
「バイオシミラー 一覧 厚生労働省」で情報を探す際は、一覧の目的に応じて参照先を分けることが重要です。厚生労働省は使用促進策、診療報酬、安定供給、国民・医療従事者向けの啓発資料を公表しています。一方、個別の承認品目、審査報告書、電子添付文書、リスク管理計画(RMP)の確認にはPMDAの情報が実務的です。
PMDAの「バイオ後続品」ページには、承認されたバイオ後続品の一覧への導線があり、各製品の電子添付文書および審査報告書は「医療用医薬品情報検索」から確認できます。院内採用や処方切替えの検討では、検索結果の古い解説記事だけで判断せず、まずPMDAで承認状況と現行の電子添付文書を確認する流れが安全です。
また、国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)の「日本で承認されたバイオ後続品」は、先行バイオ医薬品の商品名、バイオ後続品の一般名、販売名、承認年を横断して把握できるため、教育資料や採用候補の棚卸しに便利です。ただし販売中止・承継・新規承認が起こり得るため、実際に発注・採用する直前には、販売可否と流通状況を製造販売業者や卸にも確認します。
PMDAでは承認審査に関する指針、Q&A、比較有効性試験に関する検討事項も公開されています。単に「BSという名称があるか」を確認するだけでなく、どのような比較データに基づいて承認されたのかを理解したい場合にも有用です。
承認品目、電子添付文書、審査報告書を確認するPMDAの参考リンクです。
PMDA:バイオ後続品
バイオシミラーは、日本では「バイオ後続品」と呼ばれます。PMDAおよびNIHSは、国内で承認された先行バイオ医薬品と同等/同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、異なる製造販売業者が開発するものと説明しています。したがって、バイオシミラーを単純に「注射薬のジェネリック」と表現すると、製造・評価の特徴を見落としやすくなります。
低分子の化学合成医薬品は、通常、構造を厳密に同定でき、有効成分の同一性を示すことが可能です。これに対し、抗体、糖タンパク質、ホルモンなどのバイオ医薬品は、生きた細胞や微生物を利用した培養・精製工程を経て製造されます。細胞株、遺伝子発現構成体、培養条件、精製工程、製剤化工程は先行品と同一ではありません。
そのためバイオシミラーでは、構造・組成、物理化学的性質、生物学的性質、免疫学的性質、不純物プロファイルなどを先行品と比較し、段階的に同等性/同質性を検証します。糖タンパク質では糖鎖プロファイルも重要な品質特性です。意外に見落とされがちですが、「生物学的に似ている」という印象論ではなく、高度な分析評価を土台として臨床試験等を組み合わせる総合的な比較可能性評価が承認の基盤です。
| 項目 | バイオシミラー(バイオ後続品) | ジェネリック医薬品 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 抗体、ホルモン、酵素などのバイオ医薬品 | 化学合成の低分子医薬品が中心 |
| 有効成分の扱い | 先行品との同等/同質性を比較評価する | 先発品と同一の有効成分を同一量含有する |
| 製造の特徴 | 細胞培養・精製などの製造工程が品質に強く関与する | 化学構造および製剤品質を規格化しやすい |
| 確認の要点 | 適応、用法用量、RMP、免疫原性、供給、デバイス | 添付文書、規格、供給、剤形など |
バイオ後続品の定義、品質評価、名称の考え方、国内承認品目をまとめて確認できる参考リンクです。
国立医薬品食品衛生研究所:バイオ後続品
国内のバイオシミラーは、内分泌・代謝、腎性貧血、がん支持療法、炎症性疾患、悪性腫瘍、眼科、骨代謝などに広がっています。代表例として、ソマトロピン、インスリン グラルギン、インスリン リスプロ、インスリン アスパルト、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム、エポエチン、ダルベポエチン、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、リツキシマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、ラニビズマブ、アフリベルセプト、ウステキヌマブ、デノスマブ、ゴリムマブ、トシリズマブなどが挙げられます。
