うがいをしても、嗄声の発生率は8.7%から下がらない。
参考)喘息治療薬「エナジア」の特徴 - 東京田園調布駅前呼吸器内科…
エナジア吸入用カプセルは、ノバルティスファーマが製造販売する喘息治療の長期管理薬です。 3つの有効成分が1カプセルに配合されており、1日1回の吸入で完結するのが最大の利点です。
参考)エナジア吸入用カプセルの効果と副作用は?高用量・中用量の違い…
配合成分は以下の3つです。
参考)エナジア【喘息治療薬】
副作用が多彩なのは、この3成分それぞれが異なる機序で作用するためです。 患者指導の際には「どの成分由来の副作用か」を整理したうえで説明できると、より信頼度の高い指導が可能になります。
剤形は中用量と高用量の2種類があり、薬価はそれぞれ中用量290.3円/カプセル、高用量331.5円/カプセルです(2024年8月調べ)。 ジェネリック医薬品は現時点では存在しません。
吸入デバイスは「ブリーズヘラー」で、比較的弱い吸気流量でも薬剤が吸入できる設計になっています。 つまり重度の喘息患者にも適応しやすいという利点があります。
【PMDA公式】エナジア吸入用カプセル患者向医薬品ガイド(2022年11月更新)|各成分の説明や副作用の概要が記載されています
副作用を頻度別に整理することが、患者への適切な説明と優先順位づけにつながります。 頻度別で見ると、以下のように分類されます。
頻度が確認されている副作用(添付文書記載)
| 成分由来 | 副作用 | 発現頻度 |
|---|---|---|
| ICS(モメタゾン) | 発声障害(嗄声) | 8.7% kokyukinaika-tokyo(https://kokyukinaika-tokyo.com/916/) |
| ICS(モメタゾン) | 口腔カンジダ症 | 頻度不明 hokuto(https://hokuto.app/medicine/iDb50iyhJVF7h2DvM8g4) |
| LABA(インダカテロール) | 動悸・頻脈 | 頻度不明 kasai-yokoyama(https://www.kasai-yokoyama.com/media/news/476/) |
| LABA(インダカテロール) | 筋痙攣(手の震えなど) | 頻度不明 kokyukinaika-tokyo(https://kokyukinaika-tokyo.com/916/) |
| LAMA(グリコピロニウム) | 口内乾燥(口渇) | 頻度不明 hokuto(https://hokuto.app/medicine/iDb50iyhJVF7h2DvM8g4) |
| LAMA(グリコピロニウム) | 排尿困難 | 頻度不明 hokuto(https://hokuto.app/medicine/iDb50iyhJVF7h2DvM8g4) |
| 共通 | 咽頭痛 | 6%(比較試験) pmda.go(https://www.pmda.go.jp/drugs/2020/P20200624004/300242000_30200AMX00492_B100_1.pdf) |
重篤な副作用(まれだが見落とし厳禁)
参考)https://hokuto.app/medicine/iDb50iyhJVF7h2DvM8g4
これが基本です。日常診療で患者からよく訴えが出るのは「声がかすれる」「口が渇く」「ドキドキする」の3つです。 まずこの3つを患者に伝えておくと、副作用発現時の報告がスムーズになります。
【今日の臨床サポート】エナジア吸入用カプセルの副作用詳細一覧|各臓器系統別の副作用データが網羅されています
発声障害(嗄声)はエナジアにおいて8.7%の発生率が報告されており、無視できない頻度です。 これは吸入ステロイド薬(モメタゾン)が局所的に声帯周囲に沈着し、筋力低下や真菌感染を引き起こすことで生じます。
意外ですね。
嗄声は「薬が効いている証拠」と誤解する患者が一定数います。対処法は明確です。吸入後は「ガラガラうがい」と「ブクブクうがい」の2段階で必ず実施するよう指導します。
口腔カンジダ症は、口腔内に白色の苔状病変が出現するのが特徴です。免疫能が正常な患者でも発症するため注意が必要です。 発見した場合は、抗真菌薬(フルコナゾールやミコナゾールゲルなど)での局所治療が標準です。
