
アスベリン錠(一般名:チペピジンヒベンズ酸塩)は、咳を抑え痰を出しやすくする作用を持つ鎮咳去痰薬です。感冒、急性・慢性気管支炎、肺炎、気管支拡張症など、さまざまな呼吸器疾患に伴う咳嗽および喀痰喀出困難に用いられます。
参考)アスベリン錠20の基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)…
この薬剤の副作用プロファイルは比較的軽微とされていますが、医療従事者として知っておくべき重要な副作用がいくつか存在します。頻度別に整理すると、以下のようになります。
参考)https://hokuto.app/medicine/0jAZMPNqUeZtZF4YhHos
精神神経系の副作用
消化器系の副作用
過敏症
添付文書には「過量投与により、眠気、眩暈、興奮、せん妄、見当識障害、意識障害、精神錯乱等があらわれることがある」と記載されており、過剰摂取時の中枢神経系への影響にも注意が必要です。
アスベリン錠の添付文書には、重大な副作用としてアナフィラキシー(頻度不明)が明記されています。これは咳嗽、腹痛、嘔吐、発疹、呼吸困難等を伴う可能性がある重篤な過敏反応です。
患者向け情報の「くすりのしおり」では、より具体的な初期症状として以下が示されています。
これらの症状が「アナフィラキシー様症状」の初期サインである可能性があり、このような場合には直ちに使用を中止し、医師の診療を受けるよう記載されています。
参考)アスベリン錠10の基本情報(作用・副作用・飲み合わせ・添付文…
医療現場での対応ポイント
頻度は「不明」とされていますが、重篤な転帰を取り得る副作用であるため、医療従事者はこのリスクを常に念頭に置く必要があります。
アスベリン錠は、1歳未満の乳児から成人まで幅広い年齢層に処方される薬剤ですが、特定の患者集団では特別な注意が必要です。
参考)咳止め薬「アスベリン」の効果と副作用を徹底解説【医師監修】
妊婦・妊娠中の女性
添付文書には以下のように記載されています。
> 「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。」
これは、妊娠中の安全性データが十分でないため、原則として避けるべきですが、やむを得ない場合に限り使用を考慮するという姿勢を示しています。
授乳婦
> 「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。」
薬剤が乳汁中に移行する可能性を考慮し、母乳栄養の継続と薬物療法のバランスを個別に判断する必要があります。
小児
アスベリンは小児にも使用可能ですが、年齢に応じた用量調節が必要です。
参考)https://order.nipro.co.jp/pdf/2AV--305A-.pdf
| 年齢 | 1日量(チペピジンヒベンズ酸塩) |
|---|---|
| 1歳未満 | 5.54〜22.1mgを3回分割 |
| 1歳以上3歳未満 | 11.1〜27.7mgを3回分割 |
| 3歳以上6歳未満 | 16.6〜44.3mgを3回分割 |
| 成人(15歳以上) | 66.5〜132.9mgを3回分割 |
(用量は年齢・症状により適宜増減)
高齢者
> 「減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下している)」
肝代謝や腎排泄機能が低下している可能性を考慮し、慎重な投与が求められます。
アスベリン錠の副作用として「眠気」「眩暈」が0.1〜5%未満の頻度で報告されています。これらの症状は、患者の日常生活や安全性に直接影響を与える可能性があります。
服用中の運転・機械操作
飲み合わせ(相互作用)
ここからは、一般的な薬剤情報サイトや患者向け資料ではあまり注目されていない、医療従事者向けの「意外な副作用・注意点」を解説します。
着色尿(赤味がかった尿)
添付文書には以下のように記載されています。
> 「本剤の代謝物により、赤味がかった着色尿がみられることがある。」
これは重大な副作用ではありませんが、患者が「血尿では?」と不安に思い、不必要な受診や検査につながる可能性があります。事前の患者説明で「薬の影響で尿が赤っぽくなることがある」と伝えておくことで、無駄な不安や医療リソースの浪費を防ぐことができます。
PTPシートの誤飲による重篤な合併症
添付文書の「重要な基本的注意」には、以下のような記載があります。
> 「PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。」
これはアスベリンに限った話ではありませんが、特に高齢者や小児、認知機能に問題のある患者では、PTPシートごとの誤飲による食道穿孔・縦隔洞炎のリスクがあることを、医療従事者は改めて認識しておく必要があります。
肝機能・腎機能低下患者
添付文書には「減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下している)」とありますが、これは高齢者だけでなく、肝障害や腎障害を有する患者にも適用されます。
日経メディカル処方薬事典:アスベリン錠20の基本情報(薬効分類・副作用・添付文書)
KEGG MEDICUS:医療用医薬品 アスベリン
くすりのしおり:アスベリン錠20(患者向け情報)
医薬情報QLifePro:アスベリン錠10 添付文書PDF
【指定第2類医薬品】イブA錠 90錠