ヒドロクロロチアジド 先発 名 作用機序 副作用 特徴

ヒドロクロロチアジドの先発品名と後発品の現状、作用機序、電解質異常や代謝系副作用、光線過敏症など皮膚科領域の注意点、薬物動態と相互作用について医療従事者向けに解説。意外な皮膚がんリスクや血糖・尿酸への影響とは?

ヒドロクロロチアジド 先発 名 作用機序 副作用 特徴

ヒドロクロロチアジド 先発 名 作用機序 副作用 特徴
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先発品はダイクロトライド 現在は後発品のみ

日本では万有製薬のダイクロトライドが先発品でしたが販売中止。現在は東和薬品のヒドロクロロチアジド錠「トーワ」が後発品として供給されています。

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遠位尿細管でNa⁺-Cl⁻共輸送体を阻害

腎臓の遠位尿細管においてナトリウムとクロールの再吸収を抑制し、利尿と降圧効果を発揮します。炭酸脱水酵素阻害作用も有します。

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低ナトリウム 低カリウム 高尿酸に注意

電解質異常(低ナトリウム血症、低カリウム血症)や代謝系副作用(高尿酸血症、血糖上昇)のモニタリングが必須です。


ヒドロクロロチアジド 先発 名 製品 一覧



ヒドロクロロチアジドの日本における先発品は、かつて万有製薬から販売されていた「ダイクロトライド」でした。しかし、この先発品は現在販売中止となっており、市場から姿を消しています。


参考)ヒドロクロロチアジド - Wikipedia


現在の状況としては、単剤のヒドロクロロチアジド製剤はすべて後発品(ジェネリック医薬品)として供給されています。代表的な製品は東和薬品から販売されている以下の製剤です。



  • ヒドロクロロチアジド錠12.5mg「トーワ」(後発品)
  • ヒドロクロロチアジド錠25mg「トーワ」(後発品)
  • ヒドロクロロチアジドOD錠12.5mg「トーワ」(後発品)


これらの後発品の薬価は、12.5mg錠・25mg錠ともに5.9円/錠と設定されています。


参考)医療用医薬品 : ヒドロクロロチアジド (ヒドロクロロチアジ…


また、ヒドロクロロチアジドは多くの配合剤の成分としても使用されています。代表的な配合剤には以下があります。



  • プレミネント配合錠LD/HD(ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド)
  • エカード配合錠LD/HD(カンデサルタン シレキセチル・ヒドロクロロチアジド)
  • コディオ配合錠MD/EX(バルサルタン・ヒドロクロロチアジド)
  • ミコンビ配合錠AP/BP(テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド)


海外では、Hydrodiuril、Dichlotride、Esidrex、Microzideなどの商品名で販売されており、1959年から商業利用が開始された歴史のある薬剤です。



ヒドロクロロチアジド 先発 名 作用機序 遠位尿細管

ヒドロクロロチアジドはチアジド系(サイアザイド系)利尿薬に分類され、その作用機序は腎臓の遠位尿細管におけるNa⁺-Cl⁻共輸送体の阻害にあります。


参考)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/530113_2149110F1295_1_16


具体的な作用メカニズムは以下の通りです。


  • 遠位尿細管での作用: 腎臓の遠位尿細管において、管腔側のNa⁺-Cl⁻共輸送担体を阻害します。これにより、ナトリウム(Na⁺)とクロール(Cl⁻)の再吸収を抑制し、尿中への排泄を促進します。



  • 浸透圧による利尿: ナトリウムの再吸収が抑制されると、浸透圧の影響で水分も原尿中にとどまり、尿として排泄される量が増加します。これが利尿作用の基盤となります。


参考)高血圧の治療薬⑤ チアジド系、カリウム保持性利尿薬、抗アルド…


  • 降圧作用の二段階メカニズム:

