腎機能が正常な患者と同じ感覚で投与時間を決めると、痙攣や急性腎障害を招くことがあります。

アシクロビルの点滴静注は、成人・小児いずれも1回体重1kgあたり5mgを1日3回、8時間ごとに1時間以上かけて7日間投与するのが基本形です。脳炎・髄膜炎の場合は必要に応じて増量や投与期間の延長が認められており、成人では1回体重1kgあたり10mgまで、小児では20mgまでが上限とされています。新生児単純ヘルペスウイルス感染症では、1回体重1kgあたり10mgを1日3回、8時間ごとに1時間以上かけて10日間点滴するという、成人とは異なる用量設定になっています。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066947.pdf
体重1kgあたり5mgというと、体重60kgの成人なら1回300mg、はがき2枚分くらいの錠剤の総量に相当するイメージです。8時間ごとの投与は「朝・昼・夜」ではなく「等間隔で1日3回」が基本です。
つまり時間だけでなく間隔の均等性も重要ということですね。1時間以上かけるという指示を「1時間ちょうど」と誤解し、早めに終わらせてしまうケースもあるため、投与ポンプの設定時間には少し余裕を持たせておくと安心です。
急速静注に近い形でアシクロビルを投与すると、腎尿細管内でアシクロビルが結晶化しやすくなり、急性腎障害を誘発するリスクが高まります。これは薄い希釈液であっても、投与速度が速いこと自体が結晶形成の引き金になるためです。
参考)https://jsct.jp/wp/wp-content/uploads/2023/12/33_3_216.pdf
腎機能が正常な患者でも発症例が報告されており、油断できません。
参考)http://www.nagaoka-med.or.jp/kaihou/kaihou2016/kaihou1603/kaihou1603.html
急性腎障害が起こると、入院期間の延長や透析導入といった大きな負担につながることがあります。この結晶尿リスクを回避するための工夫としては、投与前後の十分な補液による尿量確保が挙げられます。輸液管理表やin-outバランスをその都度確認する習慣をつけておくと、早期に異常を察知しやすくなります。
腎機能が低下している患者では、通常の8時間ごとという投与間隔をそのまま適用すると、体内にアシクロビルが蓄積し、意識障害や振戦などの神経症状を起こすことがあります。添付文書でも、腎障害のある患者や高齢者に対しては投与間隔および投与量を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与するよう明記されています。
参考)http://taiyopackage.jp/pdf/_rireki/Aciclovir%5Bnik%5D_inj_L.pdf
腎機能低下時は投与間隔を延ばすのが原則です。
具体的にはクレアチニンクリアランスの値に応じて、8時間ごとを12時間ごと、24時間ごとへと段階的に延長する調整表が臨床現場で用いられています。これは高速道路の制限速度を路面状況に合わせて下げるようなイメージで、同じ道でも状況によって適正なペースが変わるということです。腎機能値を定期的にモニタリングし、電子カルテのアラート機能や薬剤師によるダブルチェック体制を活用すると、調整漏れを防ぎやすくなります。
高齢者は腎機能が加齢によって低下していることが多く、見た目の血清クレアチニン値だけでは実際の腎機能を正確に把握できない場合があります。そのため、添付文書でも高齢者は腎障害患者と同様に投与間隔・投与量の調整対象とされています。
小児の場合は上限量が体重1kgあたり20mgまでと、成人の上限(10mg)よりも高く設定されている点が特徴です。
参考)https://neocriticare.com/seihin-info/file/ovoverflow6-66/aciclo_tenbun201504.pdf
数字だけ見ると「小児は多めに投与できる」と誤解しそうですが、これは必要に応じた増量時の上限であり、通常量自体は成人と同じ5mgが基本です。高齢者・小児ともに、体重や腎機能を踏まえた個別の投与時間設定が欠かせません。院内の腎機能別投与量換算表や、薬剤部が発行する早見カードを手元に置いておくと、確認の手間を減らせます。
意外と見落とされがちですが、投与時間の管理は「点滴速度」だけでなく「調製後の薬液の希釈状態」とも密接に関係しています。1バイアル(アシクロビル250mg)を溶解後、100mL以上の補液でさらに希釈することが求められており、この希釈量が不十分だと同じ時間で点滴しても薬液中の濃度が高くなり、結晶化リスクが上がります。
希釈量と投与時間はセットで考えるべきということですね。
つまり「1時間以上かけているから安全」という考え方だけでは不十分で、希釈後の総量とのバランスを見る視点が必要です。輸液ポンプの設定を100mL/時未満にしないなど、院内で希釈量と滴下速度をセットにしたプロトコルを作成しておくと、結晶尿リスクをさらに下げやすくなります。
成人・小児・新生児それぞれの投与量や調製法の詳細な添付文書情報はこちら
腎機能障害下での投与間隔調整の考え方を深く解説した学会資料はこちら
【指定医薬部外品】 新ビオフェルミンSプラス錠 550錠 61日分 大正製薬 整腸剤 [乳酸菌/ビフィズス菌/ロンガム菌/フェーカリス菌/アシドフィルス菌 配合] 腸内フローラ改善 便秘や軟便に