
現代の医療現場では、高齢化の進行や医療の高度化・複雑化が進み、単一の専門職だけで患者のケアを完結させることが困難になっています 。このような背景から、厚生労働省が中心となってチーム医療の推進に力を入れるようになり、各専門職が連携・協働して患者の状況に適確に対応した医療サービスを提供する体制が求められています 。
参考)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001e9p1-att/2r9852000001ead3.pdf
看護師は、チーム医療の中で「キーパーソン」としての役割を担っています 。これは、診察・治療に関連する業務から患者の療養生活の支援に至るまで、幅広い業務を行うジェネラリストとしての特性を活かし、患者と多職種間を仲介する役割を担っているからです 。論文研究においても、看護師のコーディネーター機能やコミュニケーションスキルがチーム医療の成否に直結することが示されています 。
参考)Redirecting to https://www.hos…
実際の医療現場では、がん医療や慢性疾患の管理など、さまざまな領域でチーム医療が実践されています 。特にがん医療においては、チーム医療が当たり前に提供されるものとなり、医療・生活の質(QOL)の向上、医療従事者の負担軽減、医療安全の向上などの効果が期待されています 。
厚生労働省「チーム医療における看護師等の役割」−チーム医療推進の基本的な考え方や看護師の役割拡大について詳しく記載
具体的には、看護師は以下の 3 つの機能を果たしています 。
参考)看護師はチーム医療のキーパーソン!チーム医療における看護師の…
意外な事実として、看護師は「つなぐ」役割だけでなく、専門職としての自律性も大切にしていることが研究で明らかになっています 。看護職のチーム医療における協働と自律性に関する論文では、協働と自律性のバランスをどう取るかが、看護師の専門職としてのアイデンティティに関わる重要な課題であると指摘されています 。
参考)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282679618006528
CiNii「看護職のチーム医療における協働と自律性」−看護師の協働と自律性のバランスに関する研究論文
医師不足を背景に、看護師の役割拡大が進む「タスクシフト」が、現在のチーム医療の大きな潮流となっています 。看護師による特定行為の実施や、助産師による会陰裂傷縫合など、新たな役割分担が進められています 。
参考)チーム医療の推進における看護師等の役割拡大・専門性向上に関す…
厚生労働科学研究の成果データベースによると、チーム医療の推進における看護師等の役割拡大・専門性向上に関する研究では、以下の 3 つの目的が設定されています 。
この研究の成果として、急性期、慢性・外来期、在宅期等の専門領域において先駆的実践事例を抽出し、開発した効果測定スケール案を用いてその効果を表すとともに、スケールの有用性を検証・洗練することができました 。
参考)チーム医療の推進における看護師等の役割拡大・専門性向上に関す…
しかし、タスクシフトの推進には課題もあります。看護師と看護補助者の連携においては、補助者の導入時の教育、業務内容の整理、看護師との連携促進など、体制を整えることが重要であると指摘されています 。また、助産師による安全な会陰裂傷縫合には、裂傷の程度や麻酔薬の用量等の要件が整っている状況での実施に加えて、縫合に必要な知識技術の研修、医師との緊密な連携が必要であることが示されています 。
厚生労働科学研究「チーム医療の推進における看護師等の役割拡大・専門性向上に関する研究」−タスクシフトの具体的な研究成果と課題
チーム医療における看護師の専門性向上は、単なるキャリアアップではなく、患者の QOL 向上に直結する重要な要素です 。看護師はチーム医療のなかで、単なる診療の補助でなく、患者の QOL を向上させるための専門職としてその役割を果たし、高度な看護教育を通してその専門性を発展させています 。
甲南女子大学の研究紀要に掲載された論文「チーム医療を推進する看護師に必要とされる能力の検討」では、多職種と連携する看護師への調査から、チーム医療を推進する看護師に必要とされる能力が明らかにされています 。
参考)https://cir.nii.ac.jp/crid/1050001338383139584
必要な能力として挙げられるのは、以下の 5 つです 。
特に、看護師は認定看護師や専門看護師(スペシャリストまたはエキスパート)として、それぞれの領域でより水準の高い看護ケアを提供することが期待されています 。これらのチームでは、各専門職と共にそれぞれの領域でより水準の高い看護ケアが提供できる認定看護師や専任看護師が勢力的に活躍しています 。
CiNii「チーム医療を推進する看護師に必要とされる能力の検討」−多職種連携する看護師に必要な能力の詳細
チーム医療が看護師の燃え尽き症候群(バーンアウト)予防に効果的であることは、あまり知られていない意外な視点です 。医療現場で働く看護師はチームワークを求められる機会が多いですが、「うまくチームワークを発揮できない」と悩む看護師は少なくありません 。
参考)http://elib.bliss.chubu.ac.jp/webopac/bdyview.do?bodyid=XC19000031&elmid=Body&fname=L01_015_048.pdf
多職種チーム医療における看護職のリーダーシップに関する研究では、看護師がチーム医療の中でリーダーシップを発揮することで、仕事の満足度が向上し、燃え尽き症候群のリスクが低減することが示されています 。
具体的には、以下の 3 つの効果が期待できます。
この視点から、チーム医療の推進は、単なる医療効率化だけでなく、医療従事者の労働環境改善にもつながる重要な施策であると言えます 。一方では、医療業務の増大により医療従事者の苛酷な労働環境も切実な問題であり、こうした背景から各医療スタッフ間の協力がこれまでにも増して重要となっています 。
多職種チーム医療における看護職のリーダーシップとその有効性に関する研究−看護師のリーダーシップと労働環境の関係
チーム医療における看護師の役割は、多職種連携のキーパーソンとして、患者と各専門職をつなぐコーディネーター機能、タスクシフトによる役割拡大、専門性向上による QOL 向上など、多岐にわたります。論文研究に基づき、看護師の専門性向上がチーム医療の成果に直結することが明らかになっています。
厚生労働省「チーム医療推進のための基本的な考え方と 実践的事例集」−チーム医療推進の具体的な事例集
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