- 初期段階:循環血流量の低下により血圧が低下します
- 長期的効果:末梢血管の拡張により持続的な降圧効果を発揮します



  • レニン・アンジオテンシン系への影響: ナトリウム利尿作用によりレニン・アンジオテンシン系が活性化され、これが血管拡張と持続的なナトリウム利尿をもたらし、血圧降下につながります。


参考)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/580591_2149112F1057_1_10


  • カルシウム再吸収促進: 遠位尿細管においてTRPV5カルシウムチャネルを介したカルシウムの再吸収を促進する作用も報告されています。


参考)https://cumming.ucalgary.ca/sites/default/files/teams/127/Part%203%20Hypertension%20Series%20Thiazide%20and%20Thiazide-like%20Diuretics.pdf


  • 炭酸脱水酵素阻害作用: 弱いながら炭酸脱水酵素阻害作用も有しており、これが利尿作用の増強に寄与していると考えられています。



作用持続時間は約12時間と報告されています。


参考)利尿薬一覧・作用機序(サイアザイド・ループ・カリウム保持・バ…


ヒドロクロロチアジド 先発 名 副作用 電解質 代謝

ヒドロクロロチアジドの副作用の中で、特に注意が必要なのが電解質異常と代謝系への影響です。


電解質異常


低ナトリウム血症(頻度不明):倦怠感、食欲不振、嘔気、嘔吐、痙攣、意識障害等を伴う低ナトリウム血症があらわれることがあります。特に高齢者や腎機能低下患者ではリスクが高まるため、より頻繁な検査が推奨されます。


参考)ヒドロクロロチアジド錠12.5mg「トーワ」の基本情報(薬効…


低カリウム血症:本剤の成分であるヒドロクロロチアジドは低カリウム血症を起こすことが知られています。国内臨床治験において、血清カリウム値は低下傾向を示し、低カリウム血症の発現頻度は高カリウム血症よりも高かったと報告されています。血清カリウム値のモニタリングを定期的に実施し、観察を十分に行う必要があります。


参考)https://www.pmda.go.jp/drugs/2006/P200600046/63015300_21800AMZ10391_B108_2.pdf


代謝系副作用


高尿酸血症・痛風:ヒドロクロロチアジドは尿酸値を上昇させる作用があります。本人または両親・兄弟に痛風、糖尿病がある患者では、高尿酸血症、高血糖症を来し、痛風、糖尿病の悪化や顕性化のおそれがあるため注意が必要です。


参考)利尿降圧薬「ヒドロクロロチアジド」チアジド系利尿薬 - 巣鴨…


痛風リスクについては、25mg未満の通常用量では痛風発作のリスク増加は認められないとする報告がありますが、25mg以上の用量ではリスクが増加する可能性があります。


参考)https://www.aafp.org/afp/2015/1001/p622


血糖値上昇・糖尿病:ヒドロクロロチアジドは血糖値上昇若しくは糖尿病顕性化のおそれがあるため、観察を十分に行う必要があります。



低血糖(頻度不明):脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙攣、意識障害等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う必要があります。糖尿病治療中の患者であらわれやすいとされています。



ヒドロクロロチアジド 先発 名 副作用 皮膚 光線過敏

ヒドロクロロチアジドの皮膚科領域における副作用として、特に重要なのが光線過敏症です。


光線過敏症


過敏症の一項として、頻度不明で呼吸困難、発疹、じん麻疹、顔面潮紅、光線過敏症が報告されています。


参考)ヒドロクロロチアジド錠25mg「トーワ」の基本情報(薬効分類…


光線過敏症は、日光や紫外線に対して皮膚が普通より強く反応してしまう状態で、テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド(ミコンビ®)の臨床試験でも0.5~5%未満の頻度で発現が認められています。


参考)https://ubie.app/byoki_qa/medicine-clinical-questions/t7wkkap_jcz7


薬物誘発性光線過敏症は、経口または外用の光感受性薬剤の使用後に紫外線(UV)曝露により皮疹が生じる病態です。チアジド系利尿薬は、アミオダロン、非ステロイド性抗炎症薬、テトラサイクリン系抗菌薬、クロルプロマジン、フルオロキノロン系などと並んで、光線過敏症を引き起こす薬剤としてよく知られています。


