同一有効成分の代替薬は、実はこの世に存在しません。

オルガノン株式会社は2025年1月28日付で、アズマネックス®ツイストヘラー®100μgおよび200μgの販売中止を医療関係者向けに公式案内しました。案内文書では「諸般の事情により」とだけ記載されており、具体的な経営判断の詳細は開示されていません。これは喘息治療で広く使われてきた吸入ステロイド製剤だけに、現場への影響は小さくありません。
参考)医薬品の不足、出荷停止に困惑 - やまぐちクリニック(内科・…
製造中止の一報を受けた呼吸器内科クリニックでは、長年処方してきた患者への対応に不安を抱えているとの声も上がっています。吸入薬は使い勝手や吸入時のしやすさに患者ごとの相性があるため、単純な銘柄変更では済まないケースもあります。コントロール不良の再燃リスクも考慮が必要です。
つまり情報開示は最小限ということですね。だからこそ早めの代替薬移行計画が重要になります。喘息管理アプリやお薬手帳連携システムを使い、患者ごとの吸入手技の変更履歴を記録しておくと、移行後のトラブル対応がスムーズになります。
公式案内によれば、同一有効成分(モメタゾンフランカルボン酸エステル)を含む代替薬は国内に存在しません。そのため関係学会の了承のもと、別成分の単剤吸入ステロイドへの切り替えが推奨されています。
具体的には100μg規格に対してアニュイティ100μgエリプタ、フルタイド100ディスカス、パルミコート100μgタービュヘイラーの3製品が候補です。200μg規格にも同様にアニュイティ200μg、フルタイド200ディスカス、パルミコート200μgの2包装が用意されています。これらはいずれもグラクソ・スミスクラインまたはアストラゼネカ製です。
デバイスの操作方法はメーカーごとに異なります。例えばタービュヘイラーは回転式の吸入器で、エリプタはスライド式のカバー開閉タイプです。操作が変わるだけで吸入量にばらつきが出る患者もいるため、切り替え時は必ず吸入手技の再指導を行うことが望ましいでしょう。
当初の案内では経過措置満了が2026年3月末とされていましたが、実際の供給状況はそれより早く動いています。2026年2月時点の供給情報では、200μg60吸入は理由欄が「薬価削除」に更新され、通常出荷から供給停止へ移行済みです。供給再開の見込みは「未定」と記載されており、在庫が尽きた薬局では即座に処方変更が必要になる可能性があります。
一部のクリニックでは2026年12月に在庫が消尽するとの連絡を受けたケースも報告されています。これは施設や卸の在庫状況によって枯渇時期に幅があることを意味します。地域や卸ルートによって体感する「いつまで使えるか」が違う点に注意が必要です。
在庫切れタイミングのズレは、複数施設で同じ薬を扱う医療法人にとって特に厄介な問題です。発注管理システムや在庫アラート機能を活用し、施設ごとの残数を一元管理しておくことをおすすめします。
アズマネックスの一件は、吸入ステロイド市場全体で起きている供給不安の一例にすぎません。後発品を含む経過措置品目一覧には、ビタミン製剤や不整脈治療剤など多種多様な薬剤が「販売中止」として並んでいます。サノフィ製剤でもビソルボンやムコサール錠など複数品目が同時期に経過措置へ移行しています。
これらの動きから見えてくるのは、メーカー単独の事情というより業界全体の供給構造の脆弱さです。供給停止は原薬調達や薬価改定など複合的な要因で起きやすく、特定の一社だけの問題と捉えるのは危険です。今後も同様の供給中断が起こる前提で備える姿勢が現実的でしょう。
院内で採用薬リストを定期的に見直し、代替候補をあらかじめ複数確保しておく体制づくりが、こうした供給リスクへの実務的な対策になります。
アズマネックスの販売中止案内と代替候補製品の詳細リストはこちら
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