一覧を見る際には、「成分がある」ことと、「目の前の患者の適応で使える」ことを分けて考えます。承認時の効能・効果、用法・用量と、最新の電子添付文書における記載は必ずしも同一ではありません。特に抗体医薬品では、先行品が複数疾患に適応を有していても、採用するバイオシミラーの添付文書で対象疾患、投与量、併用条件を確認する必要があります。
一覧に掲載された販売名のうちには販売中止品、販売移管品が含まれる場合があります。「承認歴」と「現在調達可能な製品」を同じものとして扱わないことが、薬剤部・購買・診療科の連携で重要な実務ポイントになります。
厚生労働省は2024年9月30日に「バイオ後続品の使用促進のための取組方針」を示しました。同方針では、バイオ後続品は先行バイオ医薬品と成分の同一性を実証できない一方、品質の類似性と臨床試験等により、同一の効能・効果および用法・用量で使用できる同等/同質性を検証した医薬品と位置付けられています。
政府目標として、2029年度末までに、数量ベースでバイオシミラーへ80%以上置き換わった成分数が、対象成分全体の60%以上となることが示されています。これは全製品を一律に置き換える目標ではなく、成分ごとの使用状況を評価する目標です。臨床現場では、患者背景、製品の供給状況、投与経路、デバイス、既存治療の継続性を踏まえて個別に判断する必要があります。
診療報酬上は、2024年度改定でバイオ後続品導入初期加算の対象が拡大され、入院患者を対象としたバイオ後続品使用体制加算も新設されました。制度の趣旨は価格差だけではなく、患者への十分な説明、安全な導入、医療機関における使用体制の整備にあります。薬剤師、医師、看護師、事務部門がそれぞれ別に取り組むのではなく、薬剤選択・説明資材・供給不安時の代替計画を一つの運用として設計することが望まれます。
厚生労働省の資料によれば、バイオ後続品の認知度は患者調査で16.6%にとどまりました。高額療養費制度の適用により患者自己負担が先行品使用時と変わらないケースもあり、患者側に価格面のメリットが見えにくいことがあります。このため説明では、「安いから変更する」だけでなく、承認時の評価、医療保険制度の持続可能性、導入後のフォロー体制を具体的に伝えることが重要です。
使用促進の目標、安定供給、診療報酬上の対応、国内製造基盤の課題を確認できる厚生労働省の参考リンクです。
厚生労働省:バイオ後続品の使用促進のための取組方針
バイオシミラーの採用・切替えでは、一覧表に製品名が載っていることだけでは判断材料として不十分です。実務上は、①患者に適用できる効能・効果、②用法・用量、③投与経路、④製剤規格、⑤デバイス、⑥電子添付文書、⑦RMP、⑧供給状況、⑨院内オーダー・監査システムへの反映、という順で確認すると漏れを減らせます。
特に自己注射製剤では、薬理学的な同等性だけでなく、患者が正しく操作できるかが治療成績に直結します。ペン型注入器の操作、針の装着、空打ちの有無、保管条件、投与忘れ時の対応、廃棄方法などは製品間で異なり得ます。処方変更時に「成分は同じだから説明不要」と扱うと、投与エラーやアドヒアランス低下につながるおそれがあります。
また、厚生労働省の取組方針は、国内で販売されるバイオ後続品には海外製造の原薬・製剤を輸入する品目が多いことを課題として挙げています。安定供給の観点では、採用候補を1社に絞る前に、供給不安時の連絡経路、代替製品への切替え条件、院内在庫、患者への再説明手順まで決めておくことが有用です。これは検索上位の記事では触れられにくいものの、実際の切替えを安全に継続するための重要な視点です。
院内の切替えは、患者ごとに以下を確認して記録すると実装しやすくなります。
バイオシミラーは、先行バイオ医薬品と同等/同質性を確認して承認された治療選択肢です。ただし、適正使用の成否は承認一覧の確認だけで決まらず、最新の電子添付文書、RMP、個別患者の適応、投与手技、供給体制まで含めたチーム運用で決まります。
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