医療従事者の多くは「クロモグリク酸Na点眼に切り替えれば済む」と考えていますが、実はその代替薬自体も出荷調整の対象になっている場合があります。
あなたが選んだ代替薬、実は薬局で欠品しています。

インタール点眼液は、アレルギー性結膜炎治療剤の先発品として長年使われてきました。しかし2020年12月末をもって細粒10%が、2021年3月末には点眼液2%とUD2%が相次いで販売中止となりました。
参考)インタール販売中止の理由とは?経過措置はいつまで?代替薬も紹…
理由として公表されているのは、需要状況の変化による供給体制の見直しです。特定の副作用や品質問題ではなく、いわば経営判断による整理という点は覚えておく必要があります。
参考)クロモグリク酸ナトリウム点眼が販売中止の理由は?代替品や市販…
つまり突然の欠品リスクとは別物ということですね。
経過措置医薬品としての取り扱いも2021年3月31日限りで終了しており、この日以降は薬価収載からも外れています。処方オーダリングシステムに古いマスタが残っている施設では、今も誤って選択候補に表示されるケースがあるため注意が必要です。
このシステム上の「見えない在庫」の話は、あまり院内で共有されていません。電子カルテのマスタ管理担当者に、廃止薬剤コードの非表示設定を依頼することも一つの対策です。
代表的な代替薬は、同一成分のクロモグリク酸Naを含む後発点眼液です。具体的には「センジュ」「日点」「ニッテン」「ファイザー」ブランドのクロモグリク酸Na点眼液2%が挙げられます。
これらはすべて先発のインタールと同じ有効成分ですが、防腐剤の有無や容器形状に差があります。日点の一部製剤は防腐剤フリー(PF)タイプで、開封後の使用期限が通常品より短く設定されている点が特徴です。
防腐剤フリーは角膜への刺激が少ないメリットがあります。一方で、開封後は数日以内に使い切る必要があり、長期処方には向きません。これは患者の点眼コンプライアンスに直結する重要な情報です。
面積で例えると、通常5mL容器はコンタクトレンズケースの中身程度の量しかなく、少量ずつ管理する煩雑さがあります。在宅患者や高齢者への処方では、この使用期限管理が抜けやすいポイントです。
処方時に薬歴システムへ「開封日」を自動記録するテンプレートを組んでおくと、こうした期限切れのリスクを減らせます。
意外と知られていないのが、代替薬であるクロモグリク酸Na点眼液自体も、メーカーによって出荷調整の対象になっているという事実です。ある調剤情報では「代替候補品は、すべて出荷調整中」と明記されており、薬剤部内在庫が消尽次第マスタ停止という運用も報告されています。 m-p-a(http://m-p-a.jp/pdf/1.(4)%EF%BC%BF%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E4%B8%AD%E6%AD%A2%E3%80%81%E5%87%BA%E8%8D%B7%E5%81%9C%E6%AD%A2%E7%AD%89%E3%81%AB%E4%BC%B4%E3%81%86%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81%E3%81%AE%E5%88%87%E3%82%8A%E6%9B%BF%E3%81%88%E7%AD%89%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6202401.pdf)
これは意外ですね。
先発薬が消えたからと安心して後発品に切り替えても、その後発品自体が品薄になっているケースがあるということです。実際、インタール吸入液についても、製造元の無菌性管理の不備を理由に2025年にクラスII自主回収が行われ、出荷再開は2026年4月頃まで延期されています。
参考)医薬品の自主回収および一時出荷停止に係るお知らせ|一般社団法…
点眼液と吸入液は別製剤ですが、同じ有効成分・同じメーカー系列であるため、供給網全体に影響が及ぶ可能性は否定できません。院内採用薬を1製品に絞りすぎず、複数の後発品コードを事前に登録しておくと、緊急時の切り替えがスムーズになります。
在庫アプリで複数メーカーの入荷状況を定期チェックする運用も有効です。
患者から「市販薬で同じ成分のものはないか」と聞かれることも多いはずです。結論として、医療用のクロモグリク酸Na点眼液と同一成分を含むOTC医薬品は薬局で購入可能です。
参考)クロモグリク酸ナトリウムが入った医療用と同じ市販の目薬はある…
市販品なら問題ありません。
ただし濃度や添加物が医療用と異なる場合があり、重症のアレルギー性結膜炎には効果が不十分なことがあります。軽症例のセルフケアとしては選択肢になりますが、症状が強い患者には受診を促す判断が必要です。
医療用とOTC版クロモグリク酸ナトリウムの成分・適応の違いを薬剤師視点で解説
最後に、現場で実際に必要になる作業を整理します。販売中止薬がオーダリングシステムに残っていないか確認することが第一歩です。
具体的には、薬剤部で以下の3点を確認するのが基本です。
これらを四半期ごとに見直すだけでも、突然の欠品による処方混乱をかなり減らせます。地域の医薬品卸への定期的な在庫確認依頼も、併せて行っておくと安心です。
インタール吸入液の自主回収・出荷停止と2026年4月供給再開予定に関する公式案内
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