
フルオキセチン(商品名:Reconcile、Prozacなど)は、犬の分離不安や攻撃性などの行動問題に対して獣医師が処方する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)です。 投与開始後、特に最初の1週間に副作用が現れやすいことが報告されています。
参考)https://www.drugs.com/fluoxetine.html
その他の一般的な副作用として、以下のような症状が挙げられます。
これらの副作用の多くは、投与開始後2週間程度で体が薬に慣れることで軽減します。 しかし、症状が持続する、悪化する、または重篤な場合は、直ちに獣医師に相談する必要があります。
参考)https://www.justanswer.com/dog-health/topics/dog-on-puppy-prozac-managing-anxiety-and-side-effects
フルオキセチンの使用で最も注意すべき重篤な副作用は、セロトニン症候群です。 これは、脳内のセロトニン濃度が過剰になった状態で、他のセロトニン作動性薬剤(MAO阻害薬、トラマドール、トラゾドン、他のSSRIなど)との併用でリスクが高まります。
参考)Paroxetine for Dogs and Cats: …
セロトニン症候群の症状は、重症度によって以下のように分類されます。
参考)Intoxication of dogs and cats …
| 軽度 | 中等度 | 生命にかかわる |
|---|---|---|
| 瞳孔散大、悪寒、発汗、軽度の頻脈 | 精神状態の変化(興奮、見当識障害)、自律神経過活動(筋強剛、頻脈、高体温)、神経筋異常 | 錯乱、高血圧、頻脈、高体温、筋強剛 |
犬におけるセロトニン症候群の具体的な症状としては、興奮、筋震え、 panting(過呼吸)、異常な心拍数、嘔吐、下痢、虚脱などが報告されています。 発作もSSRIの重篤な副作用として報告されています。
セロトニン症候群は医療緊急事態であり、直ちに獣医療機関での治療が必要です。 予防のため、フルオキセチンを処方する際には、他の薬剤やサプリメントの使用を獣医師に必ず報告してください。
参考)Trazodone for Dogs: A Cypress …
フルオキセチンは行動の定着と環境改善の効果を確認するため、臨床反応が得られた場合でも最低3〜6ヶ月間の投与継続が推奨されます。 効果が発現するまでには4〜6週間を要することが一般的です。
参考)Fluoxetine vs. trazodone for d…
重要な注意点として、フルオキセチンの急激な投与中止は、反跳性不安(Rebound anxiety)や離脱症状を誘発する可能性があります。 長期投与後の中止時は、2〜4週間以上かけて段階的に減量(例:25〜50%ずつ減量)する必要があります。
参考)【治療】エキゾチックアニマルにおけるフルオキセチンの投与 &…
これは、長期にわたるSSRI投与により、脳内のセロトニン受容体がダウンレギュレーション(感受性低下)を起こしているため、急な中止でセロトニン作動性が低下し、不安や抑うつ、身体症状が再燃または悪化するリスクがあるからです。 犬においても、ステロイドの急な中止で副腎皮質機能不全が生じるのと同様の機序で、SSRIの急な中止も注意が必要です。
参考)犬の長期ステロイド療法を突然中止した場合に副腎皮質機能不全が…
離脱症状として観察される可能性がある症状。
獣医師の指示なしに投与を中止したり、用量を変更したりしないでください。
フルオキセチンの犬における標準的な用量は、1〜2 mg/kgを1日1回経口投与です。 FDA承認製品(Reconcile)のラベルもこの用量範囲を示しています。
用量設定の重要なポイント。
参考)Dog Medication Dosage Calculat…
参考)Sertraline for Dogs and Cats: …
投与期間については、以下の点に注意が必要です。
過剰投与(overdose)のリスク。
参考)What Every Pet Parent Needs To…
フルオキセチンは、他の薬剤と相互作用する可能性が高く、一部の併用は禁忌(絶対にしてはいけない)です。
絶対禁忌の併用:
参考)Selegiline (Anipryl) for Canin…
MAOIとの併用時のウォッシュアウト期間:
注意が必要な併用:
草食小動物(ウサギ、モルモット、チンチラなど)では、食欲不振が二次的に腸うっ滞を誘発し致死的な経過をたどる危険性があるため、投薬初期は毎日の体重および摂餌量の厳重なモニタリングが必要です。 犬においても、食欲不振が持続する場合は栄養状態の悪化を防ぐため、獣医師に相談してください。
Merck Veterinary Manual(日本語版あり):獣医薬物の用量、副作用、相互作用の詳細情報
FDA 動物用医薬品情報:承認された犬用フルオキセチン(Reconcile)の添付文書
【第2類医薬品】命の母A 840錠