あなたの処方確認漏れで黄斑浮腫を起こします

エイベリス(オミデネパグ イソプロピル)による視力低下は、多くの場合「嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫」が原因です。これは網膜の中心部である黄斑にむくみが生じる状態で、視野の中心がゆがんだり見えづらくなったりします。
参考)エイベリス点眼液0.002%の基本情報(作用・副作用・飲み合…
黄斑のむくみは、直径わずか5〜6mmほどの範囲に起こります。500円玉ほどの小さな範囲ですが、そこに視力の大部分が集約されているため影響は大きいです。
初期症状は「見えづらい」「かすむ」といった漠然としたものにとどまることが多いです。
つまり自覚症状だけでは早期発見が難しいということですね。
だからこそ定期的な眼底検査やOCT検査で黄斑の状態を確認することが重要になります。患者への説明時には、視力低下やゆがみを感じたらすぐに受診するよう伝える一言を添えると発見が早まります。
意外に知られていないのが、白内障手術歴のある患者への投与が明確な禁忌である点です。無水晶体眼や眼内レンズ挿入眼の患者にエイベリスを投与すると、黄斑浮腫の発現率が明らかに高くなることが国内臨床試験で示されています。
参考)https://www.hsp.ehime-u.ac.jp/medicine/wp-content/uploads/DInews201909-1.pdf
白内障手術は日本で非常にありふれた手術で、高齢の緑内障患者ほど手術歴を持つ割合は高くなります。
つまり緑内障患者ほど禁忌に当たりやすいということですね。
「緑内障治療薬だから白内障手術後でも継続できる」と思い込んで処方すると、重篤な視力低下を招くリスクがあります。旭川薬剤師会の資料では、投与前に「白内障手術歴」「手術予定」「自覚症状の有無」の3点チェックを行うよう明確に示されています。
参考)https://www.asayaku.or.jp/apa/work/data/pb_1954.pdf
エイベリス点眼液の投与禁忌患者について(旭川薬剤師会・確認すべき3項目を解説)
視力低下ほど重篤ではありませんが、結膜充血や調節機能異常も比較的よく見られる副作用です。ある報告では、約5%の患者に調節機能の異常が生じるとされています。
5%というと、20人に1人の割合です。
教室の1クラス(約20〜30人)を思い浮かべると、必ず数人は該当しそうな数字ですね。
これは使えそうな目安です。
一方で、従来の緑内障治療薬(プロスタグランジン関連薬)で問題になりやすい眼周囲の色素沈着やまつ毛の変化は、エイベリスでは起こりにくいという特徴があります。この違いを患者に伝えると、見た目の変化を気にする患者の不安を減らせます。
視力低下や黄斑浮腫のリスクを避けるには、投与前・投与中の問診が最も効果的な対策です。参天製薬が公開している患者向け医薬品ガイドには、初期症状の自己チェック項目がまとめられています。
参考)https://www.santen.co.jp/medical-channel/di/guide/DH012_eybelis.pdf?open-cms=true
問診では「白内障手術の既往」「見え方のゆがみ」「霧視の有無」を必ず確認するのが基本です。
これだけ覚えておけばOKです。
投与開始後1〜3ヵ月は特に黄斑浮腫が出やすい時期とされているため、この期間の診察間隔を短めに設定する運用も有効です。院内で使用しているカルテテンプレートや問診票に、この3項目をチェックボックスとして追加しておくと確認漏れを防げます。
エイベリス適正使用ガイド(PMDA・医療従事者向けの詳細なリスク管理計画資料)
患者が「見えづらい」と訴えた場合、まず眼底検査とOCT検査で黄斑浮腫の有無を確認します。黄斑浮腫が確認された場合は、原則としてエイベリスの中止が第一選択になります。
中止後は炭酸脱水酵素阻害薬や非ステロイド性抗炎症薬の点眼への切り替えが検討されることが一般的です。
参考)静岡県島田市の眼科【おおるり眼科クリニック】 エイベリスの効…
△△(切り替え後の眼圧管理)は問題ないんでしょうか、という疑問も出てきますが、切り替え後も定期的な眼圧測定を継続すれば大きな問題にはなりません。
眼圧測定と黄斑の状態確認をセットで行うのが原則です。
日経メディカル処方薬事典の添付文書情報には、他の緑内障治療薬との切り替え時の注意点も整理されているので、処方変更時の参照先として活用できます。
参考)エイベリス点眼液0.002%の基本情報(薬効分類・副作用・添…