ゾコーバは、一般名をエンシトレルビル フマル酸とする抗SARS-CoV-2剤です。SARS-CoV-2の3CLプロテアーゼを阻害し、ウイルスのポリタンパク質のプロセシングと複製を阻害する薬剤として位置付けられています。2026年時点では、従来のゾコーバ錠125mgに加え、25mg錠が薬価収載されており、治療対象となる小児の体重別用量に対応しやすくなっています。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00010430.pdf
2026年の薬価は、ゾコーバ錠125mgが1錠7,090.00円、ゾコーバ錠25mgが1錠2,575.40円です。125mg錠は2023年3月15日に薬価収載され、2026年5月改定時点でも薬価は据え置きとされています。一方、25mg錠は2026年6月19日に承認され、同年8月13日に薬価収載、8月17日に発売されました。
参考)ゾコーバ錠125mg 薬価7,090円・推移グラフ・2026…
成人および12歳以上の小児における治療用法は、1日目に375mg、2日目から5日目まで125mgを1日1回経口投与する5日間投与です。125mg錠だけで計算すると、1日目は3錠、2日目から5日目までは各1錠、合計7錠となります。したがって、1治療当たりの薬価は7,090円×7錠で49,630円です。これは薬価基準上の薬剤費であり、実際の患者負担額は年齢、所得区分、公費支援、保険給付の状況などによって異なります。
薬価と患者自己負担額は区別して説明する必要があります。例えば3割負担を単純に当てはめた場合、49,630円の薬剤費に対する薬剤部分の自己負担は約14,889円ですが、実際には診察料、処方箋料、調剤基本料、薬学管理料、各種加算などが別途発生します。また、公費の有無や自治体独自の助成もあり得るため、窓口での確定額を薬価だけから断定しない運用が重要です。
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| ゾコーバ錠125mg | 1錠7,090.00円 | 2026年時点の薬価 |
| ゾコーバ錠25mg | 1錠2,575.40円 | 2026年8月13日薬価収載 |
| 成人・12歳以上の治療 | 1日目375mg、2~5日目125mg | 125mg錠では計7錠 |
| 成人・12歳以上の治療薬価 | 49,630円 | 7,090円×7錠 |
| 投与期間 | 1日1回、5日間 | 治療・予防とも基本となる投与日数 |
ゾコーバ錠25mgは、小児への治療用法・用量追加に伴って承認・収載された規格です。製造販売元の公表情報では、25mg錠は2026年6月19日承認、8月13日薬価収載、8月17日発売とされています。薬価は規格間調整を基本として算定され、25mg錠については小児加算が適用され、1錠2,575.40円となりました。
参考)ゾコーバ錠25mg・錠125mg
6歳以上12歳未満の小児に対する治療時の用量は、体重により異なります。体重40kg以上では成人・12歳以上と同じく、1日目375mg、2日目から5日目125mgです。体重30kg以上40kg未満では、1日目250mg、2日目から5日目125mg、体重20kg以上30kg未満では、1日目150mg、2日目から5日目75mgとなります。処方箋発行、調剤、服薬説明では、年齢のみでなく体重区分を確認し、規格・錠数・総投与量の整合をとる必要があります。
体重20kg以上30kg未満の場合、25mg錠を使用すると、1日目は6錠、2日目から5日目までは各3錠であり、合計18錠です。薬価ベースの一治療薬価は、2,575.40円×18錠で46,357.20円となります。体重30kg以上40kg未満では、1日目に125mg錠2錠、2日目から5日目に125mg錠各1錠を使用する設計が基本となり、合計6錠、薬価は42,540円です。体重40kg以上では成人と同様に7錠、49,630円です。
ただし、上記は単純な規格・用量に基づく薬価計算であり、実際の採用品目、包装単位、残薬の扱い、調剤上の運用を含めた請求実務は、保険薬局および医療機関の個別の取扱いに従って確認します。ゾコーバ錠25mgは18錠PTP包装、125mg錠は6錠、7錠、28錠のPTP包装が用意されています。必要量に応じて、患者への交付数量と服薬スケジュールの視認性を確保することが求められます。
ゾコーバ錠125mgは、2022年11月に緊急承認を受け、2023年3月15日に薬価収載され、同年3月31日から一般流通が開始されました。収載時の薬価は1錠7,407.40円、1治療当たり51,851.80円でした。類似薬効比較方式Ⅰにより、COVID-19治療薬であるラゲブリオと、重症化リスクを問わず投与される抗インフルエンザ薬ゾフルーザを比較薬として用い、両薬剤の一治療当たり薬価の平均に、新規作用機序を評価する有用性加算Ⅱの5%を加えて算定された経緯があります。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001223956.pdf