📌 患者指導のチェックリスト(ICS副作用予防)
吸入ステロイド薬を含む吸入薬全般に言えることですが、「うがいをしていれば大丈夫」と思い込んでいる患者は少なくありません。しかしうがいはあくまで予防補助であり、発生率をゼロにできるわけではありません。 うがいしても8.7%は発症するという事実を共有しておくことが、患者との適切な信頼関係構築につながります。
【日本口腔外科学会】口腔カンジダ症の解説|症状の鑑別と治療方針の確認に有用です
痛いですね。喘息患者は複数の薬剤を並行して使用していることが多く、この組み合わせは実臨床で十分あり得ます。 血清カリウム値の低下は不整脈の引き金となるため、該当患者では定期的な電解質モニタリングが推奨されます。
カリウム値が3.5mEq/L未満を下回った場合には、処方医への情報提供が必要です。 特にジギタリス製剤を使用している患者では、低カリウム血症がジギタリス中毒のリスクを高めるため、より慎重な対応が求められます。
エナジアの副作用の中で、医療従事者が特に把握しておくべき「薬物相互作用」が存在します。これは独自の視点でもあります。
デスモプレシン(夜尿症・中枢性尿崩症の治療薬)との併用により、低ナトリウム血症が引き起こされるリスクがあります。 低ナトリウム血症は重症化すると痙攣・意識消失・最悪の場合は死亡につながります。
これは問題ありません、ではなく厳重な禁忌です。
喘息患者が必ずしも成人とは限りません。小児患者や夜尿症を合併した患者がエナジアを使用する場合、デスモプレシンとの併用があり得ます。 薬剤師・看護師・医師のいずれも、処方監査の際にはこの組み合わせを必ずチェックする必要があります。
📌 確認が必要な相互作用ポイント
| 併用薬 | リスク | 対応 |
|---|---|---|
| デスモプレシン | 低ナトリウム血症 | 原則禁忌・処方変更を検討 |
| テオフィリン・利尿薬 | 低カリウム血症増悪 | 電解質定期モニタリング |
| β遮断薬 | 気管支収縮の増悪 | 心選択性の高いものでも注意 |
薬歴確認の際にデスモプレシンが入っていた場合は、処方医への照会が必須です。 見落とすと患者が重篤な神経症状を来す可能性があるため、見落とし厳禁の相互作用として覚えておくべきです。
【PMDA公式】エナジア吸入用カプセルのリスク管理計画(RMP)|重要な潜在的リスクと相互作用情報が掲載されています
副作用情報を持っているだけでは不十分です。実際の患者指導に落とし込む形にまとめておくことが重要です。 以下に、医療従事者が実践で使えるフローを示します。
🔵 通常の副作用(軽微~中等度)への対応フロー
1. 嗄声が出た場合:うがいの実施状況を再確認→2週間改善しなければ耳鼻科紹介を検討
2. 口腔カンジダが疑われる場合:口腔内視診→白斑確認→抗真菌薬の処方へ
3. 口渇・排尿困難が出た場合:水分補給の励行・前立腺肥大症など基礎疾患の有無を確認
4. 動悸・頻脈が出た場合:心疾患の既往を確認し、軽度であれば経過観察。持続する場合は心電図実施
🔴 重篤な副作用が疑われる場合の対応フロー
結論は「初期から副作用モニタリング体制を作ること」です。 定期受診の際に副作用の有無を定型的に問診に組み込んでおくことで、重症化を防げます。
また、エナジアは喘息の発作時に使う薬ではなく「長期管理薬」である点を患者が誤解していることがあります。 「症状がないから吸わなくていい」と自己判断で中断すると、ステロイドの急激な中断にもつながり得ます。つまり継続性の担保も副作用対策と同様に重要です。
📌 患者への説明文例(指導時の参考として)
> 「このお薬は3種類の成分が入っています。声がかすれたり、口が渇いたりすることがありますが、吸った後に必ずうがいをすることで予防できます。症状が出てきた場合はすぐに教えてください。発作が起きた時に使うお薬ではなく、毎日続けることで効果が出るお薬です。」
短くてもこの情報量を伝えることが、患者の自己管理力を高めるポイントです。
【ノバルティスファーマ公式】はじめてのエナジア(医療従事者向け患者指導資材)|吸入手順・注意点の指導に活用できます

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