循環系 図で理解する血流経路と臨床評価

循環系 図を正しく読み解くために、体循環・肺循環の血流経路、心臓4腔と弁、血管の役割、図を臨床評価へ結び付ける視点を整理します。教育、患者説明、記録の確認に活用してみてはいかがでしょうか?

循環系 図の基礎知識と核心ガイド

循環系図を臨床で読む要点
血流は一方向に追う

心房、心室、弁、動脈、毛細血管、静脈を順にたどると、循環系図の全体像と異常部位を整理しやすくなります。

動静脈は酸素量で決めない

動脈と静脈は心臓から出るか戻るかで分類します。肺動脈と肺静脈は、酸素化の印象だけで判断しないことが重要です。

図を観察と病態へ接続する

血流経路を基準に、SpO2、血圧、浮腫、呼吸状態、末梢冷感などを位置付けると、臨床推論の軸をつくれます。


循環系 図で最初に確認する全体構造


循環系は、血液を駆出する心臓と、血液の通り道となる血管から成り立つ系です。血液は酸素や栄養素を組織へ供給し、二酸化炭素や代謝産物を回収します。循環系 図を読む際は、心臓を中心とした単なる「輪」として見るのではなく、肺でのガス交換と全身組織での物質交換をつなぐ、二つの直列回路として捉えることが基本です。心血管系は心臓と血管から構成され、全身の細胞に酸素・栄養素を届けると同時に、二酸化炭素や老廃物を運び出す役割を担います。


参考)血管の生物学 - 06. 心臓と血管の病気 - MSDマニュ…
標準的な循環系 図には、右心房、右心室、肺動脈、肺毛細血管、肺静脈、左心房、左心室、大動脈、全身の動脈・毛細血管・静脈、上大静脈、下大静脈が配置されます。まず矢印の向きを確認し、血液がどこから出て、どこに戻るかを一筆書きのように追ってください。左心室から始まった血流は全身を巡り右心房へ戻り、次に右心室から肺へ向かい、左心房を経て左心室に戻ります。この連続性を理解すると、解剖図、心エコー図、カテーテル検査の模式図、循環動態の資料など、表現形式が異なる図も共通の枠組みで読めます。
医療従事者の教育では、赤色を酸素化血、青色を脱酸素化血として示す図が広く使われます。ただし、これは理解を助けるための色分けであり、実際の血液が鮮明な赤色・青色に見えるという意味ではありません。また、色分けより優先すべきなのは矢印と心臓からの出入りです。循環系 図では、動脈を「心臓から出る血管」、静脈を「心臓へ戻る血管」と定義して読むことが、肺循環を誤解しない第一歩になります。
MSDマニュアル:心臓の生物学


肺循環と体循環を図でたどる方法

肺循環は、全身から還流した血液を肺へ送り、ガス交換を経て左心系へ戻す回路です。経路は、右心室→肺動脈幹→左右肺動脈→肺細動脈→肺胞毛細血管→肺細静脈→肺静脈→左心房です。肺胞毛細血管では、血液中の二酸化炭素が肺胞側へ移動し、肺胞内の酸素が血液側へ移動します。肺静脈を通って左心房へ戻る血液は酸素化されていますが、静脈と呼ばれる理由は心臓へ還流する血管だからです。


参考)酸素と二酸化炭素の交換 - 07. 肺と気道の病気 - MS…
体循環は、左心室から駆出された血液が全身組織へ酸素と栄養を供給し、右心房へ戻る回路です。経路は、左心室→大動脈→大動脈の分枝→動脈→細動脈→全身の毛細血管→細静脈→静脈→上大静脈・下大静脈→右心房となります。組織毛細血管で酸素が組織へ渡り、二酸化炭素などを受け取った血液は、上大静脈または下大静脈を介して右心房へ還流します。体循環は左心室から全身へ、肺循環は右心室から肺へという出発点を固定して覚えると、図の理解が安定します。


参考)肺循環と体循環の違いは?

項目 基準・内容 備考
肺循環の開始部位 右心室 肺動脈を通じて肺へ血液を送る
肺循環の終点 左心房 肺静脈から酸素化血が戻る
体循環の開始部位 左心室 大動脈を通じて全身へ血液を送る
体循環の終点 右心房 上大静脈・下大静脈から還流する
動脈の定義 心臓から離れる方向へ流れる血管 肺動脈は脱酸素化血を運ぶ
静脈の定義 心臓へ戻る方向へ流れる血管 肺静脈は酸素化血を運ぶ

図を使った確認では、「右心室の次は何か」「肺で酸素化された血液はどの血管へ入るか」「左心室の次に通る大血管は何か」という順で問いかけると、暗記ではなく流れとして理解しやすくなります。特に肺動脈と肺静脈は、動脈血・静脈血という呼び方と混同しやすいため、血管名の定義と血液の酸素化状態を別の情報として扱うことが大切です。
看護roo!:肺循環と体循環の違い