ゾコーバには、感染急拡大時に市場規模が急増する可能性を念頭に置いた特例的な市場拡大再算定ルールが設けられました。年間販売額が予測販売額の10倍以上かつ3,000億円超となる場合、薬価引下げ率の上限を通常の50%から66.7%へ拡大する仕組みです。ただし、通常承認に関する中医協資料では、一般流通開始から2024年2月11日までの推定使用患者数は約100万人、直近実績からの単純換算による年間市場規模は約280億円とされ、当時は再算定の適用要件に該当しないと評価されました。
医療機関においては、「高額な抗ウイルス薬」という印象だけで薬剤選択を固定化せず、適応、臨床的な位置付け、禁忌・相互作用、投与可能な時間枠、患者背景を統合して判断する必要があります。薬価は保険診療上の重要情報ですが、適正使用の前提を置き換えるものではありません。
厚生労働省:高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応
ゾコーバの効能・効果は、2026年時点で「SARS-CoV-2による感染症の治療及びその予防」です。治療では、成人および12歳以上の小児に対し、原則として症状発現から72時間以内に投与を開始します。6歳以上12歳未満の小児にも体重別用量で治療可能ですが、重症化リスク因子がなく症状が軽い患者では自然に改善することも踏まえ、高熱、強い咳、強い咽頭痛などを複数有する場合などに、投与必要性を特に慎重に検討することが求められます。
治療対象については、薬価収載時から「軽症~中等症Ⅰ」が基本です。重症度の高い患者、具体的にはSpO2が93%以下で酸素投与が必要な患者、ICU入室または人工呼吸器が必要な患者における有効性は検討されていません。重症化リスク因子がない軽症患者の多くは自然軽快するという前提があり、対症療法を含めた経過観察との比較の中で処方の必要性を判断します。
予防は、SARS-CoV-2感染症患者との接触後に実施する曝露後予防です。原則として、感染者の同居家族または共同生活者のうち、重症化リスク因子を有する者に投与します。成人および12歳以上の小児では、治療と同じく1日目375mg、2日目から5日目125mgを1日1回、5日間投与します。したがって、125mg錠による予防時の一人当たり薬剤費も、標準的には49,630円です。接触後72時間以内の開始が必要であり、服用開始から10日を超える期間の予防効果は確立していません。
なお、過去6か月間にSARS-CoV-2陽性となった者、過去3か月間に抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体を投与された者、過去6か月以内にSARS-CoV-2ワクチンを接種した者については、予防に関する有効性は確認されていません。また、本剤を服用しても感染や発症を完全に防ぐことはできず、他者に感染させる可能性も残ることを説明します。予防投与では「投与可能か」だけでなく、「対象集団として適切か」「開始時点は72時間以内か」「効果未確認の背景に該当しないか」を確認することが必要です。
ゾコーバの処方では、薬価・規格・錠数の確認と同時に、禁忌と相互作用のスクリーニングを徹底します。特に妊婦または妊娠している可能性のある女性は禁忌です。催奇形性は重要な潜在的リスクとして医薬品リスク管理計画に位置付けられており、処方医療機関では、妊娠していないこと、妊娠している可能性がないことを入念に確認し、事前チェックリストなどの資材を活用することが求められています。
通常承認後は、緊急承認時に求められていた有効性・安全性に関する文書同意の承認条件は削除されました。しかし、これは妊娠関連の確認や説明が不要になったことを意味しません。妊娠可能性のある女性に対しては、引き続き患者向け・医療従事者向け資材を用いた説明と確認が必要です。医師、薬剤師、看護師、事務スタッフ間で確認フローを標準化し、確認漏れを防ぐことが実務上のポイントになります。
また、ゾコーバは処方箋医薬品かつ劇薬です。電子添文の禁忌、併用禁忌、併用注意、肝機能・腎機能に関する注意、患者の服用中薬を最新情報で確認してください。診療所や薬局では、お薬手帳だけに依存せず、処方薬、他院薬、OTC医薬品、サプリメントを含めた服薬情報を確認する運用が望まれます。相互作用の判断は、必ず最新の電子添文、添付文書、医薬品情報データベース、院内・薬局内のDI手順に基づいて行います。
処方監査の実務では、成人・12歳以上の標準治療なら「125mg錠:初日3錠、2~5日目各1錠、合計7錠」という投与設計と総薬価49,630円を基準に確認できます。小児の場合には、年齢と体重の双方を確認し、体重20kg以上30kg未満であれば25mg錠18錠、体重30kg以上40kg未満であれば125mg錠6錠という設計を照合します。ただし、これらは治療時の基本例であり、実際の処方可否は適応、症状発現からの時間、患者背景、禁忌・併用薬評価を経て最終判断します。
参考)【新薬:薬価収載】10製品+1製品(2026年8月13日) …
2026年の「ゾコーバ 薬価」を確認する際は、125mg錠7,090円、25mg錠2,575.40円という単価だけで終わらせず、治療・予防別の必要錠数、体重別小児用量、一治療当たりの薬剤費、患者自己負担との違い、妊娠関連の禁忌確認、72時間以内の開始要件まで一体で把握することが、適正使用と円滑な患者説明につながります。