参考)pubmed.ncbi.nlm.nih.gov


実際の症例報告では、乾癬の治療中に308nmナローバンドUVBエキシマレーザー照射後にヒドロクロロチアジド誘発性光線過敏症を発症した例が報告されています。



皮膚がんリスク


あまり知られていない重要な情報として、ヒドロクロロチアジドの長期使用により非メラノーマ皮膚がん(NMSC)のリスクが増加する可能性が疫学研究で報告されています。具体的には、基底細胞がん(BCC)と有棘細胞がん(SCC)のリスク上昇が指摘されています。


参考)https://pdf.hres.ca/dpd_pm/00074953.PDF


この機序として、ヒドロクロロチアジドがUV光に対する感受性を高め、DNA損傷を促進する可能性が考えられています。長期にわたり高用量を使用している患者では、定期的な皮膚科診察による皮膚観察が推奨されます。


その他の皮膚症状


  • 発疹、じん麻疹
  • 血管炎(壊死性血管炎)
  • 全身性エリテマトーデスの悪化(頻度不明)



皮膚症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う必要があります。


ヒドロクロロチアジド 先発 名 薬物動態 相互作用 注意点

薬物動態


ヒドロクロロチアジドの薬物動態に関する詳細なデータは、添付文書やインタビューフォームに記載されています。


  • 吸収: 経口投与後、比較的速やかに吸収されます。


  • 分布: 血漿タンパク結合率は中程度です。


  • 代謝: 肝臓での代謝はほとんど受けず、主に未変化体として排泄されます。


  • 排泄: 主に腎臓から尿中に排泄されます。



相互作用


ヒドロクロロチアジドは、以下の薬剤との相互作用に注意が必要です。


  • リチウム: チアジド系利尿薬はリチウムの腎排泄を減少させ、血中濃度を上昇させる可能性があります。併用時にはリチウム濃度のモニタリングが必要です。


  • NSAIDs: 非ステロイド性抗炎症薬は、ヒドロクロロチアジドの降圧効果や利尿効果を減弱させる可能性があります。


  • 降圧薬: 他の降圧薬との併用により、相加的な降圧効果が期待できますが、過度の血圧低下に注意が必要です。


  • 糖尿病治療薬: 血糖値に影響を与える可能性があるため、インスリンや経口血糖降下薬の用量調整が必要になる場合があります。



  • 尿酸値に影響する薬剤: 高尿酸血症を引き起こす可能性があるため、尿酸降下薬との併用時には注意が必要です。


参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066658.pdf


臨床使用上の注意点


  • 体液中のナトリウム・カリウムが明らかに減少している患者では、低ナトリウム血症や低カリウム血症等の電解質失調を悪化させるおそれがあるため、投与を避けるか慎重に投与する必要があります。


参考)https://sokuyaku.jp/column/hydrochlorothiazide-hydrochlorothiazide.html


  • 本人又は両親、兄弟に痛風、糖尿病のある患者では、高尿酸血症、高血糖症を来し、痛風、糖尿病の悪化や顕性化のおそれがあるため注意が必要です。



  • 間質性肺炎、肺水腫、急性呼吸窮迫症候群(いずれも頻度不明)があらわれることがあるため、呼吸器症状の観察を十分に行う必要があります。



  • 再生不良性貧血、アナフィラキシーなどの重大な副作用も報告されているため、定期的な血液検査や臨床観察が推奨されます。



PMDA 医療用医薬品情報 ヒドロクロロチアジドOD錠12.5mg「トーワ」添付文書
PMDAの公式添付文書。副作用、禁忌、相互作用の詳細情報が記載されています。


日経メディカル処方薬事典 ヒドロクロロチアジド錠12.5mg「トーワ」
薬効分類、副作用、薬価などの基本情報を検索できます。


Wikipedia ヒドロクロロチアジド
作用機序、歴史、配合剤などの概要情報が記載されています。




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