心臓四腔と弁を血流順に整理する

循環系 図で心臓を読むときは、右心系と左心系を二つのポンプとして整理します。右心系は右心房と右心室から構成され、全身から戻った血液を低圧系である肺循環へ送り出します。左心系は左心房と左心室から構成され、肺から戻った酸素化血を高圧系である体循環へ送り出します。左心室は全身へ血液を駆出する必要があるため、右心室よりも厚い心筋を備えています。
血流順にみると、上大静脈・下大静脈から右心房へ流入した血液は三尖弁を通って右心室へ入り、肺動脈弁を越えて肺動脈へ駆出されます。肺でガス交換を終えた血液は肺静脈から左心房へ入り、僧帽弁を通って左心室へ流れます。左心室からは大動脈弁を通過して大動脈へ駆出されます。四つの弁は血液の逆流を抑え、前方への一方向性の流れを維持する構造です。

  • 右心房は上大静脈・下大静脈からの静脈還流を受け取る部位です。
  • 右心室は肺動脈へ血液を駆出し、肺循環の入口となります。
  • 左心房は肺静脈からの酸素化血を受け取る部位です。
  • 左心室は大動脈を介して全身へ血液を駆出する主ポンプです。
  • 房室弁と半月弁は圧較差に応じて開閉し、心内血流の逆流を抑えます。

図の上で心房と心室を区別する際は、「心房は受け取る部屋、心室は送り出す部屋」と考えると整理しやすくなります。ただし、心房にも貯留・導管・補助ポンプとしての役割があり、心室にも拡張期の受動的充満が存在します。教育用の模式図は機能を単純化しているため、臨床では心周期、心房圧、心室圧、弁機能、前負荷・後負荷、収縮能を組み合わせて評価する必要があります。


血管の種類と毛細血管で起こる交換

循環系 図に描かれる血管は、一般に動脈、細動脈、毛細血管、細静脈、静脈の順に連続しています。動脈は心臓から駆出された血液を運び、細動脈は血管抵抗を調節して各臓器への灌流分布に大きく関わります。毛細血管は血液と組織間液との物質交換の場であり、酸素、二酸化炭素、水分、電解質、栄養素、代謝産物などの移動に関与します。細静脈から静脈へ移行した血液は、最終的に大静脈へ集まり、心臓へ戻ります。
臨床で重要なのは、図の血流経路を「単に血が通る道」として終わらせず、臓器灌流と物質交換の視点へ拡張することです。たとえば、血圧が保たれていても、末梢循環不全、微小循環障害、貧血、低酸素血症、心拍出量低下などにより、組織への酸素供給が十分とは限りません。逆に、動脈血酸素飽和度が比較的保たれていても、心拍出量が低い場合には全身への酸素運搬量が低下する可能性があります。
血圧は主に心拍出量と末梢血管抵抗の関係で捉えられますが、循環評価では数値単独ではなく、意識状態、皮膚温、毛細血管再充満時間、尿量、呼吸数、末梢SpO2、乳酸値、浮腫、頸静脈怒張などを患者背景と合わせて評価します。循環系 図は、これらの所見が「ポンプ機能」「血管トーン」「静脈還流」「肺でのガス交換」「組織灌流」のどこに関連するかを考えるための基盤になります。
看護roo!:循環器系のしくみと働き


循環系 図を患者説明と臨床推論に活用する

循環系 図は、学生教育だけでなく、患者・家族への説明、看護記録やカンファレンスにおける情報整理、多職種間の共通言語としても役立ちます。たとえば、左心不全の説明では、左心室から体循環へ十分に血液を送り出せない状態を起点に考え、左心房、肺静脈、肺毛細血管側へ圧が波及しやすいことを図上で示します。これにより、呼吸困難、起坐呼吸、湿性ラ音、肺うっ血といった所見を、血流の滞りという因果関係で理解しやすくなります。
右心不全を説明する場合は、右心室から肺循環へ血液を送り出しにくくなることで、右心房から大静脈、全身の静脈系へうっ血が及ぶ流れを図で追います。この枠組みでは、頸静脈怒張、下腿浮腫、体重増加、肝うっ血、腹水などを、静脈還流側の圧上昇と関連付けて捉えられます。ただし、心不全は左・右に明確に分かれるだけではなく、病態が相互に影響するため、図は診断を確定する道具ではなく、病態を共有する補助線として使うことが重要です。
実践では、循環系 図に患者固有の情報を書き加える方法が有用です。例えば、肺動脈側に肺高血圧、左心房側に僧帽弁疾患、左心室側に収縮能低下、大動脈側に血圧、末梢側に冷感・チアノーゼ・浮腫、静脈還流側に中心静脈圧や頸静脈怒張を配置します。こうした可視化により、所見の列挙から一歩進み、「どこで血液が滞るのか」「どの部位の圧が上昇または低下しているのか」「その変化が症状へどうつながるのか」を検討しやすくなります。
なお、循環系 図は教育用に単純化された模式図であり、冠循環、門脈循環、腎循環、脳循環、胎児循環、リンパ循環などは別途理解が必要です。患者の評価・診断・治療方針の決定では、症状、診察所見、バイタルサイン、心電図、心エコー、胸部画像、血液検査、必要に応じた専門的検査を統合し、施設基準と専門医の判断に基づいて対応してください。




解剖学的ウォールプリント – 図、循環器レイアウト|骨格構造の視覚、消化器図、小児科医のための内分泌経路の概要、健康教室、フィジカルセット